パチスロ「ハイエナ達の格好の餌食」に!? 王者とヒットメーカーの夢タッグが実現!!

　サンスリー製『Sスーパー海物語 IN JAPAN祭』のリリースが発表されました。今回のレトロパチスロ実戦は本機に便乗させていただきます。『海物語』繋がりということで、山佐の4号機『海一番』（2003年）にしました。　

　この海一番はA400タイプのストック機でBIG、REGボーナスの素早い連チャンに期待が持てるマシンですが、『三洋のオリジナルである海物語とのタイアップ』というレアなケースのパチスロ機ともいえますね。

　もう見た目はそのまんま海物語なデザインで、液晶上で奇数が揃えば確変（内部的に36G以内にストック放出確定）となり、もう1回というのも海らしさ全開。　正にパチンコ海物語を再現したようなパチスロで機でした。　

　当時の海といえば『CR新海物語』シリーズでしたが、それこそ今以上に絶大なシェアを誇っていた時代。そのシェアを奪い取ろうと、他のメーカー躍起になるのも当然といえたでしょう。

　海一番を開発した山佐自身に、そこまでの目論見があったかは分かりませんが…海ユーザーの取り込みは、結果としてあまり上手くいかなかったようです。　

　ストック機というのがよろしくなかったのか、仕組みを理解できず遊技していた海ユーザーや年輩客はおいしいところばかりに群がるハイエナ達の格好の餌食に。結果的に長期の稼働を得ることはなかったのでした。

■「ハイエナしかしない」と思ってしまうのも…

　ゲーム性も海よろしくシンプルといえば聞こえは良いですが、パチスロとして考えれば実に単調。ラッキー絵柄が揃えばチャンスとなり、液晶で数字が揃えばボーナス確定。出目にもこれといった特色はなしで、ひたすらラッキー揃いを待つのみ。

　しかしながら、パチスロ版ならではの特徴はあります。パチンコの海にはなかった魚群が後ろ向きで左から右に流れる『逆魚群予告』や、プレミアの『サム』出現や液晶上で7（ジュゴン）が揃えば大連チャンの期待が高まる『ビッグバンモード』が確定するというものも。

　BIGボーナス確率は設定1～6（約1/242～約1/205）と軽いようにも思えますが、REGが（約1/2424～約1/2056）と激低で10：1の比率ですから実質BIGのみのゲーム性といっても差し支えないくらいでした。

　おまけにストック放出契機はほぼほぼG数解除のみで、高設定域でも半分近くは700G以上が選択されるという悪魔のような振り分けでしたからね。誰しも「ハイエナしかしない」と思ってしまうのも頷けますが…。

　内部仕様が広まるにつれ稼働も落ち着いていき、ハイエナできる台がなくなっていったのでした。そうなると、次第に撤去という流れになってしまうのです。

　ただ、リセット時の恩恵は悪くなかったため私自身は宵越しの天井（1316Gで確変濃厚）とリセット狙いでボチボチ稼がせてもらったので悪いイメージはないのです。

　といった訳で定着は叶わなかった『海一番』。三洋が自社製の『スーパーパチスロ海物語』を作り出すまでには、ここからまだ7年もの歳月を要したのでした。

（文＝電撃しらっち）
<著者プロフィール>
業界歴30年。遊技機販売業など様々な業種を経験し、現在はライターとしての活動にも力を入れている。レトロパチンコ・パチスロの実戦記事や、業界関係者への取材記事も担当。羽根モノや一発台を特集するなど、オールドファンにも響く内容も積極的に作成している。

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