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今村聖奈の“武豊超え”に現実味 飛躍の証は勝ち星ではなく騎乗数にあり

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 先週の開催をもって、いわゆる今年の“夏競馬”が終了。各場の表彰騎手も発表され、夏の小倉リーディングには22勝を挙げた松山弘平騎手が輝いた。

 リーディングの座は松山騎手に譲ったものの、この夏の小倉で鮮烈なインパクトを残した騎手と言えば、ルーキー・今村聖奈騎手の名前も挙げられるだろう。

 7月3日に行われたCBC賞(G3)では、テイエムスパーダとのコンビで史上5人目となる重賞初騎乗初勝利を達成。その後もコンスタントに結果を残し、7月末から先週まで6週連続で勝利。自身が持つ女性騎手の連続勝利記録まであと1と迫り、記録更新のチャンスが訪れている。

 リーディング争いで松山騎手に差をつけられたが、この夏は小倉で16勝をマーク。これは西村淳也騎手と並ぶ2位タイの好成績だ。その活躍が評価され、九州競馬記者クラブが選定する『小倉ターフ賞』も受賞。新人騎手として初の快挙も成し遂げ、良い形で1年目の夏を締めくくった。

 JRAでの通算勝利数も「36」まで伸ばし、新人騎手の勝利数トップ5入りもいよいよ秒読み段階。ランキングは以下の通りだ。

▼JRA新人騎手・歴代勝利数ランキング

1位 91勝 三浦皇成(2008年)
2位 69勝 武豊(1987年)
3位 53勝 福永祐一(1996年)
4位 47勝 松若風馬(2014年)
5位 45勝 木幡巧也(2016年)

 今年の3月5日にデビューを果たした今村騎手は、ここまで55日間の騎乗で36勝をマーク。JRAの残りの開催は35日だから、1日1勝のペースを保つことができれば71勝も視野に入る。この調子で勝ち続ければ、歴代2位・武豊騎手の記録を超えることも夢ではない。

飛躍の証は勝ち星ではなく騎乗数に

 得意の小倉開催が終了し、さらに残る35日のうち約半分は2場開催となるだけに、その中で毎週ひとつずつ勝利を重ねていくというのは容易なことではないが、それを後押しするのが関係者からの信頼の厚さだ。

 デビュー直後の2カ月は2場開催の週もあったため、3月は9日間の開催で37回騎乗、4月も9日間の開催で40回騎乗と、1日の平均騎乗数は4回程度だった。

 それが5月は同じ9日間で51回騎乗、6月は8日間で54回騎乗と徐々に乗鞍が増加。7月に入って本格的に夏競馬が開幕すると、幼いころから慣れ親しんだ地という小倉を中心に騎乗依頼が殺到する。

 7月は10日間の開催でキャリア最多となる月間70回の騎乗を記録。さらに8月は8日間の開催でも同じく70回の騎乗。1日平均の騎乗数はデビュー時の倍以上となる8.75回まで増え、キャリアハイを更新する月間9勝と、きっちりと期待に応える結果を残して見せた。

 9月に入ってもその勢いは留まらず、先週は2日間で22レースに騎乗して4勝をマーク。まるでリーディングジョッキー並みの成績を残している。

『小倉ターフ賞』の受賞コメントでも、「これからも感謝の気持ちを忘れず、日々向上心を持って競馬に向き合っていきたい」と語った18歳。右肩上がりで増え続ける騎乗数は、これまでの半年間で勝ち取った信頼の証だ。

 今週からの約1カ月間は2場開催が続いて行くものの、この夏に築き上げた信頼関係から、大幅に騎乗数が落ち込むことは考えづらい。先週挙げた4勝がすべて前走で手綱を取っていた継続騎乗の馬だった。この夏の出会いを秋に繋げることができれば、騎乗数においても、勝ち星においても、さらなる飛躍に期待が膨らむ。

 快進撃を続けるスーパールーキーは、最終的にどんな成績を残してキャリア1年目を終えるのか。勝ち星はもちろんのこと、今後は“騎乗数”にも注目して見守って行きたい。

木場七也

木場七也

29歳・右投右打。

本業は野球関係ながら土日は9時から17時までグリーンチャンネル固定の競馬狂。

ヘニーヒューズ産駒で天下を獲ることを夢見て一口馬主にも挑戦中。

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