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パチスロ4号機の末期に存在した「超カオス」な機種【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第65話:梅松ダイナマイトウェーブ】

パチスロ4号機の末期に存在した「超カオス」な機種【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第65話:梅松ダイナマイトウェーブ】の画像1

第65話 梅松ダイナマイトウェーブ

 現行のAT機は通常ゲーム中の押し順が「順押し推奨」となっています(左から止めさえすればハサミ打ちも可)。まぁ、中には去年の春にデビューした『スマスロ北斗の拳』のような中押し推奨機もありますが、これは初代北斗のゲーム性を再現したが故に派生した例外中の例外であり、多くの機種は基本的に左リールから止めることを前提に設計されています。

 なぜそんな仕様になっているのでしょう? 答えは単純かつ明快。右または中リールから止めると小役が揃いやすくなってコイン持ちがアップする代償に、AT関連の抽選値が著しく不利になってしまうからです。

 たとえば、変則打ちを行った際にチャンス役が成立していても正規の確率でAT抽選を受けられず(当選率が大幅ダウン)、小役が入賞した場合はペナルティ区間に移行して、小役獲得による純増が0になるまでAT抽選そのものを行わなくなったりします。変則打ちによりプレイヤーが被る不利益は非常に大きいため、通常時はナビの非発生時に左リールから止めるのがマストなのです。

 一方、AT中にはペナルティの概念がなくなるため、アツい演出(チャンス役に対応した演出など)の発生時に変則打ちで楽しんで構いませんが、押し順ナビだけは必ず遵守するのが基本です。ペナルティが無いからといってナビに逆らうと、獲得できるはずの小役を取りこぼすことだってありますし、他にどんな不利益を被るかわかりませんからね。

 かように、現行の「押し順ナビ」はプレイヤーに損をさせないために発生する仕様なのですが、パチスロの歴史を振り返ると、ナビが非常にわかりにくかった時代もありました。

 たとえば下の写真。これは5号機時代初期のART機「戦国無双」(山佐)のART中に発生する「パンク役回避ナビ」です。パンク役(sin)は赤&紫の2種類で、赤頭のパンク役は左リール赤7の周辺に、紫頭のパンク役は同じく紫BARの周辺に偏って配置されています。というわけで、このナビが発生した際に左に何を狙えば良いかわかりますか?

パチスロ4号機の末期に存在した「超カオス」な機種【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第65話:梅松ダイナマイトウェーブ】の画像2 正解は「左に紫BARを狙う」です。

 なんやそれ、怒るでしかし! …ってな感じですが、この当時は「フラグ不成立の役をナビしてはいけない」という内規だか申し合わせがあったため(詳しいことは知りませんが)、この場合には「赤頭のパンク役が成立しているから、左に紫BARを目押ししてARTパンクを回避しなさいよ」ということを意味しているのです。

 もちろん、小冊子にはその詳細が明記されていますが、基本的な仕様を知らずに打ち始めた一般客の中には、せっかく引き当てたARTを速攻でパンクさせる人が多勢。その一方で、小役を取る際にはナビされた絵柄をそのまま狙えってんですから、混乱するのも無理はなかったような気がします。

 だけど、実を言うとこんなのは序の口です。実は4号機の末期に、押し順ナビすら出せない超カオスな機種もあったんですから。

 以下、本編。

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 時は2004年の8月。ロデオから『梅松ダイナマイトウェーブ』がリリースされました。

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ロデオの大量獲得ストック機『梅松ダイナマイトウェーブ』。バラエティ番組などで新境地を切り拓いた大御所俳優・梅宮辰夫&松方弘樹の両氏とタイアップしたマシンで、ビッグ中は簡単な目押しでMAX711枚の獲得が可能だった。通常時は抱腹絶倒の液晶演出が発生し、前兆ステージ「マンボウゾーン」に突入すれば大チャンスとなる。(写真は「パチスロ大図鑑2001~2007/ガイドワークス刊」より)

 当時は大都技研の「吉宗」が開拓した大量獲得ストック機の全盛期で、追いつけ追い越せとばかりに平和から「主役は銭形」が、エレコからは「シンドバッドアドベンチャーは榎本加奈子でどうですか」が、ベルコから「デジフラッシュ」が、ロデオからは「ガメラハイグレードビジョン」が登場して互いに鎬(しのぎ)を削っていた頃でした。版権こそ違えど、梅松ダイナマイトウェーブはガメラHGVの後継機にあたります。

 でもって、梅松ダイナマイトウェーブのビッグ消化手順は、後に登場した「鬼武者3」とほぼ同じです。ビッグ中は15枚役のベルとボーナスインが同一フラグとなり、右から押せばベルが揃い、左から押せばボーナスインする仕組みです(ただし、ボーナスインの際に右に2連青7を要目押し。これを怠ると純増枚数が12枚減少する)。

