
JRA函館スプリントS(G3)「女王」カレンチャンの記憶……悔し涙から急成長を遂げたサマースプリントシリーズ
21日は、サマースプリントシリーズ第1戦、函館スプリントS(G3)が行なわれるが、過去にはこのレースを皮切りにサマーシリーズで大きく成長した馬も多い。名スプリンターとして名を馳せたカレンチャンも、そのうちの一頭だろう。
3歳時はクラシックに乗れなかったが、年明けて2月にOP入りすると、続けて阪神牝馬S(G2)を快勝。そして、間隔をあけてこのサマースプリントシリーズに参加してきた。
「早めに函館に入れて調整していましたが、当時『正直、今回は7、8分の出来。それもやっとここまで持ってこられたという感じ』と安田翔伍助手(現在は調教師)が語っていたほど、調整過程は順調ではありませんでした」(競馬記者)
陣営は、馬体を絞ることに重点を置いて調教を積んできたが、当日、馬体重はプラス10キロで、絞りきれないままレースを迎えることになる。
レースは、2枠2番からスタート良く流れに乗ったカレンチャン。4コーナー手前で鞍上の池添謙一騎手が内から外に出すと、直線はダイナミックな走りで追い込む。逃げるテイエムオオタカ、アンシェルブルーをゴール前で捕らえて、見事に差し切り勝ちを収めたのだ。
上がり3Fタイムはメンバー中最速で、プラス10キロの重苦しさは感じない走りであった。
「レース後、池添騎手は4コーナーでゴチャついた時に上手く捌けなかったことを口にしていましたが、そんなことを微塵も感じないように、カレンチャンは道中ジョッキーの指示に素早く反応し、鋭い末脚で他馬を一蹴しました」(同)
シリーズ初戦の函館スプリントSは、状態は完全ではなかったものの、能力でカバーし、高いポテンシャルを示した一戦だった。
その後カレンチャンは、サマースプリントシリーズを2戦2勝で合計20ポイントをマークし、これで優勝を決めたかと思われた。だが、9月のセントウルS(G2)を勝って合計26ポイントとなったエーシンヴァーゴウが逆転優勝し、カレンチャンは優勝を逃してしまった。
惜しくもサマースプリントチャンピオンを逃したカレンチャンだったが、重賞3連勝を含む4連勝の勢いでスプリンターズS(G1)に挑むことになる。そしてカレンチャンは、真夏の勢いが本物であったことを示すのであった。
「スプリンターズSには外国馬のロケットマン、グリーンバーディーなどが参戦し、エーシンヴァーゴウや、ダッシャーゴーゴー、パドトロワら強豪馬たちが出走して、非常にレベルの高いレースとなりました。
そこで3番人気だったカレンチャンは、全馬まとめて撃破してみせ、G1初挑戦で初制覇を果たしたのです。カレンチャンにとってサマースプリントシリーズは、自分をひと回りもふた回りも大きくした戦いでした」(同)
昨年はタワーオブロンドンがこのサマースプリントシリーズを優勝し、大きく成長を遂げて、そのままの勢いでスプリンターズSを制して見せた。
今年の夏、どの馬が飛躍を遂げるのか、サマーシリーズから目が離せない。
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