【あの馬主は何者?】 ついに最高の愛馬に出会った演歌歌手・北島三郎
宝塚記念でファン投票一位にキタサンブラックが選ばれたのは、馬の実力もさることながらその馬主である北島三郎氏への期待も含まれてのことだろう。菊花賞、天皇賞で同馬が勝利したときの北島三郎氏の絶唱パフォーマンスは、一部の馬主から批判的な目があるものの、競馬場への来場者を押し上げ、地上波での露出頻度を考えればその広告効果は絶大だ。
もちろんこれは芸能界、演歌界の大御所である北島三郎氏だからこそなしえるものであり、過去に紹介したディープインパクトの金子氏や元メジャーリーガー佐々木主浩氏ではここまでファンの支持を得ることはできないだろう。
その人気の背景にあるのは北島三郎氏が長い馬主歴で初めてG1レースを勝利したというドラマが背景にあるからだろう。金子氏のように社台グループの高額馬でG1レースを勝ちまくるような馬主は競馬ファンからすればあまり人気はない。それよりも北島氏のような零細馬主が50年続けてやっとG1レースを勝ったという事実に、ドラマがあり感動があるのだ。
北島氏が馬主になったのは1963年のなんと27歳。知人の演歌歌手春日八郎の推薦と事務所社長の紹介で馬を所有。その馬は生まれたばかりの長男からとったリユウと名付けられ、デビュー戦で岡部幸雄騎手を鞍上に初勝利。その後同馬は1000万クラスを勝利するまで活躍した。初めて所有した馬がここまで走るのは希だが、その後はなかなか馬運に恵まれず、馬主になって38年後にキタサンチャンネルで初めて重賞勝利。そして2015年の第76回菊花賞で初めてG1レース優勝となった。
北島氏は馬主歴53年の大ベテランでこれまで180頭以上の競走馬を所有。その総費用は10億円ともいわれ、これまで6つの重賞を優勝し、通算獲得賞金は中央・地方合わせて約30億円というから驚きだ。実際に芸能人やスポーツ選手など多くの著名人が馬主となっているが、年間7000頭近いサラブレッドが生産され2000名ほどの馬主がいる中で、年間22しかないG1レースを勝つことは並大抵のことではない。
ちなみに現在の馬主名義は北島氏の個人事務所である大野商事となっているが、個人名義から事務所名義に変更したのは税金対策だったとの話がある。当初は自分名義で馬主を持っていたが、思った以上に赤字が膨らんだのと、独立して個人事務所を設立したこともあって名義を変更したようだ。
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