JRA「私の技術不足」謙虚過ぎる敗因分析に賛辞の声止まらず、コントレイル優勝ジャパンC(G1)の裏で若手有望株のコメントをファンが圧倒的支持
先週はラストランの舞台となったジャパンC(G1)で見事な勝利を飾ったコントレイルが多くの競馬ファンに感動を与えた。このレースを最後に種牡馬として父ディープインパクトに匹敵する活躍に期待したいところだ。
デビューから苦楽を共にした福永祐一騎手の「夢のような時間でした。今までのジョッキー人生の全てを注ぎ込みました」というレース後のコメントには、去り行くパートナーへの一途な想いも詰まっており、これにはファンも拍手喝采だった。
この日の主役は、無敗で三冠を達成したこのコンビだったことは確かだが、その一方で福永騎手以外にも、ファンからレース後のコメントを大絶賛された騎手がいたこともお知らせしたい。
勘の鋭い読者はすでにこれが誰の残したコメントなのかすぐに察しがついたかもしれないが、対象となったのはサンレイポケット(牡6、栗東・高橋義忠厩舎)とのコンビで4着に食い込んだ鮫島克駿騎手の言葉である。
コントレイル、グランアレグリア、エフフォーリアといった三強対決に沸いた前走の天皇賞・秋(G1)でサンレイポケットは4着。今回のジャパンCにはこのとき敗れた強敵3頭の内、2頭が出走しないとあって、穴党から熱い視線が注がれていた。
単勝のオッズこそ70.5倍で10番人気の低評価だったものの、複勝では8番人気。同じ10番人気でも前走では113.5倍の万馬券だったことを考えれば、評価が上がっていたことも分かる。
しかし、サンレイポケットは残念ながら鮫島駿騎手の健闘虚しく、あと一歩のところで馬券圏内の3着に入れなかった。同馬の激走に期待していたファンからは、ネットの掲示板やSNSで「もう少しだったのになあ」など、残念がる言葉も見掛けたものの、レース後に発表されたコメントには、「次も絶対に買いたい」「これだから克駿は信用できる」「若手は(横山)武史だけじゃないな」といった高評価が相次いだ。
そのコメントの内容が以下である。
「一日馬場を見ていた感触で、道中はインを通ることを選択しました。直線では上位3頭に迫る脚を使っています。天皇賞秋もそうでしたが、強い相手に頑張っていながらその一角を崩せないのは私の技術不足です。馬は良い走りをしています」
25歳の若手騎手としては、あまりにも殊勝な言葉ではないだろうか。マスコミ嫌いもあってかコメントしないベテラン騎手もいる中で、自身の騎乗の意図や作戦をしっかりとファンに伝える姿勢には好感が持てる。
結果的に4着だったとはいえ、十分に誇れるはずの好騎乗だったにもかかわらず、「私の技術不足」とまで言い切ったところもまた素晴らしい。
「個人的にも鮫島駿騎手は乗れる若手としていつも注目しています。確かにこの日の東京は内の馬場状態もそれほど悪くなかったですし、芝の中距離戦の逃げ切り勝ちも3レースほどありました。
スタートして積極的に位置を取りに行き、直線だけ外に出して末脚に期待する騎乗は、理に適っていたと思います。サンレイポケットの現在の充実ぶりは勿論ですが、鞍上が鮫島駿騎手だったからこその好走だと思います」(競馬記者)
現在、若手騎手はG1を勝利している横山武史騎手が、トップクラスの評価を受けているが、鮫島駿騎手の手腕も決して引けは取らないはずだ。今回に限らず、しっかりと騎乗の意図や敗因を分析する姿は、ファンや関係者に対して大きなアピールとなったに違いない。
さらに経験を積んで、騎乗馬の質が上がった際には、G1を制覇する日が訪れるのもそう遠くないかもしれない。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
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