競馬大吟醸 -天皇賞・春な人々- 「もう一人の『岡崎』に、すべてを託す」

「ダメだ……。全然、当たる気がしねえ」
私がここのところ毎日のように寿司屋に通っているせいもあるが(女将さんがいなくて暇だから来いと誘われているのだ)、こんな梅ちゃんのため息交じりセリフを聞くのは、今週になって一体これで何度目だろうか。
梅ちゃんにとって今年一番の絶頂期だった桜花賞大的中から一転、「大人数のキャバ嬢をひけらかしての花見」というロマン溢れる……。
もとい、あまりにもくだらない”泡銭”の使い道に堪忍袋の緒が切れた女将さんは、今週になっても帰ってきていないようだが、さらに「競馬における最強の愛妻」ミルコ・デムーロまで騎乗停止で失ってしまった梅ちゃんの馬券は、まさに混迷を極めているようだ。
「俺はいつから、こんな弱気になってしまっていたんだ? ”アイツ”がいないと何も決めることさえできないってのか。『失って初めてその価値がわかる』ってのは、まさに言い得て妙だと今更ながらに痛感するぜ」
仮に、この梅ちゃんのセリフの一部でも女将さんが聞いていれば、少しは帰ってくる気にもなったかもしれない。だが、これが女将さんではなくデムーロを”想って”の言葉だと知ってしまえば二度と帰ってこないだろう。
そんな梅ちゃんをよそに、今週こそ娘に頼ったり、賭け馬を獲り合ったり、サインに耳を傾けたりせず、真面目に予想をしようと決めていた私も、今週は何度も新聞とにらめっこを繰り返しているが、勝負勘が鈍ったのか一向に本命を決められないでいる。
それにしても、今年の天皇賞は良いメンバーが揃った。
去年の有馬記念1、2着のゴールドアクターにサウンズオブアース。菊花賞馬のキタサンブラックにトーホウジャッカル。阪神大賞典を勝ったシュヴァルグランも強そうだし、去年の2、3着フェイムゲームとカレンミロティックも健在だ。
他にもステイヤーズSのアルバートに、蛯名のタンタアレグリア。サトノノブレスやレーヴミストラル、トゥインクルにだって、ワンチャンスあるかもしれない。まさに、誰が勝ってもおかしくないレースである。
しばらくない知恵を絞っていた私だったが、いよいよ予想することを諦めて匙を投げるようにスポーツ新聞を放り出した。すると最終面を飾っていたサーカーの記事に、たまたま目が留まったのだ。
目に飛び込んできたのは、イングランドのサッカーチームで活躍する岡崎慎司の記事だった。
PICK UP
Ranking
5:30更新
交通事故で乗り合わせたすべての馬が死亡……度重なる危機を奇跡的に乗り越え、最後は年度代表馬に。人知を超えた「奇跡の馬」サンデーサイレンス【前編】
競馬版『無限の住人』!? 米最高峰の舞台に立った「独眼竜」馬に熱視線も、意外と多い「隻眼の強豪」
有馬記念(G1)武豊「ウイニングラン」も残酷な結末! スペシャルウィーク、グラスワンダーが激突した1999年…… 最強世代の意地を懸けたラストバトル- 武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 「面白いこと教えてやるよ」横山典弘、打倒ソールオリエンスに手応えアリアリ!? 馬券に絡んだのはすべて内枠。「父兄参観」と揶揄された2年前とは一変
- アドマイヤ軍団が「G1・45連敗」武豊と絶縁し「40億円」と引換えに日本競馬界フィクサーの”逆鱗”に触れた凋落の真相?
- 母の全兄は「G1優勝」の現役種牡馬! 新進気鋭のオーナーがJRA新馬戦初V
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- JRA池添謙一「2度結婚」「DV不倫」よりも紆余曲折の騎手人生。オルフェーヴル三冠→外国人で凱旋門賞、勝負強さは当代随一だが……











