JRA日本政府発表の外国人「入国停止」が及ぼす深刻な影響、絶望的となった再来日は過去の「悪夢」の抑止力となるか?

ジャパンC(G1)の招待騎手として来日していたR.ムーア騎手が、過去に起きた落馬事故に関する裁判に証人として出廷するため帰国。12月以降の騎乗に向けて予定していた短期免許の取得を断念することになった。
同騎手の成績を振り返れば、11月27・28日の両日で11鞍に騎乗。結果は1勝に終わったものの、欧州を代表する実力派ジョッキーの手綱さばきを楽しみにしていたファンも多く、突然の帰国を惜しむ声も聞こえた。
さらに追い打ちをかけるように、日本政府は11月30日の午前0時から全世界の国や地域を対象に、外国人の新規入国を原則停止することを発表。新型コロナウイルス感染症に関する、新たな水際対策措置として決定したこの政策により、世界的名手の再来日は現時点では絶望的な状況となってしまった。
しかしこの政策の一件で影響を受けるのは、ムーア騎手だけではないだろう。外国人の“入国停止”がいつまで続くか未定だが、コロナ禍以前の2018年までは「恒例行事」ともいえた年末から翌年にかけての外国人騎手の短期来日にも影響を及ぼすことは必至といえる。
思い返せば同年11月11日。京都競馬場のレース結果は、日本人ジョッキーにとって”悪夢”のような結果だった。なんと、1レースから11レースまで勝利を挙げたのは全て外国人騎手。11勝のうち3勝を挙げたのはJRA所属のC.ルメール騎手だったが、当時、短期免許を取得して来日していたC.デムーロ騎手も3勝をマーク。同じく短期来日していたJ.モレイラ騎手が5勝の固め打ちで合計11勝という大活躍。
さらに5レースと7レースは、この3人で1着から3着までを外国人騎手が独占した。この日メインのエリザベス女王杯(G1)もリスグラシューに騎乗したモレイラ騎手が優勝するなど、「外国人ジョッキーを買えば当たる」と大いに話題となった一日だった。
迎えた最終12レース。当時の『スポーツニッポン』の記事によれば、サヴィで勝利した藤岡佑介騎手は「最後に1つだけ勝ったけど喜んではいられない。危機感を持ってやっていきたい。」とコメント。日本人騎手にとって屈辱的な日となってしまった。
奇しくも今年に限れば、前述した外国人「入国停止」政策で、年末から年始にかけての短期免許取得による外国人騎手の来日は、絶望的な状況となった。さらに先日来日したばかりのC.デムーロ騎手は、今週以降も日本で騎乗する可能性があるものの、今回の一件でその先行きは不透明になったといえる。
幸か不幸か、過去の“悪夢”の再来の「抑止力」となる可能性もある、今回の”入国停止”政策。いずれにせよ我々競馬ファンは、日本政府の動向を含めて、事の成り行きを見守るしかないようだ。
(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。
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