パチスロ「左ボタンを連打するだけで小役やボーナスの出現率がアップ!?」~4号機名機伝説~ 『ジャックポットⅡ』後編【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.83】

 

 1993年秋にリリースされた尚球社(現・岡崎産業)の4号機第1弾『ジャックポットⅡ』。

 当時のAタイプ機ではトップクラスのハイスペックが繰り出す高い連チャン性と、のちのシリーズ機種に受け継がれることとなる「コイン(リプレイ絵柄)テンパイ型リーチ目」などユニークな出目演出で好評を博した本作だったが、時折見せる「不可解な現象」が様々な憶測を生んだ。

 当時のパチスロ必勝ガイドの実戦では、ビッグの獲得枚数に大きなバラツキがあり、またデータを採取した時期や店舗ごとに、けして看過することの出来ない小役出現率の差が見られたのである。

 少し前の裏モノ全盛期なら、「複数のバージョンがある!?」と騒がれるところだが、それまで不穏な噂とは無縁だった同社の、しかも4号機第1弾のマシンだ。「さすがに、それはないだろう」と、裏モノ説は否定された。

 しかし、本作にはついては、「ボーナス成立後に永久に小役が抜ける」とか、「ビッグ中の小役ゲーム中に再度、ビッグを揃えることができる」などなど、当初から攻略法に関する様々な噂が、まことしやかに囁かれていた。


 結果的に、それらはすべてガセネタだったのだが、ほどなくしてホンモノの攻略法が発覚。大騒動となる。

 手順は至って簡単。ウェイトがかかるように早く打ち、ウェイト中に左ボタンを連打するだけ。すると、小役…特にリプレイの出現率がアップしてコイン持ちが良くなり、果てはボーナス出現率までもがアップするというのだ。

 つまり、攻略スタッフのひとりがしきりに熱弁していた「急いで打つと小役が偏る」「手を止めると流れが変わる」という話が、けしてオカルトではなく真実だったわけである。


 この「左ボタン連打攻略法」、3号機時代に攻略情報誌の誌面を賑わせたセット打法のような破壊的な効果は期待できなかったが、コツさえ掴んでしまえば持ちコインを減らすことなくボーナスを引き寄せることができ、相当な出玉率アップが期待できた。

 自分も当時は、検証のために何度となくこのネタを試した。ハッキリと明確に「効いている」と感じることはなかったが、気がつけばモリモリと持ちコインが増えていたのだから、やっぱり相当な効果はあったのだろう。

 しかし、なぜこんな簡単な方法で攻略ができたのだろうか。原因は、役判定用乱数の偏りにあった。

 ウェイトをかけて一定のタイミングでプレイすることで、一定の範囲内にある特定の乱数を拾いやすくなり、結果的に小役やボーナスの出現率がアップしてしまうのである。


 そもそも、2-1号機『チャレンジマン』で体感器による狙い打ち攻略を受けたという痛い過去があるのに、なぜ尚球社は同じような過ちを繰り返してしまったのだろう。攻略云々よりも、そっちの方が自分は気になって仕方なかった。

 結局、この「左ボタン連打攻略法」は、対策機『~ⅡA』への入替によって終息を迎えるのだが、それ以前にかなり強引な方法で対策をする店も少なくなかった。

 当時暮らしていた世田谷は三軒茶屋にあった某店は、裏から何か詰め物でもしていたのか左ボタンがガッチガチに固められていて、連打どころかふつうにリールを止めるにも、渾身の力を込めて「ぎゅーっ」と押さないと効かないようになっていた。

 いまなら完全に未承認改造で通報されるべきことだが、当時はまだまだコンプラ意識が希薄だった時代。何か事が起これば、自前で対策するのが当たり前のことだったのである。

(文=アニマルかつみ)
〈著者プロフィール〉
兵庫県尼崎市出身。1992年春にパチスロ必勝ガイドのライターとなり、以来30年にわたってメディア人の立場から業界の変遷を見つめてきた大ベテラン。ぱちんこ・パチスロの歴史に関しては誰にも負けない博識を持つ。最近ではYouTube動画チャンネル「ぱち馬鹿」のメンバーとして、各種企画の制作や出演、生配信などにも精を出している。ライター稼業のかたわら、ロックバンドのベースプレイヤーとしても活動中。愛猫家。昭和レトロ好き。

■Twitter(@anikatsu213):ANI-Katsu(アニマルかつみ)

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