「7馬身差」快勝も評価に変化なし? 凱旋門賞(G1)エネイブル連覇達成ローテも、宿敵優位が揺るがない理由とは
5日、イギリスのケンプトン競馬場で行われたセプテンバーS(G3)はエネイブル(牝6歳、英・J.ゴスデン厩舎)が優勝を飾った。
レースはエネイブルがライバル馬5頭を引き連れて逃げる展開。残り400mでL.デットーリ騎手が追い出しをかけると、後続をどんどん引き離した。最終的には、2着に「7馬身差」をつける圧勝だった。単勝1.07倍という驚異の支持に、満点回答の結果である。
最大目標である凱旋門賞(G1)まであと1か月。今年の初戦エクリプスS(G1)は2着に敗れたが、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)、セプテンバーSと連勝して、秋のロンシャンに向けて万全の仕上がりと言えそうだ。
デットーリ騎手は『ITV Racing』の取材に、「全ての道がロンシャンに続いている。彼女は気分が良さそうだった」「まだ夢の途中」と凱旋門賞を意識したコメントを残した。
セプテンバーSは2年前に凱旋門賞連覇を達成した前哨戦であり、エネイブルにとっては縁起のいいレースである。前回よりも3キロ重い61キロの斤量を背負いながらも勝利したことで、史上初の凱旋門賞3勝に一歩前進となった。
しかし、下馬評ではエネイブルの2番手評価に変わりはなかった……。
6日時点で、英ブックメーカー『ウィリアムヒル社』の凱旋門賞のオッズは英牝馬2冠のラブが2.88倍の1番人気で、エネイブルが2番人気の3.75倍となっている。また、『bet365』はラブを2.9倍、エネイブルを3.5倍に設定していることから、エネイブルの評価はラブを下回っていると言える。
「一昨年のセプテンバーSは久々の実戦だったエネイブルがクリスタルオーシャンとの一騎打ちを制したことで、評価を上げました。それに対して、今年の出走メンバーはエネイブルが勝って当然の相手です。単勝オッズもそれを示していますよ。いくら7馬身差をつけたとはいえ、3歳牝馬ラブの優勢が揺らがないのには納得です」(競馬記者)
英オークス(G1)を9馬身差、古馬初対戦のヨークシャーオークス(G1)を5馬身差で圧勝したラブ。奇しくも、ヨークシャーオークスは3歳のエネイブルが凱旋門賞を制した時の前哨戦である。勢いに乗る3歳馬がエネイブルにとって脅威の存在となっているのだ。
「凱旋門賞はこれまでに98回行われていますが、3歳馬が最多の60勝を挙げています。それに対して、6歳馬以上での勝利は1932年のモトリコ(7歳)しかいません。3歳牝馬は13勝であまり目立った数字ではありませんが、近10年でエネイブル、トレヴ、デインドリームの3頭が勝っており、そのうち2頭が連覇しています。これも影響して、怪物級の3歳牝馬に注目が集まっているはずです」(同)
実際に、ゴスデン調教師は「彼女は誰が相手であろうと最後まで戦い抜く。それは自分との戦いということさ。我々はオークス馬(ラブ)を十二分にリスペクトしている」とエネイブル自身の戦いと言いながらも、ラブを意識しているようだ。
今年の凱旋門賞で実現する新旧・英最強牝馬対決は、どちらに軍配が上がるだろうか。
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