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「視界不良」とはもうおさらば!? JRAがウッドチップコースに新兵器導入へ、調教師からも指摘されていた問題についに終止符か

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 14日、JRAは東西トレセンのウッドチップコース(以下ウッド)に、調教タイムの自動計測システムを導入することを発表した。美浦トレセンでは27日から、栗東トレセンでは12月7日からの運用を予定している。

 ウッドは、坂路と並んで多くの競走馬が調教を行う言わば「調教コースの2大巨頭」だ。同コースの調教タイムは、厩舎関係者にとっては調整の重要な情報。我々ファンにとっても、出走馬の調子を把握するためには欠かせない。

 そこで、27日から順次自動計測が導入されるということで、どのような影響が出てくるか調べてみた。

 まず、どのように自動計測が行なわれているかを説明する。この度、ウッドに導入される自動計測システムは、現在坂路で運用している「坂路調教タイム自動計測システム」(ALIS方式)を採用する見込みだ。

 この方式では、調教ゼッケンにICタグを埋め込み、200mごとに設置しているセンサーにて、タグからの電波を受信してタイムを計測する。計測タイムを、APサーバー等を通じ集計・編集・出力作業が行われたのち、公表される。

 それでは、計測を自動化することでどのようなメリットが考えられるかだ。

 まず、最初に考えられるメリットは、正確な調教タイムの計測が可能となり、各紙に掲載される調教タイムが統一化されることだろう。

 ウッドコースの調教時計は現在、各マスコミの調教タイム計測班によって計測され、それが各々の専門紙やスポーツ紙に掲載されてきた。そのため、JRA臼田雅弘理事が、「タイムに若干の差がある、と調教師から指摘を受けた」と話す通り、人による手動での計測となるため、各紙によって時計の差異が発生していた。

 例えば、11日の七夕賞(G3)優勝馬トーラスジェミニの最終追い切りが美浦南ウッドコースであったが、各紙の掲載時計に若干の差異があった。A紙では「71.1-54.3-40.4-12.5」、B紙では「70.4-54.4-40.2-12.0」、C紙では「70.5-55.1-41.1-12.3」とまちまちだった。

 次に考えられるメリットは、悪天候の影響を受けずに計測することが可能になったことだ。

 これまでは手動で計測されていたため、視界不良の場合は計測できないケースがあった。悪天候の際、モヤで見えなかったり、追い切りの画面が真っ白でよくわからないということも起こり得た。今回、自動化にされることで、こういった視界不良とはもうおさらばできそうだ。

 開発元の日本ユニシスによると、ALIS方式は、雨天・濃霧、雪などの悪天候による影響をほとんど受けず、計測率はほぼ100%であると公表している。そのため、機器トラブルが発生しない限り、計測可能だ。

 JRA情報システム部統合情報システム課の山田課長補佐は、「ファンにとって予想の重要な要素、厩舎関係者にとって調整の重要な要素となっている調教タイムを、正確かつ安定的に供給するため」と導入の経緯を語っており、他コースについての導入は明言されていないものの、将来的な導入も期待できるかもしれない。

 今回の導入で、坂路同様に良好な運用結果が出ればポリトラックコースなどにも導入されるだろう。ただ、導入に際してかかる費用は、情報システムのみで約3億4300万円と安くない。ウッド以外の導入は当分先になりそうで、トラックマンの皆さんには、まだまだ頑張っていただくことになりそうだ。

(文=寺沢アリマ)

<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。

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