パチスロ「特異な仕様がアダとなり短命に終わった山佐の4号機第3弾」~4号機名機伝説~『セブンリーグ』編 【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.121】
アニマルかつみの回胴青春時代Vol.121
1993年春にリリースした4号機第1弾累『ニューパルサー』が累計販売台数23万台というパチスロ史上空前のメガヒットを記録したことで、4号機市場におけるイニシアチブを完全に掌握した山佐。
続編となる『ダイバーズXX』は、前作を踏襲する仕様&スペックながらも、より複雑度を増した出目演出が巷のフリークたちを魅了。これもまた、好セールスを記録する。
「とにかく、山佐の台さえあれば、万事オッケー」
1号機時代から脈々と受け継がれてきた、打ち手を選ばぬオーソドックスな仕様とスペック、そしてマニアも納得の豊かなゲーム性。そんな山佐のマシンは、ファンにとってもホールにとっても、安心感に満ち溢れた存在だったのである。
ところが、である。1995年春にリリースされた4号機第3弾『セブンリーグ』は、頑なに伝統に忠実な、いい意味で保守的だった従来の山佐のマシンとは、様々な面で一線を画すものであった。
『セブンリーグ』
当時、人気沸騰中だったサッカーをモチーフにした本作、絵柄にも「GOAL」や「シューズ」、「ボール」、「ラッパ」といった、サッカーにちなんだものを採用。
また、ビッグ絵柄のキャラクターには、ひょうきんな表情がユニークなゴールキーパー怪獣「パーキー君」を採用。大胆なデフォルメがほどこされた「7」も、山佐のマシンとしては斬新な試みだ。
が、そんなデザイン的な斬新さはともかく、本作が山佐のマシンとしてもっとも特異だったのが、シングルボーナスとその集中役を搭載した、いわゆるA‐Cタイプであるという点に尽きる。
実は、それまでにも山佐は、2号機時代にCタイプ機『フルーツチャンス』、そして3号機時代にはA‐C機『ホールインワン』といった、集中役による大量獲得に主眼を置いたマシンをリリースしているのだが、いずれも市場に受け容れられず、不遇に終わっている。
この『セブンリーグ』は、集中役を搭載しながらも、過去の2作とはまったく異なるコンセプトで開発された。
その最たるものが、「A-A-cタイプ」と名付けられた特異なスペック。出玉獲得の主役は集中役ではなく、全設定にわたって規定の上限値ギリギリの高確率ビッグが担っていたのである。
一方、集中役は「入りやすく、抜けやすい」といった性質のもので、出玉的には「獲得枚数が変動するREG」といったところか。とにかく、一撃必殺の大量獲得など夢のまた夢であった。
しかし、実際のところは、この一見すると何のために存在しているのかわからないような集中役が、最終的な出玉を大きく左右する重要な役割を担っていた。先述のとおりメインのビッグは設定差が小さいが、集中役は突入率はもちろんのこと獲得枚数も設定によって大きな差が設けられていたからだ。
高設定域では、高確率ビッグの連打の合間に集中役が絡むことで、一気大量獲得が期待できた。実際、山佐のお膝元である岡山へ遠征しての初ホール実戦や、パチスロ必勝ガイドの7日間リレー実戦企画「91時間バトル」で高設定台をつかみ、その凄まじい爆発力を体験した。
が、低~中設定域では、どうしても緩慢な出玉推移に陥りやすく、そもそも特異な仕様やゲーム性がアダとなって生粋の山佐ファンから不評を買い、結果的には今作もまた、市場に受け容れられることなく短命に終わってしまった。
そして山佐は、何ごとも無かったかのように再び従来の保守派路線に立ち返り、『ニューパルサー』で確立した4号機Aタイプの王道を、ひた走るのであった。
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