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27年前、ダートで無敵を誇った名牝がフェブラリーSで唯一の牝馬優勝を飾ったあの日

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 19日、東京競馬場にて今年最初のG1・フェブラリーSが開催される。2020年から高額賞金を誇るサウジCデーがフェブラリーSと近いスケジュールで開催されるようになったため、こちらに実力馬が集まりにくくなり、レースレベルの低さを取り沙汰されるようになった。とはいえ、今年のメンバーもなかなかのものとなった。

 また、07年に外国馬に門戸が開かれて以降、初の外国馬参戦もあるので、G1らしい好レースを期待したいところだ。

 このフェブラリーSだが、84年に重賞としてG3のフェブラリーハンデキャップが創設されたのが最初。10年後G2に昇格し、名称がフェブラリーSへと変更され、3年後の97年にはG1に昇格し、現在の施行条件に至っている。今年がちょうど40回目の区切りの年になるが、過去39回の歴史の中で牝馬は1勝しか挙げておらず、高い壁となっている。

 直近では昨年、桜花賞馬のソダシが挑戦して3着。18年には同じ桜花賞馬のレッツゴードンキが挑戦して5着に敗れており、G1昇格後の最高着順は2000年に挑戦したゴールドティアラの2着となっている。

 39年の歴史でただ1頭、勝利を飾ったのは96年のホクトベガだ。

 本馬はダービー馬アドマイヤベガ、芝・ダートの両方でG1を制し、ダートの鬼と呼ばれたアドマイヤドンの2頭を産んだ名牝ベガと同期。春の二冠はベガが制したものの、当時の牝馬三冠で最後の一冠となっていたエリザベス女王杯(G1)を9番人気で制し、「ベガはベガでもホクトベガ」の名実況が語り草になっている。

 そんなホクトベガだったが、エリザベス女王杯以降は低迷。当時G3だった翌94年の札幌記念を制したが、その後は重賞で2着、3着が続き、苦戦を強いられていた。そんな中で挑戦したのが、川崎のエンプレス杯。4歳の平安S(G3)以来となるダートへの挑戦だったが、水が浮くような不良馬場の中で後続に3.6秒もの差をつける大差勝ちを飾った。

 このレースを挟んで、5歳シーズンは再び芝に戻るが未勝利。迎えた6歳シーズンの初戦は、大楽勝したエンプレス杯と同じ舞台の川崎記念。JRAのダートの強豪であったライブリマウントに1番人気を譲り2番人気だったが、結果は2着に5馬身差をつける圧勝。ライブリマウントはさらに1馬身離れた3着に敗れた。

 そして、この次走がフェブラリーSだった。川崎記念を圧勝したにもかかわらず1番人気は地方馬のビッグショウリ、2番人気は東京大賞典と平安Sを連勝して臨んだアドマイヤボサツとなり、ホクトベガは単勝4.6倍の3番人気に甘んじた。

 雪の降る中、好スタートを切ったホクトベガは中団より前目につける積極策で追走。大欅の向こう側あたりから進出を始めて、4コーナーを抜けて直線に入るところでは早くも先頭に立つ。そのまま後続を引き離す一方で、後ろは差を詰めることもできず、2着に3馬身半差をつける大楽勝となった。

 ダート重賞を連勝。前年のエンプレス杯を含めると3戦3勝とパーフェクトな内容で始まった6歳シーズンだったが、このあとダイオライト記念、群馬記念、帝王賞、エンプレス杯連覇、南部杯とダート重賞を5連勝。エリザベス女王杯4着を挟んで浦和記念も勝ち、この年ダートでは無敗だった。

 翌年には再び川崎記念に出走し、ここでもダートの強豪キョウトシチーを3馬身差離す楽勝で連覇。国内で敵なしとして向かったのが、当時世界最高額の賞金を誇り、開催2回目ながらダートレースの頂点と目されたドバイワールドCだった。

 だが、ここでまさかの故障発生。安楽死処分となり、さらに遺体は検疫の関係で日本へ戻すことができず、今でも残るホクトベガの墓には遺髪が納められている。

 結果的にホクトベガは国内のダートレースでは3歳時に条件戦で2着と翌年の平安Sで10着に敗れただけで、14戦12勝の好成績を残した。96年に最優秀ダートホースを受賞しているが、このような無双ぶりを発揮した馬はこれ以降に記憶がない。

 予後不良となり、この血脈が残らなかったのが悔やまれてならない、そんな名馬だった。

GJ 編集部

GJ 編集部

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