
武豊と有馬記念挑戦の過去も…「限界説」囁かれる絶対王者に感動フィナーレの期待十分

J・G1で9勝を挙げた名ジャンパー・オジュウチョウサン(牡11、美浦・和田正一郎厩舎)が、12月24日に中山競馬場で行われる中山大障害(J・G1)を最後に引退することが分かった。
同馬は1番人気に推された先日の東京ハイジャンプ(J・G2)を9着に敗れたばかり。直線で失速する姿にファンの悲鳴にも似た声も聞こえたが、11歳の年齢を考えると衰えを認めざるを得ない側面もあったか。
オルフェーヴルやゴールドシップでも知られるステイゴールド産駒オジュウチョウサンは、2011年生まれでイスラボニータやワンアンドオンリーらと同じ世代。クラシックを勝利した彼らは、既に種牡馬として産駒を送り出しているが、11歳で現役生活を続けているオジュウチョウサンは鉄人といっていいだろう。
長らく障害の絶対王者として君臨してきた同馬だが、ここまでの道のりは決して平坦なものでもなかった。平地でデビューして2戦をいずれも惨敗すると、1年の休養を挟んで障害に転向するも、14頭立ての14番人気で最下位という目も当てられない結果に終わっている。
その後、小笠倫弘厩舎から現在の和田正一郎厩舎へと転厩し、まさに山あり谷ありの人生を本格的にスタートさせた。元来のスピード不足を補える長距離戦が主体の障害レースで頭角を現すと、ジャンパーとしての素質が開花する。5歳で出走した2016年の中山グランドジャンプ(J・G1)を制して初タイトルを手にすると、そこからは連戦連勝の快進撃で大きな注目を集めた。
武豊騎手と有馬記念挑戦の過去も…
障害9連勝を手土産に、再び芝の平地戦に出戻った2018年夏には、武豊騎手とコンビを結成する。開成山特別(1勝クラス)と南武特別(2勝クラス)も制し、11連勝を達成した勢いでついには有馬記念(G1)にも参戦したのである。結果は5番人気で9着に敗れはしたが、ダービー馬マカヒキに先着したことには驚きの声も上がった。
陣営による芝の平地戦への挑戦は以降も3戦続いたものの、前年ほどの善戦を出来なかったこともあり、2020年からは障害オンリーで活躍したのだが、京都ジャンプS(J・G3)を3着に敗れてからは、脚部不安も重なって勝ったり負けたりを繰り返すようにもなった。
そんな中でも中山大障害や中山グランドジャンプを勝つあたりは千両役者の真骨頂。今回の東京ハイジャンプで9着という予想外の大敗を喫してしまったとはいえ、距離が約5F延びる得意舞台なら巻き返しの期待も残されているはずだ。
障害の絶対王者の人気は凄まじく、平地のG1馬以外で初となるぬいぐるみも発売されたアイドルホース・オジュウチョウサン。ラストランで不死鳥の如く蘇ったかつてのオグリキャップやトウカイテイオーのように感動的なフィナーレを見せてくれるだろうか。
PICK UP
Ranking
11:30更新「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
【ヴィクトリアマイル(G1)予想】ナミュールから6点で万馬券狙い! マスクトディーヴァは持ちタイムに不安ありで消し! 高速決着に対応できる穴馬で勝負
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- JRA「馬が走ってくれません」スタート直後の“レース拒否”に大反響!? 三浦皇成も打つ手なし……未勝利馬がまさかの「自己主張」で1か月の出走停止処分
- 「空前の競馬ブーム」巻き起こしたオグリキャップ…ぬいぐるみはバカ売れ、見学ツアーも大人気、「ビジネスチャンス」生かしたオーナーの慧眼【競馬クロニクル 第64回】
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 横山典弘騎手が若手騎手に「あの乗り方はやめろ」岩田康誠騎手らが実践する「お尻トントン」は、競走馬の負担になるだけ?
- JRA出鼻をくじかれた「16億円」の大勝負……。「神の馬」の二の舞だけは避けたい日高に朗報!? 海外からのニュースに関係者も安堵か
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客