
JRA C.ルメールVS横山武史激化!? あのサンデーレーシングまで認めたマイルCS(G1)シュネルマイスター抜擢の意味

3日、先月の天皇賞・秋(G1)で3着に敗れたグランアレグリア(牝5歳、美浦・藤沢和雄厩舎)が21日のマイルCS(G1)へ向かうことが明らかになった。所属するサンデーレーシングの公式HPで発表されている。
一時は陣営から28日のジャパンC(G1)へ向かうことも示唆されていたグランアレグリアだが、課題となった2000mで敗れたことで、再びマイル路線に方向転換。昨年に続く、秋のマイル王決定戦制覇を狙う。なお、鞍上は主戦のC.ルメール騎手が務めるようだ。
この決定により、激震が走ったのは3歳マイル王・シュネルマイスターの陣営だろう。
今春にNHKマイルC(G1)を制覇し、秋の始動戦となった毎日王冠(G2)で古馬を一蹴。堂々の主役としてマイルCSを迎えるとみられていたシュネルマイスターだが、春の安田記念(G1)で先着を許したグランアレグリアの参戦で状況は一変。さらに、騎乗濃厚とみられていたルメール騎手が“強奪”されたことで鞍上まで空白になってしまった。

しかし、そこからわずか数分後に陣営から3歳マイル王の新たな鞍上決定を発表。白羽の矢が立ったのは、絶好調の若武者・横山武史騎手だった。
「グランアレグリアとシュネルマイスターが共にサンデーレーシングの所属馬ということもあって、各陣営の対応は速かったですね。横山武騎手はシュネルマイスターのデビュー戦や安田記念でコンビを組んでおり、いわば本馬のセカンドドライバー的な立場。このチェンジは自然な流れだと思います。
ただ、今回のマイルCSはこれまで横山武騎手が騎乗したレースとは、意味合いが異なると思います。特に安田記念は、言ってしまえば挑戦者的な立場でした。しかし、今回はたとえグランアレグリアが参戦して来ようともG1制覇が強く求められる一戦。そんな超重要なレースでも若い横山武騎手が抜擢されたことに、同騎手の今の勢いを感じます」(競馬記者)
横山武騎手といえば、先々週の菊花賞(G1)と先週の天皇賞・秋を連勝した今、最も結果を残しているジョッキー。シュネルマイスターにルメール騎手が騎乗できないことは残念だが、ファンの3歳マイル王への期待値はむしろ上がったかもしれない。ある記者は「これは非常に意味のある抜擢」と驚きを隠さない。
「今回のマイルCSにおけるシュネルマイスターの立場は1、2番人気を争う最有力候補。主戦のルメール騎手の代役は必然的にトップジョッキーになったでしょうし、もしO.マーフィー騎手やD.レーン騎手といった実力派の外国人騎手が来日していれば、間違いなく抜擢されていたと思います。
もちろん世界的な実力を持つ彼らが不在ということもありますが、弱冠22歳の若手の横山武騎手が選ばれた意味は大きいと思いますね。G1連勝中と今、最も勢いのある騎手ですが、騎手に対してシビアな評価で知られるサンデーレーシングから実力を認められたことで、今後ますます盤石なトップジョッキーに成長していくことになるかもしれません」(別の記者)
ちなみに横山武騎手が連勝した菊花賞と天皇賞・秋では、ルメール騎手も2着、3着と気を吐いている。また14日のエリザベス女王杯(G1)でも、ルメール騎手が今春の大阪杯(G1)を制したレイパパレに騎乗することに対して、横山武騎手はオールカマー(G2)でレイパパレを破ったウインマリリンに騎乗と、またも上位争いが期待されている状況だ。
秋のG1戦線で主役を務める2人のデッドヒートはまだまだ続きそうだ。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。
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