新潟記念で「死屍累々」の3歳馬…ブラストワンピース、スクリーンヒーローが辿った「Vロード」の明暗
4日に行われる新潟記念(G3)、今年はヒートオンビート、サンレイポケット、カラテなど重賞でも実績を残している馬が多く集まった。重賞戦線でもおなじみの面々といえそうなメンバーに挑むのが、唯一3歳馬であるフェーングロッテン(牡3歳、栗東・宮本博厩舎)だ。
フェーングロッテンは前走のラジオNIKKEI賞(G3)で重賞初制覇。前半1000mが58.8秒という厳しい流れを中団から脚を伸ばして掴んだ勝利は、その力を示すのに十分なレース内容であったように感じられる。
今回はちょうど2か月ぶりの実戦にして、初となる古馬との対決。秋の大舞台を見据えるなら、セントライト記念(G2)や神戸新聞杯(G2)といった世代別重賞という選択肢もあったはずだが、果敢にも古馬混合重賞を選択してきた。
3歳馬の出走した新潟記念といえば、ブラストワンピースが優勝した2018年が思い出される。春の日本ダービー(G1)で5着に敗れた本馬は、秋へ向けた始動戦として新潟記念に出走。3歳馬としては見込まれた54kgのハンデを背負うこととなったが、レースでは新潟の長い直線を生かした豪快な追い込みで古馬を撫で斬りにして見せた。
その後の菊花賞(G1)で4着に敗れてしまったものの、続いて挑んだ有馬記念(G1)でも古馬の一線級を撃破しグランプリ制覇の偉業を達成。このビッグタイトルの獲得も、結果的に新潟記念への出走で収得賞金を加算したことが功を奏したといえるだろう。
新潟記念で「死屍累々」の3歳馬…
まさに新潟記念の出走が出世への「近道」となったブラストワンピースだが、その一方で3歳馬の新潟記念への挑戦は決して甘いものではない。3歳馬の勝利はブラストワンピース以前では1983年のアップセッターにまで遡らなくてはならない。
JRAがデータを提供している1986年以降では、28頭の3歳馬が新潟記念へと挑んでいるが、その成績は(1-0-2-25)とまさに死屍累々といったところ。まだまだ成長途上の3歳夏の時期に、中距離で古馬を相手に結果を残すことの難しさが伺える。
近年でも21年のラーゴム、20年のワーケアがそれぞれ日本ダービーからの転戦で新潟記念へと挑んでいるが、両馬とも2桁着順の大敗を喫した。特にワーケアに関しては1番人気に支持された期待を裏切る敗戦でもあった。
また、過去に新潟記念で敗れた3歳馬の中には、後にジャパンC(G1)を制したスクリーンヒーローも含まれている。
モーリスの父としても知られる同馬は、ラジオNIKKEI賞で2着に好走して賞金加算に成功したものの、秋の初戦として出走した新潟記念で16着と惨敗を喫してしまう。その後はセントライト記念で3着に入って菊花賞の優先出走権を獲得したものの、レース後に左前脚の剥離骨折が判明する。
結局この故障が原因でスクリーンヒーローは菊花賞を回避し、約1年の長期休養を経て自己条件から出直すこととなってしまった。翌年の8月に迎えた復帰戦で勝利を飾ると、その後は順調に各レースで好走を続け、気づけば11月にはジャパンCのビッグタイトルを手に入れた。
怪我からの復帰後に瞬く間に出世を遂げたスクリーンヒーローだが、仮に3歳時の新潟記念で賞金加算に成功していれば、その後の運命も違っていた可能性はある。スクリーンヒーローにとっては、新潟記念は出世への「近道」とはならなかったといえるだろう。
今年の新潟記念へ挑むフェーングロッテンはラジオNIKKEI賞からの転戦であり、ローテーションの面ではスクリーンヒーローと似通っている。果たして新潟記念への出走をG1ロードへの「近道」とすることができるのか、それとも「遠回り」を強いられてしまうのか。
3歳馬にとっては茨の道ともいえる新潟記念で古馬へと挑む、フェーングロッテンの走りに注目したい。
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