 そして、鬼武者3の場合はボーナスインさせるべきゲームで「順押しナビ」が発生しますが、梅松ダイナマイトウェーブは当局の指導か何かで「ビッグ中に押し順ナビを発生させるのは、遊技の任意性を奪う行為に該当するため好ましくない」という意味不明の理由により(正確な文言ではありません)、押し順ナビを搭載できなかったんです。

 結果、困り果てたロデオは「小冊子にビッグ中の打ち方を掲載する」ことにしました。下の写真は私が所有している梅松ダイナマイトウェーブの小冊子です。

パチスロ4号機の末期に存在した「超カオス」な機種【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第65話:梅松ダイナマイトウェーブ】の画像4パチスロ4号機の末期に存在した「超カオス」な機種【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第65話:梅松ダイナマイトウェーブ】の画像5パチスロ4号機の末期に存在した「超カオス」な機種【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第65話:梅松ダイナマイトウェーブ】の画像6パチスロ4号機の末期に存在した「超カオス」な機種【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第65話:梅松ダイナマイトウェーブ】の画像7パチスロ4号機の末期に存在した「超カオス」な機種【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第65話:梅松ダイナマイトウェーブ】の画像8 なんでタレントの小倉優子さんが小冊子に出ずっぱりで、本来の主役であるはずの辰兄ぃ&松ちゃんが液晶のデフォルメキャラだけなのかな? おそらくはプロモーション用の肖像権が契約から漏れていたための措置なんでしょうが、いくら小冊子にビッグ中の消化手順を載っけたところで、仕事帰りにちょろっと打つ程度のライトユーザーが、わざわざ小冊子を手に取って確認するわけがありません。

 だって、吉宗も銭形も、エノカナもデジフラも、もちろんガメラHGVもビッグ中に押し順ナビが発生したんだもの…。

 メーカーもこの機種の危うさに気づいていたのでしょう。梅松ダイナマイトウェーブはロデオの機種としては販売台数がかなり控えめで、私の行動半径内にあるホールには一軒も導入されませんでした。

 でもって、梅松の91時間バトルは池袋の某店で行ったのですが、その時に目撃しちゃったのよ。仕事帰りにフラリと梅松に座ったサラリーマン氏が、そこそこお金を遣ってようやくビッグを引いたのに、よくわからないままオール逆押しで消化して、獲得枚数が360枚で終了する瞬間を。

 だったら教えてあげればいいじゃん! もちろん、隣で打っていたならそうしましたよ。だけどそのサラリーマン氏は少し離れた台で打っていて、ビッグ中に流れる「♪タン、タタタタン、ワンツー、ワンツー!」のフレーズがいきなりブチっと切れたので驚いて彼の台を見ると、今まさにビッグが終了してサラリーマン氏が首を傾げている場面だったのだから仕方がありません。

 そのまま何事もなかったかのように遊技を続行した彼には敬意を表しますが、おそらく設置店のあちらこちらで同じ事件が起こっていただろうと思います。そして、トラブルの多発が原因で押し順ナビの搭載が認められたのかどうか…。後継機の「鬼武者3」では以前と同じくボーナスインさせるべきゲームでナビが出るようになりましたとさ。

 ちなみに、私が闘った91時間バトル「VS梅松ダイナマイトウェーブ」の実戦データはご覧の通りです。(パチスロ必勝ガイド2004年12月号に掲載)

パチスロ4号機の末期に存在した「超カオス」な機種【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第65話:梅松ダイナマイトウェーブ】の画像9 夜8時の設定発表で「設定3or4」の札が立ちました。

 個人的には好きな機種なんだけど、天国モードの範囲がやたら広いため(最大291G)、ヤメる際にはボーナス後に500枚近く打ち込んで、天国モードに非滞在なのを確認してヤメねばなりませんでした。吉宗(最大193G)や銭形(最大181G)に比べると、お得感が低いのは明らかですね。それだけが少し残念な機種でした。

ドラゴン広石

ドラゴン広石

ドラゴン広石(昭和38年12月生まれ)
平成7年に白夜書房「パチンコ必勝ガイド」編集部の門を叩き、パチスロの知識と経験、目押し力を買われて「パチスロ必勝ガイド」のライターに採用された。リアルタイムで「パチスロ0号機」を遊技した経験を持つ、唯一のパチスロライターである。令和4年現在でライター歴は27年。代表作に「枠上人生」、「浮草家計簿」(連載中)、「回胴絶景」(連載中)など。1日の最大勝ち額~プラス41万3千円(クラブロデオT)、1日の最大負け額~マイナス12万9千円(初代・北斗の拳)。

Twitter:@dragon_hiroishi

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