JRA「ポスト武豊」が苦しい立ち位置…天皇賞・春(G1)同じ“騎乗馬無し”でも「超余裕」福永祐一との“決定的違い”とは
「来年は今年以上に勝てるよう、そしてG1や重賞も勝てるように頑張っていきたい」
昨年12月、天才・武豊騎手に次ぐ史上2番目の若さでJRA年間100勝を達成した22歳の横山武史騎手はそう誓っていた。
今年も「この男の年になる」と多くの競馬ファンは疑わなかったが、現状はここまで重賞23戦でわずか1勝のみに留まる苦しい展開。高松宮記念(G1)から始まったG1・4連戦では、いずれも上位人気馬の手綱を任されながら、周囲の期待を裏切る惨敗を繰り返した。
今週からは怒涛のG1・6連戦が幕を開けようとしている。だが、肝心の天皇賞・春(G1)の舞台にこの男の姿はなく、当日は東京競馬場で騎乗予定となっている寂しい状況。昨年の朝日杯FS(G1)以来のG1不参加に、どこか疎外感を感じてしまうのは筆者だけだろうか。
どうにも苦戦が続く若武者を横目に、今年G1戦線で好調なのが福永祐一騎手だ。
今週は横山武騎手同様に天皇賞・春の騎乗はないが、今年フェブラリーS(G1)や皐月賞(G1)を勝った名手は、気持ちの面で大きなアドバンテージがあるだろう。
来週行われるNHKマイルC(G1)においても、1番人気想定のセリフォスへの騎乗が先日決まったばかり。今年のG1・2勝はいずれもテン乗りでの一発回答なだけに、今回初騎乗となる同馬への期待も自然と高まる。やはり頼れる男には、有力馬の騎乗依頼も舞い込んでくるのが競馬の世界だ。
今年に関しては、特にC.ルメール騎手からの乗り替わりで好結果を出している福永騎手。復帰した2月からオープンクラス以上のレースでは、前述のG1勝利を含む5戦4勝と驚異的な勝負強さを発揮。格上ジョッキーからのいわゆる「おさがり」も、上手く勝ち星に繋げている。
その一方で、同じくルメール騎手からの乗り替わりを活かし切れていないのが横山武騎手だ。
代役としてチャンスをモノに出来ていない横山武騎手
今年のオープンクラス以上では、フェアリーS(G3)のスクルトゥーラ(4番人気、6着)やアネモネS(L)のウィズグレイス(1番人気、9着)と共に有力馬でありながら、いずれも着外に終わっている。
思い返せば、昨年も新潟記念(G3)のパルティアーモ(4番人気、11着)や京王杯2歳S(G2)のヴィアドロローサ(7番人気、8着)など、オープンクラス以上に限ると「0-1-1-6/8」と不振が際立っている。
2着、3着に入ったのは安田記念(G1)とマイルCS(G1)で、いずれもグランアレグリアを優先したルメール騎手の代役として跨ったG1馬シュネルマイスターでのもの。それ以外は全て4着以下に敗れており、チャンスをモノに出来ていない。
1日に東京競馬場で行われるスイートピーS(L)では、オークス(G1)へ向けた最後の優先出走権が懸かるなかで、有力候補のローブエリタージュに騎乗する予定だ。だが、こちらもルメール騎手からの乗り替わりでどこか不安が付き纏う。
そして追い打ちをかける様に、今週から宝塚記念ウィークまでD.レーン騎手が短期免許を取得し日本で騎乗するため、横山武騎手にとって有力馬確保はさらに厳しい状況となりそうだ。
自らのお手馬も勿論だが、福永騎手のように乗り替わりのチャンスも活かして行かなければ、今年は想定外の“G1未勝利”なんて結末が待っているかもしれない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
PICK UP
Ranking
5:30更新- JRA「出禁」になったO.ペリエ「税金未払い」騒動!? L.デットーリ「コカイン使用」K.デザーモ「アルコール依存症」過去の”外国人騎手トラブル”に呆然……
- 横山武史「乗り替わり」の無念を晴らす重賞勝利に会心ガッツポーズ! 初のメイン勝ちなど大暴れ「妹弟子」の活躍も刺激に?
- JRA「一寸先は闇」のような勢力図の激変…注目集めた若手同期の明と暗、あの「お騒がせ騎手」が佐々木大輔に続くブレイク?
- 【青葉賞】「幻のダービー馬」スキルヴィングの勝利から1年…待ち受けていた悲劇的な結末、改めて痛感する人馬無事の大切さ
- 【羽田盃】新ダート三冠初戦を桃井はるこがぶった斬り!? アマンテビアンコ✕川田将雅よりも推したいあの1頭は? モモーイの超!大穴でGJ 羽田盃2024
- 【青葉賞】武豊「ダービーに出さないといけない」キタサンブラック弟シュガークン出陣! 相性抜群レース完勝も、本番に不安材料?
- 【天皇賞・春】「賛否」分かれる名馬のレース名と条件、芝のコパノリッキーやダートのロードカナロアに違和感ありあり…ライスシャワーもスプリンターだった?
- 本命馬が出遅れたら「自分の勘を疑うべき」なのはなぜか?キャプテン渡辺が考える「今日はダメだサイン」2つ【徒然なる神のくず競馬トーク】
- 【チャンピオンズマイル(G1)展望】海外転戦“5億円ホース”が世界最強ゴールデンシックスティに挑戦!昨年のNHKマイルC覇者が道悪で急浮上?
- 須貝尚介厩舎「重賞50連敗」ゴールドシップ、ソダシら手掛けた名門が苦戦…相次いだ誤算と見えてきた光明
関連記事
武豊も横山武史も「空回り」で福永祐一独り勝ち!? C.ルメール「失ったもの」の大きさに愕然……川田将雅も認める大物がまたも足踏み【週末GJ人気記事ぶった斬り!】
JRA C.ルメール、横山武史を苦しめる「春の嵐」がD.レーンを襲う!? 2年ぶりの来日に立ち込める暗雲…「相思相愛」の強力バックアップが期待できない裏事情
JRA青葉賞(G2)キタサンブラック長男×絶好調オーナーが狙う2週連続のチケット! 「1勝29敗」“迷える三男”の大復活はあるか
JRA天皇賞・春(G1)タイトルホルダーとディープボンドでは決まらない!? 横山武史と川田将雅の「違い」も浮き彫り、繰り返したくないエフフォーリアの悪夢
JRA横山武史「1番人気」裏切りは大井でも……。東京スプリント(G3)「ただただ残念」、“他人事”コメントにメンタルを心配する声も?