川崎老人ホーム3人転落「死刑判決」も「老人も悪い」「労働環境見直せ」の声殺到……環境変化の契機となるか
4年前、川崎市の老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で入居者の男女3人をベランダから転落させて殺害した罪に問われていた元職員・今井隼人被告に、横浜地裁は求刑通り死刑判決を言い渡した。
弁護側は「当初していた自白は捜査員の圧力により誘導されたウソの自白」などと無罪を主張していたが、横浜地裁は、入居者転落はいずれも今井被告による犯行だと認め、争点となっていた自白の信用性も認め、死刑を言い渡した。
3人を転落死させたという衝撃と、裁判によってそれが事実と認められたことから「死刑」という判決に世間も一定の「納得」をしてはいる様子。
しかし、この事件が引き起こされた「要因」という点に関しては、まだまだ納得は行かない様子だ。
「介護職員の待遇の悪さ、労働環境に関する意見は多いですね。『過酷で薄給の状況を何とかすべき』『再発防止は国をあげてやらなければならない』『老人の身勝手な暴言、暴力もひどい』と、高齢社会における問題が浮き彫りになった事件とも捉えられているようです。
一方で『暴力を受けたことはなかった』『職員のほうがひどかった』『痴呆、鬱も多いし仕方ない』という経験者もいるようですが……。『このままでは職員による老人虐待は減らない』というのは共通意見です。今回の死刑判決で、環境改善が推し進められるといいのですが」(記者)
無論、3人を殺害したとされる今井被告に同情の余地はない。ただ、「介護の仕事」とした場合、介護職員が悪いのか、老人が悪いのか、それとも環境そのものが問題なのかは、非常に難しい問いである。はっきりした解決策を見出だせるのかも定かではない。
この事件を契機に、介護の実態がより明らかになり、少しでも環境是正がなればいいのだが……。