
JRA日本ダービー(G1)イクイノックス、ジオグリフら「4強」の壁厚し!? M.デムーロ「凋落」もあのレースから…名伯楽も「牧場の方があえて送らなかった(笑)」

今週末に開催される日本ダービー(G1)は、3歳世代の頂点を決める伝統の一戦。今年は皐月賞(G1)で上位に入った組の下馬評も高く、戦前から「4強」の争いが濃厚と見られている。
『netkeiba.com』が公開している予想オッズによると、イクイノックス、ダノンベルーガ、ドウデュース、ジオグリフまでの4頭が単勝一桁台。5番手オニャンコポン以降は、大きく離されており、ファンの多くがこれら4頭からダービー馬が誕生すると考えられているようだ。
一線級が集まる皐月賞組の優勢は、今に始まった訳でもなく、当然といえば当然ではあるのだが、本番と同じ東京の芝2400mが舞台のトライアル・青葉賞(G2)を使われた組から勝ち馬が誕生していないことは、ファンの間でも有名な話である。
1994年に創設されたこの重賞は、翌95年からダービートライアルに指定され、2001年にG3からG2へと格上げ。第1回の優勝馬エアダブリンが、三冠馬ナリタブライアン相手に日本ダービーで2着に入ったように順調な滑り出しだった。
イクイノックス、ジオグリフら「4強」の壁厚し!?
しかし、それから28回を数えてもまだ、2着までが最高で勝ち馬は誕生していない。
後の最強馬シンボリクリスエス、ゼンノロブロイも2着に敗れ、青葉賞馬として初めてダービーの1番人気に支持されたアドミラブルもまた、3着に敗れてしまった。その他の青葉賞勝ち馬にウインバリアシオン、フェノーメノ、ペルーサなど、G1級のスケールといわれた実力馬でさえ、ダービーの厚い壁に跳ね返されている。
アドミラブルが敗れた2017年は、当時G1の大舞台で絶対的な勝負強さを見せてきたM.デムーロ騎手と、どこか物足りなさのあったC.ルメール騎手の立場が逆転する契機となった感もある。レイデオロでダービー初優勝を挙げたルメール騎手は、王者に君臨するまで成績を伸ばし、敗れたデムーロ騎手の凋落が始まったのもこれくらいの時期だ。
そして、青葉賞を誰よりも好んで使ったのが、今年の2月に調教師生活に別れを告げた関東の名伯楽・藤沢和雄元調教師である。2002年から毎年のように期待馬を送り込み、青葉賞からのダービー制覇を夢見たものの、悲願の初優勝を成し遂げたレイデオロは、青葉賞ではなく皐月賞経由だったというのも、皮肉な話かもしれない。
3月にあった中山競馬場でのトークショー内では、インタビュアーからの質問に対し「牧場の方で青葉賞勝たれてまたダービーで上手くいかないからと思って送ってこなかったんだと思います(笑)」と答えて笑いを誘ったのも、藤沢先生らしい切り返しだろう。

勝てそうで勝てないこの「青葉賞の呪い」に挑戦する今年の出走馬は、プラダリアとロードルゼルの2頭。開催時期は異なるものの、先週行われたオークス(G1)の勝ち時計2分23秒9と、今年の青葉賞の2分24秒2(ともに良馬場)をどう見るか。
これまで戦ってきた相手を考えると、苦戦濃厚と思われるが、前者はG1で勝負強い池添謙一騎手、後者はオークスで10番人気スタニングローズを2着に導いたD.レーン騎手とのコンビで参戦を予定している。
これまで勝てなかったジンクスを乗り越えて、4強の厚い壁に風穴を開けることが出来るだろうか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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