パチスロ「伝統の名を冠した初のBタイプ機」~4号機名機伝説~ 『トロピカーナ』前編【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.73】


 史上初の新要件パチスロ4号機『チェリーバー』のセンセーショナルなデビューから半年が経過した1993年5月。

 業界を代表する2大メーカーから、待望の純国産4号機パチスロがリリースされた。山佐の『ニューパルサー』、そして今回取り上げるユニバーサルグループはメーシー販売の『トロピカーナ』である。

「トロピカーナ」という機種名は、0号機の時代から「アメリカーナ」と並んで、ユニバーサル系マシンの代名詞として親しまれてきた伝統のブランド。

 特に1.5号機の『トロピカーナ7X』は、ボーナス成立ゲームでのみ発生するフラグ告知サイン「遅れ」や、ビッグ中の「増やし」に代表される数々の攻略法で、ライトユーザーからプロまで多くのファンに愛された。

 続く2号機『トロピカーナA』は、ビッグボーナスの代わりに集中役「パーティーチャンス」を出玉獲得の主軸に据えた斬新なCタイプ機として登場。話題と注目は集めたものの、残念ながら先代を超えるヒットには至らなかった。

「トロピカーナ」の名を冠した歴代のマシン

 そんな伝統ある名を冠したことからも、初の4号機に対するメーカーの意気込みが伝わってくるわけだが、何より本作が注目を集めたのは、「史上初のBタイプ」であったことにほかならない。

 前にも説明したとおり、2号機からビッグ中のJACゲームの回数やビッグの有無によって、「A」「B」「C」の3タイプに仕様が分類されるようになった。

 Bタイプは、ビッグ中のJACゲームが最大2回で、一般的なAタイプ機と比べると獲得枚数が少ない。その分、確率を高く設定できるというメリットがあった。しかし、どういうわけか2号機でも3号機でもBタイプ機は1機種もリリースされなかったのである。

 史上初のBタイプとして登場した新生『トロピカーナ』のビッグ確率は、最低設定1でも186分の1、最高設定6に至っては131分の1と、一般的なAタイプでは考えられない超高確率。「出玉は少ないが、とにかく当りやすい」というBタイプのメリットを象徴するかのようなスペックだ。

 なお、サブキャストとしてシングルボーナスを搭載しているが(REGは未搭載)、その集中役は無く、また確率も全設定共通の1260分の1と激低。あっても無くてもいいようなものなのだが、その役割については後述する。

 ゲーム演出については、『チェリーバー』でファンに衝撃を与えたビッグ成立ゲームのみのフラグ告知機能「ビッグチャンスフラッシュ」が最大のポイント。

 全リール停止後、リールの中段に稲妻が走るようにバックライトが左から右へフラッシュすればビッグ成立となる。

 …と同時に、リール窓枠右横の「WIN」が点灯するのだが、例によって「モーニング台がバレてしまう」という理由で、大半のホールでは断線されていた。

 一方、リーチ目については、ユニバーサル伝統のシンプルなテンパイ型がメインだが、多くのパターンはシングルボーナスの取りこぼしでガセることがあった。

 逆にいえば、「フラッシュするか否か…最後のリールを止めるまで、ドキドキワクワク」という寸法。つまり、このドキドキ感を演出するためにシングルボーナスは存在していたのである。


 破格のビッグ確率とスリリングな演出を搭載して登場した『トロピカーナ』。果たして、市場の反応はいかがなものだったのだろうか。次回、史上初のBタイプ機に対する市場の反応と、その行く末について綴ってみたい。

(文=アニマルかつみ)

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