JRA若手有望株の「的確過ぎる」敗因分析にファンも驚き! トラックバイアス、自身の技術不足「理路整然」な説明も大人気…高松宮記念(G1)でも存在感
27日、中京競馬場で開催された春のスプリント王決定戦・高松宮記念(G1)を制したのは、8番人気の伏兵ナランフレグだった。
デビュー16年目にして待望の初G1勝利の丸田恭介騎手は、恩師である宗像義忠調教師の管理馬で殊勲の大金星。勝利騎手インタビューで感極まって涙ぐんだシーンは、多くのファンの感動を呼んだ。
レシステンシア、メイケイエール、グレナディアガーズ、サリオスら上位人気に支持された馬が揃って凡走したレースは、3連単の払戻しが278万4560円となる大荒れ。それと同時に4着以内に入った騎手の顔触れが、いずれもG1勝利経験のなかった騎手ばかりということでも話題を集めた。
中でも密かにファンから高く評価されているのが、トゥラヴェスーラで4着に入った鮫島克駿騎手だ。
「中京の今のトラックバイアスを考えて、インに潜り込むことを最初から考えていました。スタートを上手く出て、インに入って1200mピッタリの距離を走ることができました」
7番人気トゥラヴェスーラで好騎乗を見せるもクビ→ハナ→クビ差の4着。惜しくも馬券圏内への突入とはならなかったが、その存在感をしっかりと関係者に残せただろう。
鮫島駿騎手のレース後のコメントは、いつも的確な敗因分析をしていることでも注目を集めている。高松宮記念でも当日の馬場差やパートナーの持ち味を考えて、勝つためにどういった作戦を取っていたのかを、ファンに分かりやすく言葉で説明してくれている。
参考までにトラックバイアスとは、内外のどっちが走りやすい馬場か、前が残りやすいか、後ろが届きやすいかなどの有利不利などの傾向を意味する。
ファンの目には不可解に見える騎乗でも、「よく分からない」「申し訳ない」など、多くを語らない騎手も珍しくない中、「何が良かったのか」「どこが駄目だったのか」を知らせてもらえることは、鮫島駿騎手の馬券を購入したファンも納得しやすい。
ここで説明しているのはほんの一例に過ぎないが、ファンの間で特に評判だったのが、昨秋のジャパンC(G1)である。
このレースでは、ラストランを勝利で飾ったコントレイルが優勝し、2着にオーソリティ、3着にシャフリヤールが入り、鮫島駿騎手のサンレイポケットは10番人気の低評価を覆して4着。人気を考えると、十分な好騎乗だったようにも感じられる結果だった。
しかし、レース後のコメントでは意外な言葉が出た。
「一日馬場を見ていた感触で、道中はインを通ることを選択しました。天強い相手に頑張っていながらその一角を崩せないのは私の技術不足です」
強力なライバル相手に一歩も譲らない好戦を演じながらも、「技術不足」と振り返った辺りに、後悔とパートナーへの信頼が垣間見える。
そういった背景もあってか、昨年の勝利数も前年の37勝から69勝に大幅増。今年も15勝を挙げて、全国リーディング19位(3月28日現在)と健闘している。若手騎手では横山武史騎手や岩田望来騎手らが注目を集めているものの、25歳の鮫島駿騎手もまだまだ若手といっていい年齢だ。
現在はまだ頼れる手腕に騎乗馬の馬質が追いついていないかもしれないが、関係者からの評価が上がるにつれ、チャンスも増えてくるはず。
これまでG1レースに14回騎乗し、人気薄の馬で見せ場を作ってきた。トゥラヴェスーラにしても、昨年の高松宮記念4着は16番人気でのもの。昨年のフェブラリーS(G1)では、9番人気エアスピネルで2着にも入った。
今回で通算5度目のG1・4着となってしまったが、これからも目が離せない若手有望株といえるのではないだろうか。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
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