パチスロ「近代パチスロ初のブラックリールに話題騒然」~4号機名機伝説~ 『ジョーカー』編 【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.122】
アニマルかつみの回胴青春時代Vol.122
1994年暮れリリースの『ビーチガール』をもって、伝統の『ガール』シリーズに終止符を打ったオリンピア。
翌95年になると同社は、『ブルーマリーンⅡ』や『サンセットマリーン』、そして『オーシャンカップ』といった、海をテーマにしたマシンを続々と市場に投入、「オリンピアといえば、海スロ」といったイメージをファンの間に根付かせる。
ところが、である。同年暮れにリリースされた新作では、大胆なイメージチェンジが図られ、ファンを驚嘆させる。
「漆黒の闇夜に浮かぶ満月と、不気味な笑みを浮かべる道化師」をモチーフにしたミステリアスなマシン、その名も『ジョーカー』である。
『ジョーカー』
レッド&ブラックの2トーンを基調としたパネルデザインがゴージャスなムードを醸す本作だが、何をさておき最大の特徴は、「ブラックリール」を採用している点に尽きよう。
パチスロの遠い祖先である大昔の『オリンピアマシン』はいずれもリールが黒かったし、0号機時代の一部のマシンにも黒いリールを採用していたものがあった。が、近代のパチスロにおいては前例がなく、本作が初の試みであった。
そんな漆黒のリールに描かれる絵柄は、機種名のとおりトランプにちなんだもの。黒地に映えるよう、すべての絵柄に金箔の縁取りがなされていたのが、とてもゴージャスだった。
仕様は、表面上のボーナス比率2:1のオーソドックスなAタイプ。『ビーチガール』以降の、同社のスタンダードである。
スペックも『ビーチガール』を踏襲しており、規定ギリギリの高確率に設定されたビッグをメインに対するREGも全設定にわたって高めの数値が与えられるなど、連続性を追求した確率配分となっているのが特徴だ。
実際、「じゃじゃ馬」と評された『ビーチガール』と同様、挙動は総じて荒かった。7枚交換の出玉優良店での初実戦では理論値を上回る高い連チャン性を示し、高設定が期待できない平常営業の高交換率店での7日間リレー実戦では、連日にわたって超ノーマル級の荒波がプレイヤーを翻弄した。
一方、ゲームを彩る出目演出については、直近の先発機たちとは一線を画すものとなっている。機種を重ねるごとに難解かつマニアック度が増していった大量リーチ路線から一転、ファジーなチャンス目メインへと大転換が遂げられたのだ。
基本的に、ボーナス絵柄が一直線に並べばチャンス到来。が、その期待度というか信頼度は、組み合わせや停止ラインによって、完全なるノーチャンスから安心確実な100%鉄板まで様々だった。
基本的に、左リールに「7」と他のボーナス絵柄が同時に停止した場合、「7以外」からの一直線型はほぼノーチャンスだが、「7」からの一直線型は総じて強く、また「スベリ」が加わることで鉄板目に昇格するパターンも多々あった。
また、中リールのボーナス絵柄の代用として小役絵柄が停止するパターンもあり、とりわけ近くに「7」が無い「キング」は最強だった。
歴代『ガール』シリーズを受け継ぐ気性の荒さと、ファジーでミステリアスなチャンス目でプレイヤーを翻弄させた『ジョーカー』。だが、本当の意味でプレイヤーの手を焼かせたのは、最大のウリともいえるブラックリールだった。
というのも、当時のオリンピアのマシンには、現在のマシンでは当然の装備であるリールを後ろから照らして絵柄を浮かび上がらせるためのバックライトが搭載されておらず、回転中の絵柄の視認性が非常によろしくなかったのだ。
すべての絵柄に金箔の縁取りがされていているのも、絵柄を見分けるという観点からすれば、ただただギラギラするだけで、厄介極まりなかった。
もし、ユニバーサルのマシンのように、リールバックライトが装備されていたら。評価は随分と違ったものになっていただろう。モチーフやデザインがハイセンスでカッコイイだけに、本当に残念である。
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