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JRA「重賞狙える」苦労人の期待馬を“無慈悲”な強奪!? 1年8ヶ月ぶりの美酒もほろ酔い止まりにした相手とは

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 10月2日、中山競馬場では芝2000mの2歳オープン・芙蓉Sが行われる。

 昨年の勝ち馬ランドオブリバティはホープフルS(G1)で2番人気に推され、2017年に勝ったサンリヴァルは翌年の皐月賞(G1)を2着。現在の距離で開催されるようになった15年以降、同じ舞台で行われる両G1と結びつきの強いレースとなっている。

 暮れの2歳G1、来年のクラシック戦線へ向けて、新馬戦からの連勝を目指すのが、キタサンブラック産駒のドグマ(牡2歳、栗東・武幸四郎厩舎)だ。

 前走、8月の小倉芝1800m新馬戦では、8番人気の低評価ながら直線で目の覚めるような末脚を繰り出して勝利。今年、産駒がデビューした新種牡馬キタサンブラックは、これがJRAでの新馬戦初勝利となった。

 乗っていた柴山雄一騎手にとっても、嬉しい勝利だったことは間違いない。

 同騎手は1998年に地方・笠松競馬場でデビュー。04年には笠松リーディングの4位に入るなど、地方通算3240戦393勝(JRA72戦2勝)を挙げる活躍。同じく笠松出身の元JRA騎手、安藤勝己氏の勧めなどもあり、05年に中央へ移籍した。

 美浦所属の騎手として初年度から80勝を挙げ、その年の「中央競馬騎手年間ホープ賞」を受賞したが、その後は徐々に低迷。一昨年は24勝、昨年は美浦から栗東へと拠点を移して心機一転を図ったものの、中央移籍後ワーストとなる11勝に終わっていた。

 期待のホープから一転、苦労人となってしまった柴山騎手だが、ドグマとのコンビで挙げた今回の勝利は、19年12月のテルツェット以来、およそ1年8ヶ月ぶりとなる新馬戦での白星だ。

 所属している武幸厩舎の管理馬でもあり、普段から調教もつけているパートナーとの勝利は格別だったようだ。『競馬ラボ』で連載している自身のコラム『柴山雄一のStarting Over』には、「期待していた新馬のドグマで勝つことができました」「重賞も狙える器じゃないかと思います」と、その喜びを綴っている。

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 そんな柴山騎手の期待馬であり、クラシックも目指せそうな器のドグマだが、芙蓉SではC.ルメール騎手に乗り替わりとなるようだ。

 23日、栗東のCWコースで行われたドグマの1週前追い切りには、さっそくルメール騎手が騎乗。3頭併せの真ん中で最先着を果たしており、同ジョッキーも手応えを感じ取った様子だ。レースの結果次第ではクラシックのパートナー候補として名を連ねる可能性も充分にあるだろう。

「現在、ルメール騎手は141勝を挙げて全国リーディングなのに対し、柴山騎手はわずか6勝。一見、無慈悲な乗り替わりのようにも見えますが、クラシックを目指す馬が鞍上強化を図るのはごく普通のことなので、これは仕方なさそうです」(競馬誌ライター)

 今年も全国リーディングを驀進しているルメール騎手。2歳馬は札幌2歳S(G3)を勝ったジオグリフをはじめ、新潟2歳S(G3)2着のアライバル、キタサンブラック産駒のイクイノックスなど、幾分お手馬過多な状況といえなくもない。

 それだけに、同騎手の選択次第ではドグマが柴山騎手の元に戻ってくることもあるかもしれない。勝利の美酒はほろ酔い止まりとなってしまったが、いつの日か再びコンビを組み、ターフを沸かせてほしいところである。

(文=冨樫某)

<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。

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