
JRA武豊、金子真人オーナーも見誤った「18冠ベビー」たち…アーモンドアイ×モーリス「15冠」を超える大物の冴えない現状

有限会社シルクレーシングの発表によると、アーモンドアイがモーリスの仔を受胎したことが15日に分かった。
2018年、2020年に年度代表馬に選出された母は、現役時代に史上最多となる芝G1・9勝を挙げた名牝。このまま来春を迎えるようなら、G1を6勝した父モーリスと合わせて「15冠ベビー」が誕生することとなる。
今年1月に出産したエピファネイア産駒の初仔に続き、2番仔もまた無事に生まれてくることを多くのファンが祈っているはずだ。G1を複数勝利した父母による「ベスト×ベスト」を思わせる配合には、競馬の夢とロマンが詰まっているだけに、大きな注目を集めることになりそうだ。
とはいえ、血統的な背景の期待通りに大物が誕生する例は多くない。

先日引退が発表されたアカイトリノムスメは、父が7冠馬ディープインパクト、母が牝馬三冠プラスG1を2勝した5冠馬アパパネで「12冠ベビー」としても有名だった。昨年の秋華賞(G1)を優勝したレアな成功例といえるだろう。
こちらについては、セリで落札された馬が金額に見合わない成績に終わることと、何となく似ているかもしれない。
そこで、過去に話題となり「大物ベビー」といわれた馬を振り返ったところ、多彩な顔触れが揃っていたので紹介したい。
まず、アーモンドアイ×モーリスの15冠を上回る16冠ベビーだったのは、2017年のオークス馬ソウルスターリングだ。父は欧州でG1・10勝を挙げたフランケル、母はG1・6勝を挙げたスタセリタという超豪華な配合。母の現役時代に騎乗経験のあるC.ルメール騎手にとっては、愛着のある血統馬でもあった。
同じくフランケルを父に持つ17冠ベビーの母は、『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)でも再注目されている7冠馬ウオッカ。残念ながら重賞を勝つことは出来なかったが、引退後は超良血種牡馬として活躍を期待されている。
武豊、金子真人オーナーも見誤った「18冠ベビー」たち
そして、これらを超える18冠ベビーもいるのだが、なんと1頭だけでなく複数いるから驚きだ。
18冠ベビーを量産しているのは、米国産馬の繁殖牝馬アゼリ。現役時代に米G1を11勝した名牝も、大きな期待に反して繁殖牝馬としては成功しているとはいえない。
2013年に生まれたロイカバードは、セレクトセールで2億5200万円(税込)の高額で落札されたことでも知られる馬。同じく2億4150万円(税込)のサトノダイヤモンドと激突したデビュー戦は、「5億円対決」としても話題となった。
その後、両馬は翌年のきさらぎ賞(G3)で2度目の顔合わせがあったものの、サトノダイヤモンドが返り討ち。クラシックを牽引したライバルとは対照的に、武豊騎手が「素質は相当ある」と評していたロイカバードは、重賞を勝つこともなく現役を引退した。
また、同馬を含めてディープインパクト産駒を計5頭出産したアゼリだが、今のところ目立った活躍をしたのは、2019年の京都大賞典(G2)で3着に入ったシルヴァンシャー程度。2017年に生まれたアウサンガテは、驚異的な運と相馬眼の持ち主である金子真人オーナーが1億5120万円(税込)で落札したが、5歳を迎えていまだ14戦1勝と冴えない成績に留まっている。
現役時代に名牝といわれた馬が引退後、必ずしも名繁殖牝馬とならないところもまた競馬の謎であり、未勝利の母からG1馬が生まれることも血のロマンといえるだろう。
母になった9冠馬アーモンドアイは、どういう仔を送り出してくれるだろうか。産駒のデビューを楽しみに待ちたい。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
PICK UP
Ranking
17:30更新「素行不良」で干された若手の更生に関西の大御所が名乗り! 福永祐一を担当した大物エージェントもバックアップ…関係者から「優遇され過ぎ」の声
【NHKマイルC(G1)予想】ジャンタルマンタルは皐月賞の反動があるとみて消し! 出走唯一の連勝馬に着目
横山典弘騎手が若手騎手に「あの乗り方はやめろ」岩田康誠騎手らが実践する「お尻トントン」は、競走馬の負担になるだけ?
- 「関東の問題児」がバチバチの叩き合いで痛恨の騎乗停止…被害馬の騎手からもクレーム? 降着の裁決に「迷惑をかけてしまい申し訳ない気持ち」
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- JRA「一寸先は闇」のような勢力図の激変…注目集めた若手同期の明と暗、あの「お騒がせ騎手」が佐々木大輔に続くブレイク?
- セイウンハーデスにも襲い掛かった「不治の病」…“奇跡の復活”カネヒキリ以来の伝説に挑む
- JRA「馬が走ってくれません」スタート直後の“レース拒否”に大反響!? 三浦皇成も打つ手なし……未勝利馬がまさかの「自己主張」で1か月の出走停止処分
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
関連記事
JRA「ウマ娘」藤田晋オーナーだけじゃない! オークスにエリカヴィータ、ダービーにも2頭出し目前…注目の「新興馬主」にダートの大物候補誕生!?
JRA繰り返される「危険騎乗」に賛否!? 落馬負傷から復帰1カ月も「鳴かず飛ばず」松山弘平に焦りの影
JRA川田将雅「理由を探っていきたい」切望の舞台でよもやの大敗! 発馬アクシデントで度外視の声も…今後のレイパパレが前途多難な理由とは
JRA D.レーン「2週連続ムチ連打」制裁に危機感!? ヴィクトリアマイル(G1)「テンダメ、中ダメ、終いダメ」の“無気力”騎乗に非難殺到?
JRA「何故」ソダシの独壇場だったのか。G1馬5頭の史上最高メンバー集結も、拍子抜けのワンサイド…楽勝劇を生んだ「思惑」の交差と「想定外」のアクシデント