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パチンコ「昭和最後の夜、久々に再会した友人が明かした『パチプロ』という生き方」【アニマルかつみの銀玉回顧録 Vol.004】

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アニマルかつみの銀玉回顧録 Vol.004

 1989年1月7日、土曜日。激動の昭和が、終焉の時を迎えた。

 昼過ぎに「むっくり」と起きてテレビをつけると、どのチャンネルもモノクロームな空気に支配されていた。

 その日は前々から、友人たちとの新年会的な呑みの約束があった。夕方、何ごともなかったかのように家を出て、電車を乗り継ぎ心斎橋へと向かう。

 ミナミの繁華街は、軒を連ねる多くの店舗が看板やネオンサインを消し弔意を表していたが、なんせ時代は未曾有のバブル景気の真っ只中。いつもの週末と変わらず…いや、自分と同じように新年の宴へ繰り出す人たちで、いつも以上にごった返していた。

 さて、人混みをかき分け、道頓堀に架かる通称「ひっかけ橋」を渡り、松竹座並びのビルの地下の居酒屋に入ると、すでに友人たちは1杯目のジョッキを半分ほど空け、何やら話に熱中していた。

「…あ、かっちゃん。待ってたでぇ」

 気配に気づいたのだろう。背を向けて座っていたM君が、腰まで伸びた髪を「ふわっさぁー」となびかせながら振り返った。

「おー、久しぶりやなぁー。まぁ、座れや」

 向かいに座るTさんが、浅黒い顔をくしゃくしゃにして手招きをする。彼と会うのは、かれこれ2年ぶりのことだったが、その顔つきはどことなく別人のようにも思えた。

 ひとつ下のM君、ひとつ先輩のTさんの二人と出会ったのは、バンド仲間から紹介されたデパートの催事場の設営をする日雇い仕事の現場。

 二人ともギタリストで、M君いわく「Tさんは、リッチー・ブラックモアのフレーズとか弾かせたら、めっちゃ上手いで」とのことだった。

 しかし、家庭の事情などもあってプロへの道は断念。家計を助けるべく、昼夜を問わずアルバイトをいくつも掛け持ちし、身を粉にして働いていた。週イチの現場で会うと、その横顔にはいつも疲れがにじみ出ていた。

 とにかく生真面目なイメージしかなかったTさんだったが、乾杯ののち近況をたずねてみると、予想だにしなかった答えが返ってきた。

「いまか? パチンコでプロやってんねん」

『パチプロ』という生き方

 聞けば、たまたま手にした雑誌で若手のパチプロのインタビュー記事を読み、「こいつに出来るんなら、俺にも出来るやろ」とプロになることを決意。

 パチンコやパチスロの中古台を購入して研究し、さらにはパチンコ店で出しているプロ風情の客に片っ端から声をかけては仲良くなっていくうち、気がつけば月にウン十万を稼げるようになっていたのだという。

パチンコ「昭和最後の夜、久々に再会した友人が明かした『パチプロ』という生き方」【アニマルかつみの銀玉回顧録 Vol.004】の画像2

 Tさんは、聞いたこともない専門用語をふんだんに交えながら、パチンコやパチスロの攻略に関する話や、「パチプロという仕事」についての話を、まるでマシンガンを乱射するかのような勢いで次々と披露してくれた。

 あいにくド素人な自分とM君は、ただただ「へぇ~」とか「すごいなぁ」と生返事で応えながら、ジョッキのビールを空けてはおかわりを注文するほかなかった。

「ほな、明日は●●で●●の『開店』があるから…」

 ひとしきり話し終えるとTさんは、懐から分厚い財布を取り出すやテーブルの端に1万円札を数枚「ばさっ」と置くと、そそくさと階段を駆け上がっていった。

「ハカマ…ヘソ……」
「ストロークはブッコミ狙い…か」
「チェリーを合わせる……合わせるって、どういうことや?」

 そんな風に、Tさんの口から乱射されたワードを復唱しつつ、相変わらず新年会ムードで賑わうミナミの街をM君とふたり、ふらふらとあてもなく歩いた。気がつけば、地下鉄の終電は終わっていた。

「どないする?」
「どないしようか…」

 ポケットをまさぐると、Tさんが置いていった万券の余りが3枚。当時の自分たちの財政状況からすると、なかなかの大金だった。

「とりあえず、電車が動くまで呑むか」
「せやね」
「パチプロかぁ…」
「パチプロねぇ…」

 Tさんの話を聞き、「パチンコはしかるべき方法論をもって挑めば勝率を高めることができる」ということは、おぼろげながらわかった。そして、Tさんの羽振りのよさを見て、「パチプロになれば、相当儲けられる」こともわかった。

 ただ、だからといって、「よし、自分もやってみよう」と奮い立たせてくれるような強い引力は、「パチンコ」の四文字からは感じることができなかった。

 ところが、である。その数ヶ月後のある日。奇しくも、このミナミの繁華街の一角で、その後の我が人生を決定づけることとなる出来事に遭遇する──。

(文=アニマルかつみ)
〈著者プロフィール〉
 兵庫県尼崎市出身。1992年春にパチスロ必勝ガイドのライターとなり、以来30年にわたってメディア人の立場から業界の変遷を見つめてきた大ベテラン。ぱちんこ・パチスロの歴史に関しては誰にも負けない博識を持つ。最近ではYouTube動画チャンネル「ぱち馬鹿」のメンバーとして、各種企画の制作や出演、生配信などにも精を出している。ライター稼業のかたわら、ロックバンドのベースプレイヤーとしても活動中。愛猫家。昭和レトロ好き。
■Twitter(@anikatsu213):ANI-Katsu(アニマルかつみ)

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