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JRA川田将雅「美味しいとこ」取りで功労者はお役御免!? 関西の中堅を待っていたのは「残酷」な現実、奪われた相手に菊花賞苦戦の予感

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JRA川田将雅「美味しいとこ」取りで功労者はお役御免!? 関西の中堅を待っていたのは「残酷」な現実、奪われた相手に菊花賞苦戦の予感の画像1

 先週26日、中京競馬場で行われた神戸新聞杯(G2)は、吉田隼人騎手が騎乗した2番人気のステラヴェローチェが快勝。春二冠の皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)ではともに3着と涙を飲んだが、クラシック最終関門での天下獲りに大きく前進する勝利だった。

 菊花賞トライアルの神戸新聞杯は、3着以内の馬の本番への優先出走権が付与されるレース。単勝オッズ1.8倍の断然人気に推された今年のダービー馬シャフリヤールが4着に沈む中、2着に入って権利取りに成功したのは、関西の中堅・藤岡康太騎手とレッドジェネシス(牡3、栗東・友道康夫厩舎)のコンビだ。

 同馬は前走の日本ダービーで、馬群から大きく離された後方からの競馬で11着に惨敗しての休み明け。このときは、コンビを組んでいた横山典弘騎手の “無気力”にも映る騎乗ぶりに、ファンの間では賛否が分かれることにもなった。

 その影響もあってか5番人気に推されたとはいえ、10頭という少頭数でのもの。4番人気のワンダフルタウンの単勝オッズが9.1倍だったのに対し、レッドジェネシスは26.5倍と大きな開きがあった。オッズから分かるように、下馬評でも「上位人気4頭VSその他」と見られていた。

 この日の中京は朝から降り続く雨に馬場の悪化が進み、良で始まった馬場状態もメインレースが行われる頃には不良となっていた。足元の悪さを気にして内を避ける騎手もいた中、あえてインを走らせた藤岡康騎手のファインプレーも功を奏した。

 芝2200mのレースでスタートを無難にこなすと、藤岡康騎手はレッドジェネシスを外ではなく内の7番手につける。最終コーナーでは、逃げていたテイエムタツマキの1頭分だけ外を回す最短距離での抜け出しを図り、残り200mでは先頭に立つシーンも演出したほど……。

 惜しくもゴール前でステラヴェローチェに交わされたものの、2頭の着差はわずか1/2馬身。結果的に敗れはしたが、勝ち馬が無難に外を回していたら着順が入れ替わっていたかもしれない。

「馬群も外めに流れていましたし、内々を立ち回る形で運びました。走り方でこのような馬場は苦にしないと思っていました。勝負どころも内をついて最後もよく伸びてくれています。勝ち馬の決め手にやられる形になりました。着差が着差だけに何とかしたかったですね」

 レース後のコメントから、藤岡康騎手が単なる人気薄の大駆けではなく、明らかに勝利を意識していたことが伝わる。ダービー馬にも4馬身半と大きく先着し、本番でも勝算ありの手応えを感じただろう。

 しかし、最高に近い結果を残したにもかかわらず、藤岡康騎手はラスト一冠で再びレッドジェネシスの手綱を取ることは叶わなかった。なぜなら同馬の所属する東京サラブレッドクラブが、川田将雅騎手とのコンビで菊花賞(G1)に向かうことをホームページで発表するという残酷な現実が待っていたからである。

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「藤岡康騎手にとっては気の毒に思える乗り替わりですが、川田騎手が空いていたのも不運でした。ダービーで騎乗したヨーホーレイクは武豊騎手で菊花賞の話が出た後に回避を決定。レッドジェネシスには春も騎乗しており、京都新聞杯(G2)を制しています。

また、川田騎手は同日に行われた中山のオールカマー(G2)でレイパパレに騎乗していましたから、結果に関係なく今回は代打騎乗だった可能性もありそうですね。ただ、この乗り替わりが必ずしも正解だったかどうかは分かりません」(競馬記者)

 記者の歯切れが悪かったのは、乗り替わる相手の川田騎手に長距離レースを苦手としている疑惑があるからだという。

 菊花賞は2010年にビッグウィークで制しているが、このときは7番人気という人気薄での勝利。雨の影響で前にいた馬に有利な状況も後押しした格好で、騎乗していたのはこういった馬場を得意とするバゴ産駒だった。

 スローペースを味方に早めに上がって直線で先頭に立つ判断もハマり、1番人気のローズキングダムが脚を余した格好で捕まえ損ねたレース。武豊騎手が距離を意識して後ろにつけ過ぎた幸運にも恵まれたことは否定できない。

 勿論、川田騎手の好判断が勝利を呼び込んだことには違いないが、これだけで大歓迎という訳にはいかない理由もある。

 実は、11年前に手にしたこの勝利を最後に、芝3000m以上の長距離重賞で一度も勝てていないのは気になる材料だ。デビューからトータルでもこの条件で【1.2.3.31/37】の勝率2.7%では、苦手にしているという疑惑も拭えない。19年には1番人気のヴェロックスで挑んだが、3着に敗れて人気を裏切った。

 馬は菊花賞の権利取りに成功しながら、最終的に自身は“権利取り”が叶わなかった藤岡康騎手。チャンスを奪った格好となる川田騎手としては、結果を残すことでこの乗り替わりがマイナスではなかったことを証明したいところだ。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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