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月間30勝、武豊の記録を超えた「伝説の夏男」といえば…

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戸崎圭太騎手 撮影:Ruriko.I

 夏に強いジョッキーといえば、多くの競馬ファンはどの騎手を想像するだろうか。

 2歳の新馬戦に滅法強い福永祐一騎手。あるいは、先日3年連続で函館リーディングを獲得した横山武史騎手などもいる。近年の全国リーディングで1位、2位が定位置化しているC.ルメール騎手や川田将雅騎手も当然のように挙がるだろう。

 だが、それらのトップジョッキー達を差し置いて、5年前の夏に1ヵ月だけで驚愕の30勝を挙げた騎手がいることをご存じだろうか。戸崎圭太騎手だ。

 かつて大井競馬に所属していた戸崎騎手は、2005年に初めてJRAのレースに参戦。2013年からJRAへ移籍を果たすと、翌2014年にはいきなり全国リーディングを獲得する離れ業をやってのけた。

 これは同じ大井競馬所属だった内田博幸騎手が2009年に全国リーディングを獲得して以来、グレード制導入後では地方競馬出身騎手として2人目の快挙。笠松競馬出身で元JRAの安藤勝己騎手や現役では兵庫競馬出身の岩田康誠騎手など、地方から躍進したG1ジョッキーらでも成し得なかった記録でもある。さらに、そこから2016年まで3年連続リーディングジョッキーに輝くなど、競馬界に戸崎旋風を巻き起こした。

 そして迎えた2017年7月は、まさに「伝説の夏」となった。

 初日から4勝するロケットスタートを決めると、その後も驚異的なハイペースで勝ち星を積み重ねる。最終日を迎えた時点では26勝と、それまで武豊騎手が保持していた月間27勝という記録にあと1勝と迫っていた。

 当時、その記録を戸崎騎手が認識していたかはわからないが、仮に知っていた場合は当然大きなプレッシャーに襲われたことだろう。過去にも記録達成を目前に足踏みが続いたり、重圧に呑まれて幻と消えた記録も数多くある。

 そんななかでも、夏男の勢いは止まるどころか加速したのだ。

 いきなり1Rで勝利を挙げて武豊騎手に並ぶと、続く2Rでも勝利し、あっさりと記録を更新。その後も2勝を上乗せして月間30勝という大記録を打ち立てたのである。夏に強い騎手として、競馬ファンに強烈な印象を与えた。

 ちなみに、現役騎手の夏の月間勝利数記録を紹介すると以下の通りである。

■夏の月間勝利数記録(※対象月は7月又は8月、現役騎手に限る)

第1位 戸崎圭太騎手 30勝 2017年7月
第2位 武豊騎手 27勝 2007年7月
第3位 C.ルメール騎手 25勝 2019年8月
第4位 柴田善臣騎手 24勝 2004年7月
第5位 福永祐一騎手 23勝 2016年7月

 今年も2017年ほどのペースではないものの、7月3週目を終えて12勝と福島リーディングでトップを走る戸崎騎手。「夏男」の名に相応しい快進撃をみせており、全国リーディングでも川田騎手や横山武騎手に次ぐ3位につけている。

 現在、5年連続で全国リーディングを獲得しているルメール騎手が不在ということもあって、リーディング争いも例年以上に白熱した展開をみせている。“鬼の居ぬ間の”8月1週目までに、如何に勝利を挙げられるかが今後への大きな鍵を握るかもしれない。

 2016年以来6年ぶりの全国リーディング獲得へ向け、戸崎騎手の夏の快進撃はまだ続きそうだ。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
 ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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