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JRA武豊ドウデュースも戦々恐々!? 日本が誇る怪鳥エルコンドルパサーを打ち砕いた欧州最強馬の衝撃……英仏ダービーの圧勝劇で蘇る23年前の「悪夢」

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競馬つらつらより

 先月29日の日本ダービー(G1)はドウデュースの勝利に終わった。それに遅れること1週間、競馬の本場ともいえるイギリス・フランスでも各国のダービーが行われたが、その結果は驚くべきものであった。

 4日に行われた英ダービー(G1)ではデザートクラウンが2馬身半差で圧勝、無傷の3連勝で世代の頂点に立った。これでも十分に衝撃的であるが、翌5日の仏ダービー(G1)ではヴァデニが後続に5馬身差をつける圧巻の勝利。英仏両国のダービーでの2日連続の圧勝劇には、世界中のホースマンが衝撃を受けたに違いない。

 今後は両馬共に欧州の中距離路線を歩むことが予想され、この勝利を受けて2頭は凱旋門賞(G1)の有力候補に浮上。英国の大手ブックメーカー『William Hill』の最新オッズではデザートクラウンが1番人気2.75倍、ヴァデニが3番人気8.0倍となっており、現地で高い評価を受けている。

 今年の凱旋門賞にはドウデュースは勿論のこと、シャフリヤール、タイトルホルダー、ディープボンドなど日本からも多数の有力馬がエントリーをしている。錚々たるメンバーが日本競馬の悲願ともいえる凱旋門賞制覇を目指すが、今年は例年以上の強敵が欧州で待ち構えることとなりそうだ。

 欧州のダービーで圧巻の勝利を挙げた怪物が、凱旋門賞で日本馬の前に立ちはだかる…遡ること23年前、1999年の凱旋門賞も同様の構図であった。

日本の怪鳥を沈めた欧州の怪物

 

 この年に凱旋門賞に挑んだのは日本が誇る「怪鳥」エルコンドルパサー。デビュー以来国内では7戦6勝、圧倒的な戦績でジャパンC(G1)を制覇した。毎日王冠(G2)で唯一土をつけたサイレンススズカが予後不良となってしまったことで、国内では敵無しの状況で欧州遠征を敢行することとなる。

 所有する渡邊隆オーナーの「(凱旋門賞を勝つためには)腰を据えて挑戦しないといけない」という言葉の通り、この年は春の段階から欧州に滞在したエルコンドルパサー。遠征初戦のイスパーン賞(G1)で2着に好走すると、続くサンクルー大賞(G1)で欧州G1初制覇。前哨戦のフォワ賞(G2)も制し、欧州でも随一の存在として、万全の態勢で凱旋門賞へ挑むことになった。

 だがここでエルコンドルパサーの前に立ちはだかったのが、今なお“90年代の欧州最強馬”として名高いモンジューであった。モンジューはこの年の仏ダービーを4馬身差、続く愛ダービー(G1)を5馬身差で圧勝しており、3歳の時点で既に怪物級のパフォーマンスを見せていた。

 迎えた凱旋門賞、モンジューは1番人気、エルコンドルパサーは続く2番人気に支持される。レースではエルコンドルパサーが果敢にハナを奪い、モンジューは中団で控える形に。最後の直線に入っても、エルコンドルパサーの勢いは衰えず、むしろ徐々に後続との差を広げていく。

 欧州調教馬以外の初の凱旋門賞制覇、その歴史的瞬間が刻々と近づく中、欧州馬の意地と言わんばかりに後方からモンジューが猛追をみせる。ゴールまで残り100mほどでエルコンドルパサーに並びかけると、最後は半馬身差に突き放して勝利。エルコンドルパサーと日本競馬の快挙は、あと一歩の所で打ち砕かれてしまった。

 このモンジューと同様に仏ダービーを圧勝したヴァデニが、更には英国ダービーを圧勝したデザートクラウンまでもが出走する可能性がある今年の凱旋門賞。この2頭の怪物の存在は、日本馬の悲願達成にとって大きな障壁となるに違いない。

 同年の日・英・仏3か国のダービー馬が凱旋門賞の舞台で直接対決となれば大きく盛り上がるはずだが、その反面、日本馬の強力なライバルの出現には手放しで喜べない部分もある。今年こそは悲願の凱旋門賞制覇となるだろうか、武豊・ドウデュースと日本馬の挑戦に期待したい。

(文=エビせんべい佐藤)

<著者プロフィール>

 98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。

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