パチンコ「保留玉を空けて大当りさせれば高確率で連チャン発生!!～FレクサスⅥDの思い出～」【アニマルかつみの銀玉回顧録 Vol.019】

アニマルかつみの銀玉回顧録 Vol.019

　時は平成2年春。尼崎の実家を出て、東京から呼び寄せた彼女と大阪の此花で暮らし始めて半年が過ぎた。

　バンド「R」の活動の方は、東京の音楽事務所に所属し、CDをリリースさせてもらうことになるなど大きな進展があった。しかし、決まった給料をもらえるわけでもなく、バンドでの実入りは月に数回のライヴで発生するギャラのみ。

　なので、パチンコが調子いい時はパチンコで稼ぎ、負けが続くなどして手持ちが尽きたら日雇いや短期のバイトで急場をしのぐといった、不安定な生活状況には変わりはなかった。ちなみに、家賃や光熱費といった月々の支払いは、まことにお恥ずかしい話だが、北新地のクラブに勤める彼女に甘えていた。

　要するに、なんちゃってジゴロのような生活を送っていたわけだが、同じマンションに住むバンドのギタリストでパチンコ仲間のノリオを含め、同じようなライフスタイルのミュージシャンは当時、周りにいくらでもいたので、特に後ろめたさを感じることはなかった。まぁ、いま思えば若気の至りといったところだろうか。

　さて、通い始めた当初は激甘だったS会館でのメイン機種『シャトル21』だが、春をすぎ夏を迎える頃にはもう、これ1本で安定した稼ぎを得るのはかなり厳しい状況となっていた。

　そんな折、前にもご紹介した三共の連チャンデジパチ『フィーバーレクサスⅥD』には、大いに助けられた。

■フィーバーレクサスⅥD　

　大阪環状線の野田駅そばに新しい店がオープンしたと聞きつけ行ってみると、デジパチコーナーに雑誌でも見たことのない台があった。それが、『フィーバーレクサスⅥD』との出会いだった。

　初日は様子見がてらフツーに打って、そこそこ連チャンしてそこそこ勝ったが、「雑誌にはまだ載っていない台だけど、同じ『レクサス』だから『～Ⅴ』や『～Ⅶ』みたく朝イチ単発回しが効くに違いない」ということで、しばらく朝イチから通うことにした。

　ただ、寝ぼけ眼をこすりながら、ひたすら単発回しを続けて大当りを待つのは、時間もかかるし、せっかちな性格の自分にとっては苦行以外の何ものでもなかった。

　なので、時間効率を優先して保留玉を1～2個だけつけて回すという、横着な方法をとった。これでも、それなりに連チャンして、それなりの結果を出すことができたのだから、いま思えば相当に甘い台だったと言えるだろう。

『フィーバーレクサスⅥD』は、S会館を含めた近所の店に導入されることはなかったが、キタやミナミの繁華街へ行けば、そこかしこの店に導入されていて、打つには困らなかった。

　打ち込んでいくうち、朝イチからでなくても、とにかく保留玉をいくつか空けた状態で大当りさせれば高確率で連チャンすることがわかったので、バンドのスタジオ練習の前後などに心斎橋の商店街にあったA店やO店でよく打った。

　ともかく、『フィーバーレクサスⅥD』を追い求めているうちに、必然的にS会館を含めた近所の店で打つ機会はめっきり減って、気がつけば毎朝、バスに乗ってキタに向かったり、電車を乗り継いでミナミへ向かうようになっていた。

　さすがに、単発回し攻略が知れ渡るにつれ、どの店も次第にクギはシブくなり、連チャンして玉を積み上げれば店員の顔つきも険しくなるなど、打ち辛い状況になってくるわけだが、一方でまったくノープロブレムの奇特な店も何軒かあった。

　新たなホームグラウンドを求めて繁華街の店をあちこち回っているうち、気がつけばキタのお初天神通り商店街の中にあったG店に腰を落ち着かせていた。この店にあったのは、デザイン違いの兄弟機『～Ⅵ』だったが、クギの状態もよく、止め打ちをしていてもけして咎められることなどなかった。

　まぁ、残念ながらこのG店の『～Ⅵ』も、通い詰めているうち次第に手に負えない状況になってしまうのだが、結果的には向かいにあったS店や、その他お初天神通り界隈にあった数軒の店で在阪時代の最後の数ヶ月を過ごすこととなる。その理由については、また次回にでも…。