JRAホープフルS(G1)オニャンコポン「偉大な者」への進撃開始、エフフォーリアも歩んだ道から「珍名馬」が飛躍!?
26日に中山競馬場で行われる有馬記念(G1)の枠順も確定し、注目を集めたクロノジェネシスは4枠7番、エフフォーリアは5枠10番に入り、8枠16番の大外を引いてしまった今年の菊花賞馬タイトルホルダーと明暗を分けた。
好枠を引いた人気両頭が、早くも他馬をリードする格好となったものの、最後まで何が起こるかわからないのも競馬の醍醐味。はたして堅い決着となるのか、それとも……。
その一方、有馬記念の2日後にもまた、今年最後のJRA・G1となるホープフルSが控えていることを忘れてはならない。
二強対決に沸く暮れのグランプリとは対照的に、こちらは早くもコマンドライン一強ムードに染まりつつある。それもそのはず、今年出走するメンバーで重賞勝ちのある馬はこの馬ただ1頭だけだからだ。
しかも、数多くのG1馬の背中を知る名手C.ルメール騎手が、「来年のダービーで騎乗する」とベタ惚れしている素質馬だ。前評判通りの圧勝をしようものなら、来春のクラシックはこの馬を中心に回っても不思議ではないだろう。
ただ、そこはまだキャリアの浅い2歳馬ばかりのレース。若い馬にはまだ厳しい芝2000mという舞台設定も加味すると、マイル戦の経験しかないコマンドラインも、そこまで絶対的な存在とはいえないだろう。
そんな怪物候補に付け入る隙があるとすれば、実際に芝2000mで結果を残している馬にこそチャンスがあるのではないか。ちなみに2戦2勝の無敗で同距離を制した馬は2頭。ジャスティンパレスについては、ルメール騎手が騎乗していた馬でもあり、コマンドラインを選択した今回は、劣勢とジャッジした可能性が残る。
そこで面白そうなのが、もう1頭のオニャンコポン(牡2、美浦・小島茂之厩舎)だ。
オジサン達にとっては、昭和の某アイドルを連想しそうな珍名馬なのだが、JRA公式によるとその一風変わった馬名の由来は「偉大な者(アカン語)」というもの。TVアニメ化された大ヒット漫画『進撃の巨人』にも、物語のカギを握る同名の人物が登場しており、インパクトの強い馬名は、デビュー当初からネットやSNSで話題となっていた。
しかし、同馬の評価を急上昇させたのが、前走の百日草特別(1勝クラス)の勝利である。このレースはファンの間でもちょっとした出世レースとして知られており、過去の勝ち馬から後のG1馬や重賞勝ち馬を輩出してきた。
昨年の優勝馬エフフォーリアが、ここからクラシックを牽引する存在へと羽ばたいていったのは記憶に新しい。
2着馬とクビ差とはいえ、負かした相手は一昨年のセレクトセールで2億7000万円(税抜)の値が付いた評判馬ホウオウプレミア。上がり33秒7の切れで最後まで抜かせない勝負強さも披露している。
さらにデビューから2戦連続で手綱を取っているのは、関東の若手有望株・菅原明良騎手。デビュー3年目の20歳という若さながら、今年は全国騎手リーディングであの武豊騎手に次ぐ12位の大健闘。74勝は同じでも、2着の数でM.デムーロ騎手を上回っている(23日現在)。
菅原騎手がただの若手ではないことは、1日で全9鞍に騎乗して6勝2着2回だった10月30日の新潟開催が証明している。初重賞勝ちも2月の東京新聞杯(G3)をカラテで制しており、すでに経験済み。
今年は横山武史騎手がエフフォーリアとのコンビでトップジョッキーの仲間入りをしたことを考えると、もし菅原騎手とオニャンコポンが勝つようなら、来年一気にブレイクしても不思議ではないかもしれない。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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