「信じた俺がアホ」天皇賞・春(G1)大本命テーオーロイヤル優勝も「自信の1点勝負」は空振り…藤田伸二氏が前夜に感じ取っていたドゥレッツァの危険な前兆
「今まで生きてきた中で一番嬉しい」
28日、京都競馬場で天皇賞・春(G1)が行われ、1番人気テーオーロイヤルが優勝。2着ブローザホーンに2馬身差をつける完勝で悲願のG1タイトル奪取に成功した。
「本当に、今まで生きてきた中で一番嬉しいです」
テーオーロイヤルとともに自身もG1初制覇を遂げたのは、デビュー13年目の菱田裕二騎手。「具合が良かったからか、いつもより前進気勢はあったのですが、その中でもしっかりリズム良く走ってくれました」と会心の勝利を満足げに振り返った。
そんなテーオーロイヤルと菱田騎手が道中でぴたりとマークしていたのが、同じ2.8倍の単勝オッズで人気を分け合った2番人気のドゥレッツァである。
前走の金鯱賞(G1)はプログノーシスに5馬身ちぎられる完敗を喫したものの、昨秋の菊花賞(G1)を圧勝した実績が買われ、G1・2勝目を期待されたレースだった。ドゥレッツァは好スタートを決めて序盤は2番手の絶好位を確保。1コーナーで3番手へ下げたが、リズム良く走っているように見えた。
ところが、「3コーナー手前ぐらいから内にささりだして」と鞍上の戸崎圭太騎手が振り返ったように3コーナーの坂の下りでテーオーロイヤルらに交わされてズルズルと後退。最後は勝ち馬から5秒6差の15着で何とかゴールにたどり着いた格好だ。
「2強の明暗が完全に分かれてしまいましたね。単勝オッズは全く同じ(2.8倍)でしたが、どちらかというとタフなローテーションが嫌われて、テーオーロイヤルの方が危険な人気馬扱いを受けていた印象がありました。
一方のドゥレッツァはローテーションにゆとりもあって叩き2戦目。上積みがあると思っていたのですが……。オーナーサイドから『軽度の熱中症の疑い』と発表されたので、敗因はこれに尽きると思います」(競馬誌ライター)
結果的に明暗を分ける形となったテーオーロイヤルとドゥレッツァだが、両馬によるワンツー決着を予想していたのが元JRA騎手の藤田伸二氏だ。
同氏は天皇賞・春の前日夜に自身のYouTube「藤田伸二チャンネル」で生配信を敢行。テーオーロイヤルが前走の阪神大賞典(G2)で披露した走りを高く評価した上で、菱田騎手が(3コーナーの)2度の坂越えをうまく乗り切れば「勝てるんじゃないかな」と、自信の本命に抜擢した。
そして藤田氏が対抗の2番手に名前を挙げたのがドゥレッツァだった。昨年の菊花賞で同じ京都コースを経験し、圧勝していたことが強みと理由付けしたが「(鞍上は)戸崎か。ルメールだったらなという気持ちは正直ある」と、乗り替わった戸崎圭太騎手に一抹の不安がよぎった様子も見せていた。
藤田伸二氏が前夜に感じ取っていたドゥレッツァの危険な前兆
「今日(27日)のレースでも、戸崎なにやってんねんっていうレースがあった」と、藤田氏の目には土曜の競馬で戸崎騎手が精彩を欠く騎乗をしていたように映ったようだ。それでも3番手以下との力差は明らかで「テーオーロイヤル→ドゥレッツァの馬単1点でもいいんじゃないか」と渾身の1点勝負を披露した。
そして迎えたレースは先述した通り、テーオーロイヤルが圧勝も、ドゥレッツァは馬群に沈み、「2強対決は両雄並び立たず」という格言通りの結果に……。
これを見届けた藤田氏はレース後、自身のXに「菱田おめでとう」「とても冷静だったね!」とポストし、後輩のG1初制覇を称えた上で「戸崎は一周目の登り下りが掛かってた。手が合わない!!」(原文ママ)と一刀両断……。
ただ“馬券は自己責任”と言わんばかりに「信じた俺がアホ」と、2強決着を予想した自身の判断を悔むコメントも残していた。
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