JRA天皇賞・春(G1)タイトルホルダーは苦戦濃厚!? 過去11年で64頭すべてが“陥落”した「絶望データ」とは
5月1日、阪神競馬場では天皇賞・春(G1)が行われる。下馬評では昨年の2着馬ディープボンドと菊花賞馬タイトルホルダーの2強対決が濃厚。「焦点は3着争い」という声すら聞こえてくる。
ところが今年のJRA平地G1はことごとく人気馬が期待を裏切っているのはご存じの通り。1番人気に支持された馬は、皐月賞(G1)でドウデュースが辛うじて3着を確保しただけで「0-0-1-4」。2番人気馬も「1-0-0-4」と、カフェファラオのフェブラリーS(G1)制覇があるだけだ。
6年ぶりにフルゲートでの開催が見込まれる今年の天皇賞・春も、流れ的には一波乱ありそうだが……。血統を専門とするある競馬誌ライターは2強が崩れるとすれば、タイトルホルダーの方だろうと指摘した。
タイトルホルダーは苦戦濃厚!?
「長距離実績という点で、ディープボンドとタイトルホルダーの2頭が抜きんでていることは間違いありません。昨秋の菊花賞(G1)を5馬身差で圧勝しているタイトルホルダーは当然ながら、人気になるでしょう。
ただし、血統的には強く推せないのも事実です。タイトルホルダーの父は2冠馬ドゥラメンテ、その父はキングカメハメハなので、同馬はキングマンボ系に分類されます。実はキングマンボ系は昨年までのべ31頭が天皇賞・春に出走していますが、1頭も勝てていません」(競馬誌ライター)
調べてみると、キングマンボ系の通算成績は「0-1-1-29」。07年にエルコンドルパサー産駒のトウカイトリックが3着、11年にキングズベスト産駒のエイシンフラッシュが2着しているが、馬券に絡んだのはこの2回だけである。
ドゥラメンテ産駒は今回のタイトルホルダーが初出走となるが、その父キングカメハメハ産駒は「0-0-0-17」。また、キングカメハメハの直仔ルーラーシップ産駒も「0-0-0-2」である。キングカメハメハ系という括りなら「0-0-0-19」となり、血統的にタイトルホルダーを強く推せないというのは合点がいくだろう。
一方、血統的に優勢なのがキズナ産駒のディープボンドの方なのは間違いない。11年にマンハッタンカフェ産駒のヒルノダムールが勝利したのを皮切りに、昨年のワールドプレミアまでサンデーサイレンス(SS)系の馬は11連勝中なのだ。
「非SS系は過去11年間でのべ64頭が挑戦しましたが、2着が最高着順でした(11年エイシンフラッシュ、12年トーセンジョーダン)。最後の非SS系による勝利は10年ジャガーメイル(ジャングルポケット産駒)までさかのぼらなければいけません。とにかく、春の天皇賞はサンデー系以外を頭では買いづらいレースなんです」(同)
11年以降の血統データを鵜呑みにすれば、確かにタイトルホルダーに全幅の信頼は置きづらい。ちなみに、今年は登録18頭中10頭がSS系。残る8頭のうち7頭がキングマンボ系だ。タイトルホルダー以外にはテーオーロイヤル(父リオンディーズ)、ヒートオンビート(父キングカメハメハ)などもキングマンボ系である。
今年の天皇賞・春もSS系が強さを見せるのか。それともキングマンボ系が殻を破るのか。血統的な視点からも楽しめるレースとなりそうだ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
PICK UP
Ranking
23:30更新- 目を掛けた愛弟子の「造反」に師匠がブチ切れ!? 今村聖奈、角田大河の謹慎中に存在感発揮も…安田記念前に師弟関係で遺恨勃発か
- 「素行不良」で干された若手の更生に関西の大御所が名乗り! 福永祐一を担当した大物エージェントもバックアップ…関係者から「優遇され過ぎ」の声
- 【天皇賞・春(G1)】馬券圏内100%の激走で5万馬券的中!? 四位洋文が福永祐一に授けた「金言」とは… 11番人気2着スティッフェリオにあった鉄板級の法則
- NHKマイルCに「史上最高メンバー」集結!? 2歳女王アスコリピチェーノVS2歳王者ジャンタルマンタルに加え「あの大物」参戦も…役割を終えたマル外ダービーに脚光
- 横山武史「乗り替わり」の無念を晴らす重賞勝利に会心ガッツポーズ! 初のメイン勝ちなど大暴れ「妹弟子」の活躍も刺激に?
- 羽田盃(G1)8頭立てに中央競馬と地方競馬の「温度差」浮彫り…3歳No.1フォーエバーヤング不在でも「敵前逃亡」続々、ダート革命に早くも失速の危機
- 「ニューヒロイン候補」小林美駒が見せた著しい成長!リーディング争いに敗れても勝負強さでベテランを圧倒…女性騎手戦線に「新時代到来」の予感
- 須貝尚介厩舎「重賞50連敗」ゴールドシップ、ソダシら手掛けた名門が苦戦…相次いだ誤算と見えてきた光明
- スキルヴィングの非業の死から1年…懸念される青葉賞(G2)の超高速化と歴代最速馬の悲劇
- 【マイラーズC】団野大成がソウルラッシュで代役V!安藤勝己氏、田原成貴氏も安田記念に好感触…「申し訳ない気持ちです」元主戦が悔やんだ2年前の大失態
関連記事
JRA天皇賞・春(G1)横山和生「言行不一致」の権利取り失敗に募る不安…違和感拭えなかった「後方ポツン」の父と異なる人馬のリズム
JRA天皇賞・春(G1)ディープボンド大本命だからこそ怖い⁉ タイトルホルダー優勢の「落とし穴」でG1初勝利に黄色信号
JRA天皇賞・春(G1)松岡正海が故・岡田繁幸総帥に進言した「有言実行」の大金星から13年、再び現れた「未知なるステイヤー」との遭遇
JRA天皇賞・春(G1)タイトルホルダーとディープボンドでは決まらない!? 横山武史と川田将雅の「違い」も浮き彫り、繰り返したくないエフフォーリアの悪夢
天皇賞・春(G1)武豊さえ脇役……和田竜二VS横山和生「違和感」の正体。「人と馬」テイエムオペラオーとナリタトップロード、リーディング22位と76位が創った時代