
JRA「豊で勝てたのが一番嬉しい」感動勝利から約2年半……コントレイル世代の「ガラスのエース」が待望の戦列復帰!

20年の皐月賞(G1)で16着に敗れたのち、屈腱炎が判明し戦列を離れていたクリスタルブラック(牡5歳・美浦・高橋文雅厩舎)が、来月のエプソムカップ(G3)かスレイプニルS(OP)で復帰予定であることがわかった。
クリスタルブラックは新馬戦、京成杯(G3)を2連勝したかつての実力馬。特に20年の京成杯では、直線で後方から「剛脚」をみせて他馬を一気に抜き去る豪快な勝ちっぷりをみせた。
実は、この勝利はクリスタルブラックを管理する高橋文調教師にとって初となる重賞勝利。それに加えて、この時にクリスタルブラックの手綱を託された吉田豊騎手は高橋文師と「兄弟弟子」の関係性。2000年に高橋文師が美浦・大久保洋吉厩舎で厩務員としてキャリアをスタートした際に、厩舎の所属騎手として活躍していたのが吉田豊騎手であった。
12年に高橋文師が開業した後も2人の兄弟弟子としての関係は続いていく。13年に吉田豊騎手がJRA通算1000勝を決めたのは高橋文師の管理馬であった。17年に吉田豊騎手が頸椎骨折の大怪我を負い、長期休養を余儀なくされたことがあったが、19年3月の復帰戦で騎乗馬を用意したのも師である。
大久保洋厩舎から巣立った後も、共に支え合ってキャリアを築いてきた高橋文師と吉田豊騎手。兄弟弟子と掴んだ重賞初制覇は感無量だったようで、レース後には「今日は初めての重賞を吉田豊騎手で勝てたのが一番嬉しいです」とコメントを残している。最高の形で厩舎に重賞制覇をもたらしたクリスタルブラックへの思い入れも、当然特別なものがあるはずだ。
京成杯の勝利を受けて期待も高まり、2戦2勝で迎えたクラシック第1戦・皐月賞でクリスタルブラックは単勝5番人気の支持を受ける。この世代が初年度産駒であった種牡馬・キズナの「最高傑作」とも称されていたが、皐月賞では16着に惨敗。その後は右前脚の屈腱炎が判明し、戦列を離れることになってしまう。
屈腱炎といえばかつては「不治の病」ともいわれ、引退も視野に入るような怪我である。それでも陣営はクリスタルブラックを諦めることなく、復帰を目指すことを決断。昨秋にリハビリに目処が立ち、美浦近隣の牧場に移動する際、高橋文師は『日刊スポーツ』の取材に「これだけ休んでいて魅せる馬はなかなかいない」とクリスタルブラックに惚れ込んだ様子のコメントを残している。
京成杯の感動の勝利以降、重賞勝利から遠ざかっている高橋文師。それだけにクリスタルブラックの復帰にかける期待も大きいに違いない。今後は脚元の状態を鑑みて、芝とダートの両にらみで調整を進めていくようだが、状態が上向けば再びの「兄弟弟子タッグ」での重賞制覇も夢ではない。
高橋文師と吉田豊騎手、2人の深い“キズナ”が実を結んだ勝利から約2年半。感動を生んだクリスタルブラックの「剛脚」がついに蘇るのか。大きな期待を背負う、コントレイル世代の「ガラスのエース」の動向に注目したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。
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