JRA武豊ドウデュースに黄色信号!? 皐月賞人気馬を襲う11年続く意外なジンクスとは
17日、春爛漫のさなか中山競馬場で行われる皐月賞(G1)は、牡馬クラシック第1弾となる。世代の頂点を窺う3歳牡馬達が春の覇権を懸けて争う熾烈なレースだ。
今年は有力馬が様々な路線から皐月賞を目指した混戦模様だが、『netkeiba.com』の想定では、前走・弥生賞ディープインパクト記念(G2)で2着と好走した、去年の最優秀2歳牡馬のドウデュース(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)が1番人気になるだろうと予想されている。
ドウデュースは昨年暮れの朝日杯FS(G1)を制し、年明け初戦に弥生賞を選んだ。レース中いったんポジションを下げるシーンがあったものの、そこから立て直して追い上げ、勝ち馬のアスクビクターモアにクビ差まで迫る「負けて強し」といった内容だった。
騎乗した武豊騎手も「トライアルとしてはいい内容だった」と前向きなコメントを残している。
ファンとしても昨年の最優秀2歳牡馬が年明けの一叩きで順調に好走したので、他の有力馬と比較して皐月賞への死角が最も小さいように思えているのではないだろうか。しかし、ここに見過ごされがちな大きな落とし穴がある。
実は、ここ11年間弥生賞を使った馬は皐月賞を勝っていないのだ。
何故、弥生賞は皐月賞に繋がらなくなったのか
本番と同コース同条件で好走した弥生賞出走馬は順調に仕上がってるように見えるし、コース適性を考えても買いたくなるだろう。そこで当然のように毎年人気になる。しかしながら近年は、皐月賞で良い結果を出せていない。
弥生賞経由で皐月賞1番人気になった近年の馬は昨年のダノンザキッド(弥生賞3着、皐月賞15着)、2018年のワグネリアン(弥生賞2着、皐月賞7着)、2015年サトノクラウン(弥生賞1着、皐月賞6着)の3頭で、どれも派手に着外へ飛んでいる。
特に昨年のダノンザキッドは記憶に新しい。
2010年にホープフルS(G1)に勝ち、ドウデュースと同じく最優秀2歳牡馬に選出され、初戦を弥生賞で好走。万全の態勢で臨んだにもかかわらず、好位追走から全く伸びず、ブービー負けした。管理していた安田隆師が「いい形で行けたのに4角手前から手応えが怪しくなった。敗因はわからない」と首を傾げる、それまでの戦績が嘘みたいな敗戦だった。
なぜこのように同距離、同コースの弥生賞と皐月賞が直結しないのだろうか? 不思議に思うファンも多いと思う。
1つの理由は、弥生賞と皐月賞では馬場や展開が大きく変わることだろう。元々皐月賞はほぼ毎年フルゲートで行われるため、小頭数になりやすい弥生賞とはレース内容が大きく異なる傾向が強い。また、2か月開催の最終日のため馬場が悪くなりがちで、内枠の仮柵を外すことで内側を走る先行馬が止まらないといった先行馬有利のコースとなる傾向が強いのだ。
もう1つの理由として近年の調教技術における進歩によって、外厩を利用した調整法が挙げられる。ノーザンファーム天栄の木實谷場長は『東スポ競馬』のインタビューに、ステップレースを使わずに皐月賞へ直行する強みを「この時期の若馬の成長を促すことがよりパフォーマンスアップにつながる」と語っている。
木實谷場長の言う通り、実際にこの3年の皐月賞馬は弥生賞やスプリングS(G2)、毎日杯(G3)といった直近のステップレースを使っていない。
今年の皐月賞の上位人気馬にはダノンベルーガ、イクイノックス、キラーアビリティ、オニャンコポン、ジャスティンパレスなど3月に行われるトライアルを使わないで直行する馬も多く、この中から今年も皐月賞馬が出るのではなかろうか。
(文=パッパラー山中)
<著者プロフィール>
皇帝シンボリルドルフの代表産駒トウカイテイオーの舞うようなフットワークに魅せられて競馬を始める。人生で1番泣いたのは前年の大敗から1年ぶりの復活勝利を決めた1993年の有馬記念(G1)。感動のあまり競馬場で泣いて電車で泣いて家で泣いた。馬券はパドック派。今までで1番「こりゃすんげえ馬体」と思ったのはサクラケイザンオー。
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