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【天皇賞・春】「横山典弘マジック」に翻弄された敗戦の弁?大敗でも爪痕残した名手の存在感…テーオーロイヤル、ディープボンドの好走にヒント

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横山典弘騎手 撮影:Ruriko.I
横山典弘騎手 撮影:Ruriko.I

 先週末の京都競馬場では、古馬最強ステイヤーを決める天皇賞・春(G1)が開催。淀の3200mを先頭で駆け抜けたのは、近走の充実ぶりが目立ったテーオーロイヤル(牡6、栗東・岡田稲男厩舎)だった。

 人気を二分したドゥレッツァは、落馬負傷で戦列を離れたC.ルメール騎手からバトンを託された戸崎圭太騎手とコンビを結成。レース直前まで1番人気に支持されるほど期待を集めていたが、勝負どころで手応えが怪しくなって15着に惨敗した。

 本馬を所有するキャロットファームの発表によると、軽度の熱中症の症状が見られた様子。幸い命に別状はなかったようだが、昨年の菊花賞(G1)を制した思い出の地であまりにも残念過ぎる結末が待っていた。

横山典弘マジックが出走馬を翻弄?

 その一方で今年の天皇賞・春が、少々クセのある結果だったことにも触れておきたい。

 特に目を引いたのはレース後に各騎手や陣営から「思ったより位置が取れなかった」「伸び切れなかった」というコメントが出ていた点である。前者は後方から末脚を伸ばした馬が多く、後者は好位からの競馬で直線の伸びを欠いた馬に多かった。

 そこでひとつ気になったのは、出走馬の中で最もスタミナ寄りの馬といっても過言ではなかったディープボンドが3着に好走していたことである。

 もちろん、スピードとスタミナに秀でたテーオーロイヤルが格の違いを見せつける勝ち方をしたのは間違いないが、2着ブローザホーン、4着スマートファントム、5着ワープスピードは最後の直線を10番手以降の後方から末脚を伸ばした馬。結果的に前残りだったのか後ろの馬に展開が向いたのかはわかりにくい。

 ただ芝3200mのラップを確認してみると、少し合点がいったことも確かだ。レースは横山典弘騎手の騎乗したマテンロウレオがハナを主張して最終コーナーでディープボンドに交わされるまで後続を先導したのだが、道中で一度も13秒台が出現しない激流を作り出していたのだ。

 前半1000m通過59秒7で後半のそれも60秒0。スタミナを問われる長距離なら、道中どこかのタイミングで息を入れておきたかったはずだが、2番手のディープボンドが3~4馬身程度の後方でピタリとついて行ったため、大逃げに持ち込むことが出来なかったことも、視覚的にわかりにくくなった理由だろう。

「一貫して速いラップが続いたこともあり、かなりの消耗戦だったことは間違いなさそうです。レースを引っ張ったマテンロウレオが好位追走組のスタミナを奪い続け、これを無理に追い掛けずに脚を溜めていた組が直線で脚が残っていたということでしょう。力の抜けていた勝ち馬は底力勝負で問題なく抜け出し、苦手な切れ味勝負を回避してスタミナを要する展開を味方につけたディープボンドが好走したように映りました。

イメージとしては日経賞(G2)に近い気がします。あのときは大逃げに持ち込んだマテンロウレオを捕まえるために仕掛けの早くなったボッケリーニの脚が直線で鈍り、後方で脚を溜めた組が上位に入りました。もし横山典騎手が不在ならテーオーロイヤル以外の馬の着順は大きく変わった可能性もありそうですよ。着順こそ昨年の5着から大きく下げたマテンロウレオですが、展開に大きな影響を与えた天皇賞・春の隠れたキーマンだった気がします」(競馬記者)

宝塚記念でも侮れないテーオーロイヤルの実力

テーオーロイヤル 撮影:Ruriko.I
テーオーロイヤル 撮影:Ruriko.I

 それだけに、この「横山典弘マジック」ともいうべき“展開のアヤ”に翻弄されることなく圧倒的な強さを見せたテーオーロイヤルの充実ぶりは、ひときわ目立った。

 勝ちタイムの3分14秒2(良)も過去10年の天皇賞・春で、2017年にキタサンブラックがマークした3分12秒5(良)に次ぐ好時計。好メンバーが揃いそうな宝塚記念(G1)でも主役を演じても不思議ではない秀逸なパフォーマンスだったように思う。

GJ 編集部

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