
日本ダービー(G1)シャフリヤールら「掲示板独占」は必然!? ノーザンファーム13年ぶりの屈辱から1年、輝きを取り戻した絶対王者の申し子たち
三冠ジョッキー福永祐一騎手のシャフリヤールと、22歳の若き新鋭・横山武史騎手のエフフォーリアが、わずか10cm差で明暗を分けた今年の日本ダービー(G1)。
ゴール前はダービー史に残る叩き合いで、応援しているファンの多くが固唾を飲んで見守ったはずだが、サラブレッド生産界の絶対王者ノーザンファームにとっては、余裕のゴール前だったに違いない。
それもそのはず。大接戦を演じたシャフリヤールとエフフォーリアはもちろん、3着ステラヴェローチェ、4着グレートマジシャン、5着サトノレイナスも、すべてノーザンファームの生産馬だったのだから、まさに関係者は左団扇だったことだろう。
コントレイル、デアリングタクトのW無敗三冠に終わった昨年は、NHKマイルC(G1)も白老ファーム生産のラウダシオンが勝ったため、ノーザンファームにとって2007年以来、13年ぶりとなる3歳G1全敗という憂き目に遭った。
前年に長くノーザンファーム王朝を支えた大種牡馬ディープインパクト、キングカメハメハがそろって他界したこともあって「時代の変わり目」「王朝終焉」とさえ囁かれた。
しかし、今年はそんな“雑音”をかき消すかのように、ノーザンファーム生産の3歳世代が猛反撃。昨年6月に2歳新馬戦が幕を開けると、G1どころかG2・G3といった重賞さえ勝たせぬ勢いで圧倒的な包囲網を築き上げた。
「ダービーが終わって、クラシック戦線もひと段落しましたが、今年のノーザンファームの勢いは凄まじかったですね。2歳重賞に至っては函館2歳S(G3)、新潟2歳S(G3)以外の重賞をすべて勝利。他の生産牧場からは有力馬の芽さえ出ない状況でした。
今年になって、少しは他の牧場の生産馬も重賞を勝てるようになりましたが、それでも桜花賞(G1)と皐月賞(G1)は共にノーザンファーム生産馬が勝利。
オークス(G1)こそ、3月に亡くなった岡田繁幸さん率いるビッグレッドファームのユーバーレーベンが勝ちましたが、日本ダービーでは史上最多の12頭(直前で回避したダノンザキッドを合わせると13頭)を送り込んでの掲示板独占。質・量ともに今年のノーザンファーム生産馬は例年以上の豊作だったと思います」(競馬記者)
2018年に生を受けた7398頭の中で、わずか18しかないダービーの舞台に、これだけのメンバーを送り込んだノーザンファーム。掲示板独占という快挙はもちろん、出走馬の2/3を占めた有力候補を送り込める状況を築いた時点で、すでに勝負は決していたのかもしれない。
そんな日本ダービーも幕を閉じ、いよいよ今週末からは2歳新馬戦がスタートする。果たして、新時代の主導権を握るのはやはり絶対王者ノーザンファームか、それとも昨年のように非ノーザンから異端の大物が誕生するのか。
新たなクラシックの覇権を握る戦いが幕を開ける。(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。
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