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見た目は羽根モノだけど「中身は爆裂タイプ」の連チャン権利物!?【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第85話:ゴリコップ】
![ドラゴン広石コラム『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』](/wp-content/uploads/2022/10/doragon1014.jpg)
ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』
■第85話 ゴリコップ
世の中には「見た目」と「中身」が一致しないことが多々あります。たとえば、穿き込まれてボロボロに見える古いデニムが実はダメージ加工を施された新品だったり、逆にピッカピカに見える新車が実はレストアを重ねたクラシックカーだったり…。もちろん、趣味嗜好の世界ではこの類の話は特にめずらしくもありませんが、見た目を信じすぎると思わぬ損をすることもあるので要注意です。
パチンコにおいてもまた然り。下の写真は『ジャックポット』という大昔の羽根モノですが、一見するとデジパチ的な要素があるように感じますよね。しかし、役物の奥にある3桁デジタルは単なる飾りに過ぎず、Vスポット(Vゾーン)に入賞すると「777」が表示される、ただそれだけの演出だったりします。当時のパチンコ機は人目を引くために意味のない装飾を施した機種も少なくはなかったんですよ。
![西陣の1985年要件機『ジャックポット』。オトシまたはヘソチャッカー入賞で羽根が開閉する度にデジタルにランダムな数字を表示するが、役物の下段中央にあるVスポットに入賞すれば大当りとなって「777」が揃う。大当り中の楽曲は「聖者の行進」だ。(写真はコレクターの西陣屋 広瀬さん宅で撮影)](/wp-content/uploads/2024/05/85-1.jpg)
また、見た目は羽根モノなのに中身は一発台…な~んていうトリッキーな機種も昔はありました(詳細は当コラムの第50話をご覧ください)。もしも一発台と知らずに打ち続けていたら、大負けを喰らって後悔すること必至です。
これらの例を見てわかる通り、昔のパチンコ機は必ずしも見た目と中身が一致してなかったんですが、今回はその究極とも呼べる羽根モノを紹介したいと思います。
以下、本編。
■非常に懐かしい役物を搭載した羽根モノ
時は平成5年(1993年)の春。当時、私は大分市のW店に通っていたんですが、とある新装で非常に懐かしい役物を搭載した羽根モノが導入されたんですよ。それが大一商会さんの新機種『ゴリコップ』でした。
同社からはかつて「ゴリゴ13P-2」という旧要件の羽根モノがリリースされており、見た目が似ていたので私は新要件でリメイクした後継機だと考えたんですけどね…。
ゴリコップのゲーム性なんて知りません。いや、そう言うと少し語弊がありますね。私と同世代の方ならご理解いただけると思うんですが、昔の新装(特に昭和の新装)で羽根モノが導入された場合、とりあえず打ちながらゲーム性を把握するのが常でした。だって、羽根モノには全てに共通する基本原則があったんですから。
①オトシまたはヘソチャッカーに入賞させる。
②羽根に拾われた玉が役物内のVゾーン入賞で大当り。
③大当り中は羽根が最大18回開閉する(10カウント付き)。
④大当り中にV入賞でラウンド継続(新要件は最大15Rまで)。
これだけ覚えておけば事足りました。機種によってチャッカーの位置やV入賞までのプロセスに若干の差異はありましたが、そんな些細なことは打ちながら確認すればOK。それくらい昔の羽根モノには安心感があったんですよ。
ともあれ、無事にゴリコップを確保して打ち始めたところ、ムチャクチャにV入賞がキツいことがわかりました。羽根開閉チャッカーは両オトシとヘソの計3カ所を装備。通常、ヘソは2回開きであることが多いんですが、この機種は1回開きとなっています。
しかも、Vゾーンが役物上段の奥にあり(通常は役物下段の中央)、玉1個がギリギリ通過する大きさしかありません。ゲージが甘くてオトシに入りやすいぶん、結構な頻度で羽根が開閉するんですが、V入賞を目指す玉は全て役物内のゴリラに跳ね返されて、ことごとく下段に落ちてしまうんですよ。
![大一商会の羽根モノ『ゴリコップ』。賞球は6&13。見た目は従来の羽根モノと変わりなく、Vに入賞して完走すれば約1000個の大当り出玉を得られる。ただし、それは仮初めの大当りだ。真の大当りは役物下の2桁デジタルに「77」または「33」が表示された場合で、こうなればVへの連続入賞により一撃数千発の出玉を期待できる。(写真は「パチンコ歴史辞典/ガイドワークス刊」より)](/wp-content/uploads/2024/05/85-2.jpg)
しかし、打ってる内に何だか変だと思いました。役物の下段に玉が入るたびに2桁デジタルが回転するんですが(左右には必ず同じ数字が停止するため実質的に1桁デジタル)、これには何の意味があるんだろう?
