
ラヴズオンリーユー、マルシュロレーヌで歴史的快挙、「世界」のチーム矢作が送り出す期待馬にダート転向プランが浮上
7日の早朝に行われたアメリカ競馬の祭典、ブリーダーズC(G1)で、日本の矢作芳人厩舎所属のラヴズオンリーユーがフィリー&メアターフ、マルシュロレーヌがディスタフで歴史的勝利を挙げたことは大いに盛り上がった。
日本馬が世界最高峰のレースを勝つだけでも十分な価値があると言えるが、同じ厩舎所属の2頭が同日でG1を2勝した事実は、矢作厩舎の名を世界中に知らしめただろう。
その矢作厩舎所属の現3歳世代では筆頭格のバスラットレオン(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)に、今週土曜日に行われる武蔵野S(東京、ダート1600m)への出走プランが浮上している。現時点では日曜東京メインのオーロC(L)とのダブル登録となっているが、実際にダート転向となれば注目を集める一戦になりそうだ。
バスラットレオンのこれまでの戦績を振り返ってみると、昨年のデビュー戦を1番人気に応え勝利すると、続く札幌2歳S(G3)ではソダシの3着。間に1戦を挟んで暮れの朝日杯FS(G1)でも4着と好走した。
その後シンザン記念(G3)3着を経て自己条件の1勝クラスを勝利すると、今年4月にはニュージーランドT(G2)で待望の重賞初勝利を挙げる。しかし、前哨戦を勝利し3番人気で挑んだNHKマイルC(G1)でまさかのスタート直後の落馬で競走中止。陣営も「本当に状態が良かっただけに…」と予期せぬ結果に唇を噛んだ。
この競走中止でリズムを崩したのか、その後は3戦して全て二桁着順と振るわず、おそらく今回ダートへの転向プランが浮上したと言うわけだ。
しかし、一見苦し紛れの策にも思える路線変更プランだが、同馬を管理しているのが矢作厩舎となると、額面通りに受け取る訳にはいかなさそう。
先述したBC競走でのラヴズオンリーユーの勝利も素晴らしいが、特筆すべきは日本国内ではまだ超一流とは言えなかったマルシュロレーヌのアメリカ競馬への適性を見抜き、見事に歴史的快挙へ結びつけた矢作師の目利きである。
そんな矢作厩舎所属のバスラットレオンがダート転向となると、これまた陣営の慧眼が炸裂するのではとこちらも期待せずにはいられない。
また過去には同厩舎所属で、同じく芝でG1勝ちの実績がありながらダートに転向し、見事にフェブラリーS( 2020・G1)を勝利したモズアスコットも、矢作厩舎でダートへの適性の高さを見出された一頭だった。こういった経験もバスラットレオンにとってはプラスに働きそうだ。
バスラットレオンの父キズナの産駒は、JRAでのダート重賞勝ちこそまだ無いものの、通算成績では芝よりも良績を挙げており、血統的な後押しもありそう。また担当助手も「走りからダートは合いそう」と話しており、先輩馬モズアスコットの再来となる可能性は十分にありそうで、今後のバスラットレオンの動向に注目したい。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。
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