GJ > 競馬ニュース > 3億円越え超高額競走馬の悲劇
NEW

至高のゼイタク? 馬主もゲッソリ? 3億円越え「超高額競走馬たち」の成績が悲惨すぎて笑えない……

【この記事のキーワード】, , ,
160121_keiba.jpg

 11月8日、京都競馬場は、この日デビューする2頭のサラブレッドに注目が集まっていた。「5億円対決」といわれたこのレースは、2013年の当歳セレクトセールで2億4,150万円で落札されたサトノダイヤモンドと、同じく13年のセレクトセールで2億5,200万円で落札されたロイカバードが対決することになったからだ。

 結果は「安い方」のサトノダイヤモンドが圧勝、武豊騎手が騎乗したロイカバードは2着に完敗となった。ちなみに3着馬ダノンアローダも同セールにて4,410万円で落札された馬であり、上位3頭の総落札額は5億3760万円という、なんとも豪華な一戦となったのだ。

 どんな世界でも「富豪」の金銭感覚はケタ外れだ。都心の一等地や高級マンションが買える大金を、怪我や病気のリスクがあるサラブレッドにつぎ込むことなど、庶民からすれば想像の及ばないレベルの話だろう。

 ただ、高額馬のすべてが期待通りの成績を残しているかといわれれば、実態は大きく異なっているのが現実である。日本を代表する競走馬のセリ「セレクトセール」の現状を見れば、その”現実”がよく理解できるだろう。

「セレクトセール」は、国内外の富裕層が毎年数億円の「爆買い」をしていく日本最大のサラブレッドセール。15年も15頭のミリオンホース(落札額1億円以上・税抜)が誕生したが、過去の実績を振り返った際、とんでもないことに気付く。

 04年から現3歳馬世代の13年までの10年間において、1億円以上で落札された馬は合計85頭。2億円以上は14頭、3億円以上3頭、4億円以上1頭、最高額はなんと6億円だ。そして、この中から3億円以上で落札された5頭の成績を見ると……。

■6億円(ディナシー)
06年セレクトセールでグローブエクワインマネージメント(有) が落札
父キングカメハメハ 母トゥザヴィクトリー
→未出走で引退・獲得賞金0円

■4億9,000万円(ザサンデーフサイチ)
04年セレクトセールで関口房朗氏が落札
父ダンスインザダーク 母エアグルーヴ
→41戦3勝で引退・獲得賞金7,196万円

■3億6,000万円(ラストグルーヴ)
11年セレクトセールでグローブエクワインマネージメント(有) が落札
父ディープインパクト 母エアグルーヴ
→1戦1勝で引退・獲得賞金600万円

■3億円(ブルーアヴェニューの2006)
06年セレクトセールでダーレー・ジャパン(株) が落札
父フレンチデピュティ 母ブルーアヴェニュー
→海外1戦0勝で引退・獲得賞金ほぼ0円?

■3億円(アドマイヤハーレ)
07年セレクトセールで近藤利一氏が落札
父クロフネ 母マイケイティーズ
→2戦1勝で引退・獲得賞金690万円

 以上のようにすべての馬が競走馬として成功せず、1位の6億円馬に至っては、デビューすらできずに引退となっているのだ。

 かの有名なディープインパクトは7000万円で落札、海外も含め最高獲得賞金額を記録するテイエムオペラオーは1000万円で落札されていることを考えれば、高額馬が走らない要因は馬を見る人間の眼、つまり選ぶ側に相馬眼がないのが主な原因のようだ。

 海外に目を向ければ、史上初の日米ダービーオーナーとして歴史に名を刻み、以前は『ジャンクスポーツ』(フジテレビ系)にも出演していた関口房朗氏が、約8億8000万円という超高額馬を落札。ミスターセキグチの名前でアメリカデビューを果たしたものの、怪我もあって4戦2勝で引退、その後種牡馬として1億円で引き取られたと聞く。維持管理費を含めれば7億円を超える赤字だったことはいうまでもない。

 その関口氏は、その後馬主として破産し競走馬を売却、表舞台から姿を消してしまった。さらに今年、美容脱毛サロンでお馴染みのミュゼが経営破綻し、セレクトセールの常連でもあった同社代表の高橋仁氏は、所有馬を売却する事態に発展している。

「5億円対決」に沸いた競馬界。その裏で大成せず引退していく競走馬達。多くの馬主が夢を見て高額馬を落札しているようだが、いつ第二第三の破綻馬主が出てもおかしくない。

GJ 編集部

GJ 編集部

真剣勝負の裏にある真実に切り込むニュースサイト「GJ」の編集部です。これまで作成した記事は10000本以上。競馬歴10年超えの情報通が業界の「しがらみ」を取り払った「本音」や「真実」にも臆することなく、他のサイトとは一線を画したニュース、サービス提供を行っています。

真剣勝負の真実に切り込むニュースサイト「GJ」

Twitter:@GJ_koushiki

Instagram:@goraku.horse.racing0505

至高のゼイタク? 馬主もゲッソリ? 3億円越え「超高額競走馬たち」の成績が悲惨すぎて笑えない……のページです。GJは、競馬、, , , の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。ギャンブルの本質に切り込むならGJへ!

Ranking

23:30更新
  • 競馬
  • 総合
  1. JRA「出禁」になったO.ペリエ「税金未払い」騒動!? L.デットーリ「コカイン使用」K.デザーモ「アルコール依存症」過去の”外国人騎手トラブル”に呆然……
  2. JRA「一寸先は闇」のような勢力図の激変…注目集めた若手同期の明と暗、あの「お騒がせ騎手」が佐々木大輔に続くブレイク?
  3. “ルメール依存症”が日本ダービーにも影響?春のG1シーズンで思わぬ誤算…「28連敗」の敏腕トレーナーに試練のトライアル
  4. 【天皇賞・春】関東クラシック馬タスティエーラ、ドゥレッツァVS関西テーオーロイヤル、ディープボンドら最強ステイヤー軍団。激戦の鍵を握る“第3の刺客!?”
  5. 本命馬が出遅れたら「自分の勘を疑うべき」なのはなぜか?キャプテン渡辺が考える「今日はダメだサイン」2つ【徒然なる神のくず競馬トーク】
  6. 【天皇賞・春】菱田裕二「師弟コンビ」で悲願の初G1制覇へ! 川田将雅、C.ルメール不在もチャンス、「勝率5割」のデータが人馬を後押し
  7. 【チャンピオンズマイル(G1)展望】海外転戦“5億円ホース”が世界最強ゴールデンシックスティに挑戦!昨年のNHKマイルC覇者が道悪で急浮上?
  8. 【天皇賞・春】横山典弘「前ポツン」にファンは狂喜乱舞? 20年前の逃亡劇再現あるか……マテンロウレオ陣営も不気味なコメント
  9. C.ルメール「ダービーは絶対大丈夫」復帰いよいよ秒読み! ドウデュース武豊と同じく騎乗数セーブ予想も…春G1で復活インタビューとなるか
  10. 【青葉賞】武豊「ダービーに出さないといけない」キタサンブラック弟シュガークン出陣! 相性抜群レース完勝も、本番に不安材料?