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JRAラヴズオンリーユーの快挙はなぜここまで感動を呼んだのか、川田将雅「ブレない」ノーザンに見せた渾身のプライド

JRA川田将雅「どん底」からのV字回復に有頂天!? ラヴズオンリーユーの快挙はなぜここまで感動を呼んだのか、ブレないノーザンに見せた渾身のプライドの画像1

 7日、アメリカのデルマー競馬場で行われたブリーダーズCフィリー&メアターフ(米G1・芝2200m)は、川田将雅騎手の1番人気ラヴズオンリーユー(牝5、栗東・矢作芳人厩舎)が見事に優勝した。

 同馬は日本調教馬として初のブリーダーズC制覇という偉業を達成。鞍上の川田騎手にとっても海外G1初制覇ともなった。

 デビューから無敗の4連勝でオークス(G1)を制した天才少女も、3歳秋のエリザベス女王杯(G1)を3着に敗れて連勝がストップ。以降は勝利からも見放され、昨年の有馬記念(G1)でも6番人気で10着と精彩を欠いていた。

 その一方、同世代の桜花賞馬グランアレグリア、秋華賞馬クロノジェネシスが順調にG1勝利を積み重ね、かつての才媛もいつしか一部で過去の馬という声も出たほど、その存在感は色褪せた。

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 この馬の本来の実力はこんなものではない。そう信じて疑わなかった陣営が“再生請負人”として白羽の矢を立てたのが川田騎手だ。それまで手綱を取っていたM.デムーロ騎手はオークス優勝の功労者でもある。この乗り替わりについてファンから賛否両論が沸き起こったことはいうまでもない。

 しかし、まだ懐疑的な声も残っていた2月の京都記念(G2)で、“初陣”を迎えた新生ラヴズオンリーユーは抜群の相性を見せ、3歳春のオークス以来となる7戦ぶりの勝利の美酒に酔った。

 そして、3月のドバイシーマクラシック(G1)でもミシュリフ、クロノジェネシス相手に接戦を演じる3着。ついにはクイーンエリザベス2世C(G1)で昨年の牝馬三冠を無敗で制したデアリングタクトをも破って優勝し、長かったスランプからの完全復活を印象付けた。

 札幌記念(G2)こそソダシの2着と敗れたものの、海外遠征前のステップとしては悪くない内容。後は、海外経験の乏しい川田騎手次第という域まで準備は整っていたのかもしれない。

 勿論、今回の偉業に国際派トレーナーである矢作師の辣腕に触れないわけにはいかないが、師の期待に最高の結果で応えた川田騎手も間違いなく立役者の一人である。

「本当に嬉しいです。興奮して覚えてはいませんが、ゴール板を通過した後は思わず拳を握ってしまったかもしれません」

 普段はクールな川田騎手でさえ、珍しく興奮を隠せないコメント。

「ジョッキーも非常にガッツある騎乗でしたし、一緒に勝つことができてこんなに嬉しいことはありません」

 矢作師も川田騎手の渾身騎乗に喜びを分かち合った。

 とりわけ競馬ファンの感動を呼んだのは、この歴史的快挙が日本人調教師と日本人騎手、日本調教馬によってもたらされたことだろう。同日に、同じく僚馬のマルシュロレーヌ(牝5)もブリーダーズCディスタフを制し、それまで縁遠いと考えられていたアメリカのダートG1という壁を乗り越えたことでもお祭り騒ぎとなった。

 ただ、ラヴズオンリーユーとマルシュロレーヌには決定的な違いがあったこともまた事実だ。2頭はいずれも川田騎手のお手馬ではあったが、後者はO.マーフィー騎手を鞍上に迎えての優勝。同じ厩舎、同じ騎手のお手馬という経緯を考えれば、川田騎手に任されても不思議ではなかったはず。

「どちらもノーザンファームの生産馬ですが、最大の違いはラヴズオンリーユーがDMMドリームクラブの所有馬なのに対し、マルシュロレーヌはキャロットファームの所有馬だったことでしょう。

コロナ禍の関係で短期免許による外国人騎手の来日がなくなっていますが、ノーザンファームサイドの評価はまだまだ日本人騎手より外国人騎手が上ということがわかります。それでも結果を残した川田騎手のプライドも感じられました」(競馬記者)

 実際、マーフィー騎手とのコンビで優勝したことにより、甲乙つけがたい結果とはなったが、どちらにそれぞれの騎手が騎乗していたとしても、勝利していた可能性は十分に考えられる好騎乗だったともいえる。

 秋の重賞戦線で連敗が続いた川田騎手は、一時期どん底といえるまで苦戦したが、ダノンファンタジーで挑んだ10月30日のスワンS(G2)の勝利で連敗をストップ。続けざまにJBCレディスクラシック、スプリントも連勝してV字回復を見せた。

 遠征前に“厄払い”を済ませていたことも、今回の勝利へと繋がったに違いない。「日本の川田」から「世界の川田」に成長した彼は、もはや鞍上強化をされる側の騎手ではなくなった。

 今週のエリザベス女王杯は帰国後の隔離期間で騎乗は叶わないが、復帰後には一回りも二回りも凄みを増した騎乗で残りのG1を盛り上げてくれそうだ。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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