JRA コントレイルのライバル妹に覚醒の予感、苦境に立たされた「1億5000万ホース」の見つけた新たな活路
「コントレイルと手応えが違い過ぎました」
レース後、悔しさを滲ませながらそう振り返ったのは、2年前の日本ダービー(G1)で3番人気ワーケアに騎乗したC.ルメール騎手だ。2歳時にはホープフルS(G1)でコントレイルの3着に敗れるも、得意の東京競馬場で逆転に期待した陣営は、弥生賞(G2)をステップに皐月賞(G1)をパスして、ダービー1本の全力勝負に懸けていた。
しかし、結果は春のクラシック二冠を楽々達成したコントレイルから1秒も離される8着に完敗。その後、無敗で三冠馬となったライバルと明暗がくっきり分かれた一戦となった。
ワーケアはダービーの敗戦で燃え尽きてしまったかのように、重賞で惨敗を続けている厳しい現状。かつてのクラシック候補も、存在感は薄れていくばかりだ。
そんなワーケアを刺激するような嬉しいニュースが届いた。
19日、東京競馬場で行われた1Rの3歳未勝利で、全妹のエリカコレクト(牝3、美浦・国枝栄厩舎)が3戦目にして嬉しい初勝利を挙げた。デビューから2戦は芝であと一歩の競馬が続いていたが、初のダート挑戦で新味が見られる内容だった。
16頭立てのダート1400mで行われた牝馬限定戦。抜群のスタートを決めたエリカコネクトは、道中2番手を追走。最後の直線に入っても楽な手応えのまま、残り400mを切ったあたりで早々に逃げた馬を交わして先頭に立つ。後続が押し寄せてきてから追い出しを開始する余裕をみせ、最後までセーフティリードを保ったままゴールした。
「正直、驚きましたね。スタートセンスの良さは過去2戦を見てわかっていましたが、芝ではやや最後の決め手に欠ける部分がありました。今回は、1ハロンの距離短縮や初ダートがハマったのか、着差以上に強い内容でした。次走はそのままダートを使うかはわかりませんが、いずれにしろ今後が楽しみです」(競馬誌ライター)
デビュー前からワーケアの全妹として、注目されていたエリカコレクト。20年のセレクトセールでは、兄の「1億2千万」を超える「1億5千万」で取引された期待馬でもある。
1番人気に支持された新馬戦では、先日のクイーンC(G3)を快勝したプレサージュリフトに完敗。2戦目の未勝利戦も3着に敗れ、芝のレースでもどかしい結果が続いた。3戦目にして初のダート戦を試み、高い適性を感じる完勝で未勝利を脱出した。
「兄ワーケアは、コントレイルのライバルとして2歳時から芝の重賞戦線でも活躍していましたが、実は重馬場で連対を外したことがない道悪巧者でした。重馬場なのに、芝1800mでラスト3ハロン33秒3の脚を使った事もあるんです。兄も高いダート適性があったのではないかと感じます。
さらに、姉のダイアナブライトはデビューから芝で成績が振るいませんでしたが、ダート転向後は順調に勝ち星を積み重ねていきました。昨年、中央から南関東に移籍した初戦で、交流重賞のクイーン賞(G3)を6番人気ながら豪快な差し切り勝ちを決めています。そういった血統背景からも、ダート路線で活躍できる下地も十分ありそうですね」(同)
果たして陣営は、今後どのような判断を下すのか。兄同様の高額馬、そして家系の功績からも、これからの活躍に期待できそうだ。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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