
JRA有馬記念(G1)ステラヴェローチェ陣営「敗因扱い」の手のひら返し!? 功労者からのM.デムーロ乗り替わりに菊花賞後のコメントも関係か

26日に中山競馬場で行われる有馬記念(G1)に出走を予定しているステラヴェローチェ(牡3、栗東・須貝尚介厩舎)は、M.デムーロ騎手と新たにコンビを結成して挑むことが分かった。
ステラヴェローチェは、間違いなく今年の牡馬クラシックを盛り上げた1頭だ。春の皐月賞(G1)は6番人気で3着、日本ダービー(G1)は9番人気で3着と大健闘。2番人気に推され、ラスト一冠を目指した前走の菊花賞(G1)で4着に敗れていた。
あと一歩でG1タイトルに手が届かなかったとはいえ、主戦を任された吉田隼人騎手とのコンビでクラシック三冠を皆勤。共同通信杯(G3)5着からの巻き返しに貢献した吉田隼騎手は、ステラヴェローチェ陣営にとって頼もしい存在だ。

しかし、そんな功労者に告げられた今回の乗り替わりは、まるで手のひらを返したかのような残酷な仕打ちにも映る。共同通信杯敗戦を含め、3戦でコンビを組んでいた横山典弘騎手が降板となった際も、ファンから賛否両論が沸き起こった。そしてまた、吉田隼騎手の降板という格好で物議を醸すこととなった。
確かにM.デムーロ騎手は阪神JF(G1)をサークルオブライフで制したばかり。一時期は大きく成績が落ち込むこともあったが、オークス(G1)でもユーバーレーベンを勝利に導いたように、大舞台に強い騎手でもある。惜敗が続くステラヴェローチェにとって、プラスアルファが欲しいという意図はなんとなくわかる。
だが、春から辛苦を共にしてきた吉田隼騎手を降板させてまでの乗り替わりには、「デムーロ大歓迎」「絶対に買う」と喜ぶ声もあった一方で、「この馬には隼人が合っている」「須貝(調教師)は現役時代にどれだけ名騎手だったの?」など、陣営の判断を快く思わない声も出ていたようだ。
「降ろされるほどの重大な騎乗ミスはしていなかったように思えましたが……。ただ、須貝厩舎の管理馬にはソダシもいましたからね。ソダシが秋に連敗したことも吉田隼騎手としては痛かったでしょう。
そこへきてステラヴェローチェも少し勿体ない競馬で菊花賞4着でしたから、陣営との蜜月の関係に少しずつ亀裂が入っていたのかもしれません。勿論、馬には何の責任もないだけに、有馬記念では面白い存在ですね」(競馬記者)
そこで少し引っ掛かったのは、神戸新聞杯(G2)後に各騎手が残したレース後の気になるコメントだ。
このときは極悪馬場での開催。断然の1番人気を裏切る4着に敗れたダービー馬シャフリヤールは、道悪に苦しんでダービーで見せたような末脚は不発。福永祐一騎手も「この馬は良でこそのタイプと感じました」と振り返っている。
その後、シャフリヤールは菊花賞に目もくれず、ジャパンC(G1)1本に絞ったものの、最終追い切りでも絶好調時の動きが戻らないままだった。
2着のレッドジェネシスにしても、1番人気に支持された菊花賞で13着に惨敗。鞍上の川田将雅騎手は「レース前から苦しさを感じる返し馬でしたし、前走の疲れが競馬場に着いてから出てしまった印象です」とコメントした。
いずれも神戸新聞杯での激走が見えない疲れとなって尾を引いたと考えられるため、これは同じレースで勝利したステラヴェローチェも例外ではないだろう。
「正直今の状態を考えれば頑張ったと思います。稽古でもこれほど動けないのかという感じでしたが力がありますね。人気になっていましたし、自分で動き勝ちに行く競馬をして恰好はつけられたのではないでしょうか」
ただ、陣営が認めざるを得ないほどの凡走をした先述2頭に対し、ステラヴェローチェの4着という結果は、見方によっては判断が難しい。
5馬身差で逃げ切ったタイトルホルダーを負かせたかとなると疑わしいのはともかく、ステラヴェローチェはフルゲート18頭の15番手からという後方の位置取り。しかも2着オーソクレース、3着ディヴァインラブとはタイム差なしの接戦だった。
こちらについてはそれぞれに騎乗したC.ルメール騎手や福永騎手と吉田隼騎手との実力差だったといえるのかもしれない。そうなると、絶好調ではなかったにせよ、騎手次第で2着には入れたレースと考えることも可能であり、陣営の吉田隼騎手への不信感が強まったとしても不思議ではない。
また、有馬記念は2015年にゴールドアクターとのコンビで、吉田隼騎手が自身初G1勝利を手にした思い出のレース。本人も巻き返しに燃えていたであろうことは想像に難くないだけに、名誉挽回のチャンスを失ってしまったことは残念だ。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
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