【日本ダービー】「芝未勝利馬」の参戦視野に懐疑的な声? 無傷の4連勝でダービー挑戦も「シンガリ」に敗れたサクセスブロッケンの記憶
ユニコーンS2着サトノエピック、日本ダービーも視野に
先月27日のユニコーンS(G3)で2着に好走したサトノエピック(牡3歳、美浦・国枝栄厩舎)が、今月26日に開催される日本ダービー(G1)を視野に調整されることが分かった。
同馬を管理する国枝師は「出走できるなら日本ダービーを目標にしたい」と、競馬の祭典に向けて意欲。所有する里見治オーナーと国枝厩舎のコンビはサトノレイナスで2021年の同レースを5着に敗れたが、目指すは3年前より上の着順になってくるだろう。
サトノエピックはイクイノックスと同じキタサンブラック産駒とはいえ、ここまでの勝利はすべてダートのレース。収得賞金は1650万円となっており、芝のリステッド競走で勝利経験のあるサンライズアースやミスタージーティーの1600万円を上回っている。
ただ、芝は未勝利ということもあってか、一部ファンから懐疑的な声も出ているようだ。
まだトライアルがすべて終了していないため、ダービーの出走ボーダーラインが明らかではないものの、場合によっては芝未勝利のサトノエピックが出走可能となり、サンライズアースとミスタージーティーのどちらか、あるいは両方がダービーに出走できない可能性も残されているからだ。
現行のルールに則って参戦を予定しているのだから、もちろんサトノエピック陣営に何の落ち度もない。
しかし、一部からあまり歓迎されなかった背景には、過去にダートから転戦してダービーに出走した馬たちの結果が出ていないこともあるだろう。特に象徴的な結果となったのが2008年のサクセスブロッケンではないか。
後のダートG1・3勝馬もダービーに出走
同馬は福島ダート1700mのデビュー戦で、2着に3秒1の差をつける衝撃の大差勝ちを記録。2戦目の自己条件でも3馬身半、3戦目のヒヤシンスS(OP・当時)は4馬身、4戦目の端午S(OP)5馬身と、圧巻のレースで無傷の4連勝。勢いそのままに、陣営は5戦目に日本ダービーを選択した。
その一方でこの年のダービーは、ダート路線からサクセスブロッケンが出走したこともありボーダーラインが上昇。出世レースである東京スポーツ杯2歳S(G3・当時)の勝ち馬だったフサイチアソートが除外となり、同日の最終レースに開催された目黒記念(G2)に出走するというケースも発生していた。
当日は前哨戦の青葉賞(G2)を勝ったアドマイヤコマンドや、一冠目の皐月賞(G1)で2着に入ったタケミカヅチを上回る3番人気の支持。芝のレースは初出走だったとはいえ、走ったことがない無敗馬だからこそ未知の魅力もある。もしかしたら規格外の怪物かもしれないという期待感もあったのだろう。
だが、現実はそこまで甘くなかった。サクセスブロッケンは好位を追走するも最後の直線で失速。勝ったディープスカイに2秒以上も離された最下位でゴール。ダート路線を歩んできた馬にとって、日本ダービーはあまりにも高過ぎる壁だったようだ。
「サクセスブロッケン陣営はダービーの惨敗で早々に芝に見切りをつけると、その後はすべてダートに出走しG1・3勝。引退後は東京競馬場の誘導馬として、2度目となるダービーの舞台に立ったことで話題にもなりました。
また、ダービーに挑戦したダート馬といえば、それ以前の2002年にもゴールドアリュールがダービーに出走したケースがありました。こちらは果敢に先行すると最後まで粘り腰を見せ、勝ち馬のタニノギムレットから0秒3差の5着に健闘。出走するからには全馬にチャンスがあるわけで、ひとつ言えることがあるとすれば、やってみないと分からないということです」(競馬誌ライター)
ダート馬が参戦したことで過去の日本ダービーでは上記のようなエピソードも生まれたわけだが、JRAでは2025年から「3歳春季G1競走での出走馬決定方法の改善」が行われることが決定済みだ。
これは3歳春季G1に、芝で良好な実績のある馬が優位に出走できるよう、出走馬決定方法を現行の「通算の収得賞金」から、「芝コースにおいて行う、中央競馬のオープン競走、1勝クラス競走およびパート1に定める外国の競走で獲得した収得賞金」に変更するというものである。
これによりダート馬の参戦は、トライアルで優先出走権を取らない限り相当厳しくなりそうだ。場合によっては芝未勝利でのダービー参戦は、今年のサトノエピックが最後となるかもしれない。
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