
JRA天皇賞・春(G1)フィエールマンを巡るC.ルメール騎手の“痛恨” 「凱旋門賞を考えることができました」も噛み合わなかった歯車
「もう一度、乗れることはうれしい。G1をふたつ勝って、本当にこの馬のことが好きです」
5日(日)に京都競馬場で行われる天皇賞・春(G1)の共同会見の席で、フィエールマン(牡5歳、美浦・手塚貴久厩舎)に騎乗して連覇を狙うC.ルメール騎手は力強く語った。
昨年、ルメール騎手は天皇賞・春をフィエールマンで勝ち、史上3人目となる八大競走完全制覇を達成。「凱旋門賞を考えることができました」と語るほどの渾身の走りを見せた。
平成最後の春盾を手にしたフィエールマンの陣営は、札幌記念(G2)をステップに凱旋門賞を目指すローテーションを発表。札幌記念が行われる札幌競馬場は、欧州の馬場に近いと言われる洋芝。さらにブラストワンピース、ワグネリアンら同世代のG1馬が顔を揃えるなど、メンバー的にも申し分ナシ。凱旋門賞のリハーサルにはうってつけの舞台だと思われていた。
ここを快勝して世界最高峰の舞台への挑戦、という青写真を陣営は描いていただろう。だが結果は3着。ルメール騎手は「狭いコース、短い距離でしたし、エンジンの掛かりが遅かった」と後ろにポジションを取りすぎたことを敗因としてあげていた。
幸先の悪いスタートを切ったことで、フィエールマンの凱旋門賞挑戦を不安視する声は多く聞かれた。そして12頭立てで開催された凱旋門賞では、一転して好スタートを見せると、2番手の良いポジションをゲット。一瞬、見ている者に“まさか!?” と期待を抱かせたが、「レースに動きが出てからは追い上げが厳しくなってしまいました」とルメール騎手が語った通り、ズルズルと下がり、12着の殿負けを喫した。
「ルメール騎手はこれまで凱旋門賞で2着が4回。日本を離れる前には『かなえたい一番の夢は、凱旋門賞を日本の馬で勝つこと。今まで勝てていないので、日本馬で勝てたら引退します』と思いを語っていました。『引退』はリップ・サービスでしょうが、その二文字を口にするほど、並々ならぬ思いを秘めていたということ。それだけにあの敗戦は、相当悔しかったはずです」(競馬誌ライター)
帰国後フィエールマンは有馬記念(G1)へ。ルメール騎手はアーモンドアイに騎乗するため、池添謙一騎手との挑戦となった。近年はマカヒキ、サトノダイヤモンド、クリンチャーなど、凱旋門賞に出走し帰国したメンバーが長期的な不調に陥っている。そのため、フィエールマンも同様にスランプにあえぐかもしれないと考えられていた。
だが、フィエールマンは中団追走から早めの仕掛けを見せて4着。不安を払拭する走りを披露する。それをアーモンドアイの背から見ていたルメール騎手は、「ゆっくり構えてだんだんポジションを上げていった。リスグラシューやサートゥルナーリアが強かった。すごくいい競馬をしていました」と称賛。だが自分が騎乗していたアーモンドアイが9着に終わっていることもあり、『もし、自分が乗っていたら……』という想いが胸にこみあげてきていたことは想像に難くない。
「この馬のことが好きです」と話すルメール騎手だが、昨年後半はフィエールマンとは悔しい思い出しかないだろう。
ディフェンディングチャンピオンとして迎える1戦。フィエールマンは1週前追い切りでは、美浦Wで5F66秒1、ラスト12秒2を馬なりで記録。僚馬に4馬身差をつけて先着し、管理する手塚師も「状態は有馬記念の時よりいい。さらに言えば、19年の天皇賞・春を勝った時よりもいい」と胸を張る。
「今回も天皇賞で頑張りたいです。フィエールマンでもう1度、天皇賞を勝ちたいです。よろしくお願いします」
悔いを晴らす準備はできた。ルメール騎手がフィエールマンで天皇賞・春連覇へ進む。
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