パチスロ「脳トレでARTをゲット」!? 頭脳で勝ちに行く超斬新マシン!!

　今も昔もテレビ番組でお茶の間を楽しませてくれるクイズ番組。
　世界の不思議を発見したり、東大生とクイズバトルしてみたり、時には小学生より賢いのか？なんて事までやってくれる番組まである。

　こういった番組は頭の体操にもなるが、15年ほど前にもある携帯ゲーム機が発売され話題となった。「脳トレ」である。

　大人になってあまり使わない脳の部分をゲームで使おう！
　固い頭を柔らかくしましょう！というようなゲームだった。
　このゲームが大ヒットし、世間には脳トレブームが起きたのだ。

　ゲーム機では他にも次々と新たな脳トレゲームが誕生。テレビ番組でも頭をスッキリさせてもやもやを晴らすような番組が人気を呼んだ。書店にも数々の脳トレ本が並び、出勤中のサラリーマンは電車の中で、学校の休み時間には本を片手に問題を出し合ったりしている姿が見受けられた。

　そんな脳トレブームから数年後。
　パチスロ業界に斬新で画期的なパチスロ機が産声を上げようとしていた…。

■頭脳で勝ち取るか？ 運で勝ち取るか？ 斬新なARTストックシステム

　多少脳トレブームも落ち着いた頃、ホールに1台の機種が降臨した。
　SANKYOから発売された『ゴッドハンターV』だ

　この当時発売されたSANKYOの台は非常に特徴的で、上部にミニリール、そして筐体真ん中には大きな液晶がある特徴的な台が多かった。

　そして、この大きな液晶はタッチパネルとなっており画面をタッチする事で様々な演出を楽しむことができるのだ。そのタッチパネルを使用した最終形態と呼んでいい機種がこの『ゴッドハンターV』である。

　最大の特徴は「脳トレゲーム」。
「アヌビスチャンス」と呼ばれるボーナスに当選すると発生する脳トレゲームはタッチパネル上に様々な問題が発生する。

　問題は全部で3問。全問正解でART2セット以上が確定する斬新なシステムなのだ。これが「ガチ」の問題で、全問ハズレてしまうとARTは獲得できず。実は当ってましたー！おめでとう！みたいな逆転演出も一切ないのだ (今でも理解できていないが、本当にどういう仕組みでARTの抽選してるんだろうか…)。

　問題も「計算力」や「推理力」、「視覚力」に「記憶力」と様々な問題が用意されており計算力なら「1 □ 2 = 3」□の中に入る物は何か？というような簡単な問題から「六 □ 8 ■ 弐 = 22」で□と■に入る物は？というようなちょっと難しい問題まで用意されている。

　その他、もぐら叩きのようなゲームや積み上げられたブロックの数を数える等、問題の数も豊富で非常に楽しめた。

■最大の売りが脳トレなのに…。 非常に残念な仕様なんです。

　ここまで読んでくれた方の中には「マジか。そんなんでARTもらえるなんて激甘じゃん。愛姫なんか目でもねぇな」と思った方もいるに違いないが…。

　残念ながら世の中そんなに甘くないのだ。
この脳トレゲームが始まる「アヌビスチャンス」だが、これが設定1で1/655、設定6でも1/436となかなか重くて引くことができない。

「まぁ、それだけ甘いなら仕方ないんじゃないかな？」と思うだろう。
しかし「脳トレゲーム」を遊べない…。いや正確には「遊ばない」理由はもう一つあるのだ。

　脳トレゲームが遊べる「アヌビスチャンス」なのだが、脳トレが苦手な人のための配慮がなされている。

　運で獲得できるシステムも選択できるのだ。
その名の通り、画面に表示された絵を選択するだけ。絵の後ろに隠された文字の結果によってARTのセット数が決まるのだ。

　コレが「脳トレゲーム」最大の敵。選択できる絵柄の中にはセット数である「1set」や「2set」、その他獲得したセット数を増やしてくれる「×5」や「×10」という数字が隠されていることもある。

「脳トレゲーム」で獲得できるARTの最大セット数は全3問を正解する事でもらえる3。
しかしこの「セレクトチャンス」では「5set」の「×10」なんて引いた日にはなんと50セットだ。

　そりゃ50セットなんていう数字はなかなか引けるものではないが、それでも「1set」の「×5」くらいは普通に引ける。つまり脳トレで3セットもらいにいくくらいなら運試しで5セットを狙いにいく方が断然良い。もちろん「0set」なんていう数字もあるが、実戦経験上0で終わった事はない。

　これが「脳トレゲーム」を「遊ばない」理由に繋がってしまい、最大の売りがどんどん霞んでしまった…。

　残念ながら元々導入台数も多くなく、バラエティーコーナーに1台ある程度の台だったのでそこまで話題になることもなく消えてしまった印象。知っている人はあまり多くないが、遊んだ人たちの脳にはしっかりと刻まれている事だろう。

(文＝ロマニスタ鈴木）
<著者プロフィール>
　好きなゲームキャラクターがモチーフのパチンコ『CRソニック』でホールデビュー。
その後パチスロも遊技するようになりドハマりする。好きな機種は5号機時代のSNKプレイモアが出していた機種たち。パチンコでは甘デジやライトミドルを好んで打つ。サッカーと猫をこよなく愛し、週末はJリーグの試合を平均6試合くらい見ている。

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