そうこうしている内にデジタルに「77」が表示され、それと同時に役物上段にあるゴリラが上昇してVゾーンの入口が大きくなりました。そして、次の羽根開閉で拾った玉が見事にVを直撃。そのまま15Rを完走して一撃約1000個の出玉を獲得したんです。
大当り中は6カウント後にゴリラが上昇するため継続は容易。ごく稀にパンクすることもありますが、大半は完走すると見て間違いないと思います。なるほど、こういうゲーム性なんだね。
■「波の荒い羽根モノ」としか感じなかったが…
その時は「波の荒い羽根モノ」としか感じなかったんですが、そんな生やさしいものではないと気づくのにさして時間を要しませんでした。
なぜなら、大当り終了後の1回転目に再び「77」が、次の大当り終了後には「33」が(これも同じく大当り)表示され、そこから先も延々と「77」または「33」が連チャンしたんですから。
ここに至ってようやく私は理解しました。これって見た目は羽根モノだけど、中身は爆裂タイプの連チャン権利物だ! 当時はダイナマイト(大一商会)やピンボール(京楽)、ダブルゲーム(マルホン)などに代表される「爆裂1回権利物」の全盛期であり、出方は明らかにダイナマイトのそれに酷似していたんです。
あっぶねぇなぁ…。早めに気づいて事なきを得たけれど、もしもわけがわからないまま打ち続けていたら? そう思うとぞっとします。
下手をすると、ヤメてはいけない状態で台を手放して、大いに後悔していたかも知れないんですからね。嗚呼、とうとう羽根モノにも以前の常識が通用しない機種が出てきてしまったか。
それからしばらくして、ゴリコップの解析記事が出ました。細かいことはおいといて、中身は思った通り『ダイナマイト』とほぼ同じだったんです。
![大一商会の爆裂1回権利物『ダイナマイト』。左肩スルーを通過すると上部電チューが一瞬だけ開閉し、そこで拾われた玉が役物の籠に拾われたら1桁デジタルが回転する。その際に「3」が停止すれば小当り(1R)、「7」が停止すれば大当り(16R)で約2000個の出玉を獲得できる。いわゆる「モード式の連チャン機」で、天国移行後は「3」や「7」が出やすい。(写真は「パチンコ必勝ガイドClassic Vol.5/ガイドワークス刊」より)](/wp-content/uploads/2024/05/85-3.jpg)
ダイナマイトの連チャンシステムには1024個の乱数が使用されており、左肩スルーを通過した瞬間に「0」または「512」に巻き戻されます。
乱数の移行速度は一定かつ緩やかなので、普通に入賞した場合は同じような数値を取得しやすいのですが、「512」に巻き戻された場合は大当り乱数が密集しているゾーンを直撃しやすいため、高確率で「3」または「7」が停止するんです。
一方、「0」に巻き戻された場合はほぼ大当りが発生しないゾーンへと飛ばされます。前者は「天国モード」、後者が「地獄モード」であり、それぞれ特定の乱数を取得した瞬間にモード移行が行われる仕組みです。
そして、このシステムをそのまま羽根モノに移植したのがゴリコップです。乱数巻き戻しの瞬間はオトシまたはヘソ入賞時で、地獄モード滞在時はハズレ乱数が密集しているゾーンに飛ばされるためデジタルに「77」&「33」は出ませんが、特定の乱数(全16個)を拾った場合には漏れなく天国に移行するのです。その際にはデジタルに「11」が表示されやすいため、地獄モード滞在中の「11」はリーチ目的な意味合いがありました。
また、天国から地獄に転落する可能性がある乱数は112個あり、その乱数を取得した際には必ずデジタルに「77」が停止します。従って、デジタル「33」は天国モード継続が確定する非常に嬉しい出目でした。
でまぁ、ゴリラの役物が上昇している際に、稀にV入賞に失敗することがあるんですが(その際にもデジタルが回転)、そこで大当り以外の数字が停止することもあるため、打ち手にとって「33」は安心確実の出目でした。
ちなみに、私は「ダイナマイト」と「ゴリコップ」をどちらも打ち込みましたが、個人的にはゴリコップの方がはるかに好きでした。
だって、ダイナマイトはデジタルを回すためのプロセスが大変過ぎて、大当り出玉を半分近く打ち込むことだってあったんだもの。
その点、羽根モノの体裁をとっていたゴリコップは、大当り出玉こそダイナマイトの半分程度に過ぎませんが、簡単にデジタルを回すことができましたからね。
もしもタイムマシンがあったなら、もう一度あの頃に戻りたいなぁ…。
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