
JRA 横山典弘「27年」続いた記録がストップの大ピンチ!? 頼れる「助っ人」が親子対決で父の威厳を援護射撃

いま勢いにのる若手ジョッキーと言ったら、横山武史騎手を想像するファンも多いのではないだろうか。
昨年のフローラS(G2)で初の重賞勝利を収めると、今年は初のG1勝ち含む重賞7勝と一気に成績が飛躍した。
デビュー戦からコンビを組んでいるエフフォーリアでは皐月賞(G1)を制しただけでなく、天皇賞・秋(G1)では先日のジャパンC(G1)で有終の美を飾ったコントレイルにも勝利した。
また、代打騎乗で弥生賞(G2)勝利へ導いたタイトルホルダーと挑んだ菊花賞(G1)では、2着馬に5馬身の差をつける圧勝も決めた。この勝利は横山武騎手が刻んだ道中の完璧なラップ構成も大きな注目を集めることとなった。
重賞・G1成績はさることながら、昨年は関東リーディングジョッキーを獲得。今年も関東リーディングを独走しており、若手No.1ジョッキーとして大ブレイク中だ。
新人デビューに際しての記者会見で「目標は横山典弘騎手、いずれは父に追いつけるような騎手になりたいです」と意気込みを語っていたが、この勢いが続くようなら尊敬する父を凌ぐ名手になれる可能性も秘めているだろう。
しかし、その父が今年は成績低迷に陥っている。一昨年は5勝、昨年は7勝していた重賞勝ちだが、今年は未勝利。最近はJRA調教師試験へ向けて、騎乗数を絞っている影響も考えられるが、現在の勝利数はリーディング43位の23勝と物足りない。
横山典騎手はデビューしてからの36年間で、年間勝利数が30勝に届かなかったのはデビュー1年目と3年目のみ。通算勝利数歴代3位、G1通算27勝を誇り、ダービージョッキーにも輝いたレジェンドの存在感は薄れつつある状況だ。

厳しい状況の横山典騎手だが、今週末が27年連続重賞勝利を挙げるチャンスとなるかもしれない。12月4日の中山競馬場で行われるステイヤーズS(G2)に出走するオセアグレイト(牡5歳、美浦・菊川正達厩舎)に騎乗を予定している。
昨年も同じコンビで優勝したのがこの中山のマラソンレース。今回は連覇を狙う立場となるわけだが、これを後押しするデータが存在する。
近年のステイヤーズS の勝利馬を見てみると、2013、14年とデスペラードが連覇。さらに15~17年でアルバートが3連覇と、リピーターが多いことも好材料となる。
そして、デスペラードは2レースとも横山典騎手が騎乗しており、3連覇のアルバートも3レースともR.ムーア騎手が騎乗していたように、連覇を決めたのは前年と同じコンビだった。
臨戦過程も昨年と似ている。今回も昨年同様に前走騎乗した野中悠太郎騎手から、横山典騎手への乗り替わりとなる。重賞やオープンで惜敗続きだったオセアグレイトにピリオドを打ったのは横山典騎手であるため、コンビ復活はファンとしても心強いだろう。
そして、管理する菊川師もまたステイヤーズSとは不思議な縁で結ばれている。師の初の重賞勝利は何と10年のステイヤーズSだった。師にとっても思い出のレースとなるだけに勝負度合いも強いはずだ。
奇しくも同レースには横山武騎手もトーセンカンビーナとのコンビで出走を予定しているため、親子対決ともなる。横山典騎手が「27年連続」重賞勝利を継続させて、息子に威厳を見せる姿に期待したい。
(文=長尾りょう)
<著者プロフィール>
はじめての競馬、ジャパンCで5番人気シュヴァルグランの単勝を当て、競馬にハマる。オルフェーヴルのように強いが、気性が荒く、成績にムラのある馬が大好き。今までで1番忘れられない馬券は、2018年の有馬記念ブラストワンピースの単勝。
PICK UP
Ranking
17:30更新「最強マイラー」に降りかかった予想外の火の粉…「名義貸し」の発覚したオーナーは馬主資格をはく奪、不運の名馬トロットサンダー【競馬クロニクル 第41回】
JRA宝塚記念(G1)横山典弘「息子愛」でタイトルホルダー救った!? 好アシストに陣営からも感謝の声、横山和生が「最大のピンチ」を脱した裏側
浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 武豊「スキャンダル」「ケガ」など揺れに揺れた2017年。弟・幸四郎騎手「引退」から小浦愛「不倫疑惑」、そしてキタサンブラック「大団円」までをプレイバック!
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- JRA今村聖奈「大ブレイク」の陰で悲痛な叫び。「何のために騎手になったのか」乗鞍激減、レース開催日に”お留守番”続出
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 有馬記念に続き東京大賞典も「記憶力」が決め手…最強フォーエバーヤングから絞りに絞った2点で勝負!
- JRAイチの「豪快王」小島太列伝。愛人、酒席トラブルあっても名騎手、名調教師の生き様に曇りなし