パチンコ店へ届けられた温かい言葉…田舎のホールが果たしていた「決して小さくない役割」とは

 私が過去に在籍したパチンコ店が田舎の小型店ばかりというのは何度もお話していると思うが、田舎の小型店には遊技する以外にも色々とちょっとした役割があったりする。

 そのひとつが、ちょっとした地域のコミュニティになっているというもの。高齢者が多い地域では特にそうだと思うが、こういったケースはよくあるのではないだろうか。

 お店で顔を合わすと『おはよう。昨日はどうだった?』『いやいや全然ダメだったよ』等と他愛もない会話が飛び交うが、お互いに名前は知らなかったりする。男性だとその程度の場合が多いようだが、女性の場合にはそれなりに親しくなることもあるようだ。

 自店では農家の野菜を一般景品として販売したり、それ以外にも避難場所になっていたり、目の前には小さな神社と町内会事務所あったことから色々と付き合いも多かった。

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 車で少し走れば周囲には小さなスーパー・ホームセンターもあるが、徒歩や自転車で行くには少々遠い。そんな場所だったのである。

 しかし、そういったことよりも自店には「知らず知らずの内に果たしていた決して小さくない役割」があったのだ。

 それが暗い街を照らす灯りのような役割である。

 昔ながらのピカピカギラギラとしたネオンサインの灯りは実に怪しく、眩しく、そして明るく街全体を照らしていたのだ。

 もちろん店休日には暗くなってしまう。だが、暗いとはいえ駐車場の水銀灯だけは店休日でも点灯させていたため決して真っ暗という訳ではなかったのだが…。

 ある日のこと、店の閉店(廃業)が決まってしまう。

 廃業してからは連日朝から晩まで片付けの作業に取り掛かっていたのだが、作業中に閉店を知らず訪ねてくる常連さん達のほとんどが口にする言葉があった。

 それが『街が真っ暗になってしまったね』、『この辺が明るいのはすごく助かったのにね』というもの。 

 廃業後は水銀灯も点けずにいたため、店舗周辺が一気に真っ暗になってしまったのだ。その時になって初めて知った自店の役割。自店は真っ暗な街を照らす灯だったのだ。

 そして、ほとんどの方が口にしてくれた『寂しくなるね。今までありがとうね』という温かい言葉。正直な話、出玉には期待できない店だったのに…ありがたくて申し訳なくて仕方がなかった。  

 そんな言葉に感謝しながら、「こんなどうしようもないお店だったけれども、些細なことだとしても、少しでも役立っていたのか」と思うと、何だか泣けてきたのだ。 

「その時が来ないと分からない」というのは正にこのことだろうか。

 どんなお店も大なり小なり何らかの使命を持っているのかも知れない。そんなことを思った何年か前の冬だった。

(文=オーハナB)
<著者プロフィール>
元ホール店員、店長経験者。パチンコ店の裏側で起きた出来事や、人間関係を題材にしたコラムを担当している。過去に話題になった業界ネタなど、時代背景を感じる記事も作成中。自身の思い入れのあるシリーズの動向にも熱い視線を注ぐ。

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