JRA武豊も認めた「遅れてきた大器」が菊花賞(G1)へ良血開花!?「伝説の新馬戦」出世頭イクイノックス、サークルオブライフ超えの可能性秘める”逸材”が魅せた豪脚一閃
秋の大舞台へ向け、良血馬の素質がいよいよ開花した。
18日、東京競馬場で行われた8Rの1勝クラスは松岡正海騎手のキングズパレス(牡3、美浦・戸田博文厩舎)が単勝1.6倍の断然人気に応えて優勝。前走のプリンシパルS(L)では惜しくも2着に敗れてダービー切符を逃したが、仕切り直しの一戦を制し飛躍の秋へと繋げた。
8頭立ての芝2400mで行われたレース。ゆったりとしたスタートを切り、道中はいつも通り後方から追走する。前半1000m通過タイム1分4秒3の超スローペースのなか、しびれを切らした後方2番手のストキャスティークが捲り気味に進出するも、これに惑わされることなく末脚勝負の”マイポジション”を貫くキングズパレス。
4コーナー手前から徐々に追い上げて最後の直線に入ると、待ってましたと言わんばかりに大外を回してエンジン全開。ダイナミックなフォームから繰り出された上がり33秒6の豪脚で、最後はスローペースを味方に前で逃げ粘っていたデュアルレインボーをきっちり差し切った。
「少頭数だったとはいえ、ペースがあまりに遅かったので、直線で外に回した時は一瞬間に合うのか心配でしたが、最後の末脚はやはり期待通りでしたね。着差こそ2着に半馬身差でしたが、最後は鞍上の松岡騎手も後ろを振り返る余裕すらありました。まだまだ伸び代もありそうです。今後が楽しみな1頭ですね」(競馬誌ライター)
キングズパレスは父キングカメハメハと母ドバウィハイツの間に生まれた牡馬で、全姉に2018年のフィリーズレビュー(G2)を制したリバティハイツ、半兄に昨年のきさらぎ賞(G3)で3着に好走したランドオブリバティがいる良血。早くから頭角を現していた姉兄同様に、デビュー前から周囲の期待も大きかった。
昨年8月の新馬戦は期待をよそに9着に敗れたものの、勝ち馬は後に東京スポーツ杯2歳S(G2)を制し皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)でともに2着に好走したイクイノックス。また、3着に入ったサークルオブライフが後に阪神JF(G1)を制し2歳女王となったことから、ネットでは「伝説の新馬戦」との声も上がったほどのハイレベルな一戦でもあった。
キングズパレスは当時こそ上記2頭との実力差は明白だったが、休養を挟んで半年ぶりに復帰した今年3月の未勝利戦から徐々に良血馬の片鱗を示しだす。2走前に勝ち上がった際は、鞍上を務めた武豊騎手が「上でもやれると思う」と能力を高く評価。その言葉通り、昇級初戦となった前走のプリンシパルSは9番人気の低評価ながら、上がり最速の脚で勝ち馬セイウンハーデスに半馬身差の2着に好走している。
今回初となった2400mへのチャレンジも、これまで距離延長で結果を残してきた同馬にとってはむしろプラスだったかもしれない。最後までバテないスタミナ、捲り気味のロングスパートが武器で、クラシック最後の一冠・菊花賞(G1)に間に合えば面白い存在といえる内容だった。
また、主戦の松岡騎手はクラシック制覇こそないものの2009年の天皇賞・春(G1)をマイネルキッツで制しており、また管理する戸田厩舎も牡馬クラシックは無冠ながら同じく2013年と2014年の天皇賞・春をフェノーメノで連覇するなど、乗り手や陣営に長距離G1での実績があるのも心強い。
出世に時間がかかったものの、クラシック最後の大舞台に向け望みを繋げたキングズパレス。いつかデビューを共にしたイクイノックスやサークルオブライフら実績馬を超える日も訪れるかもしれない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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