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JRA最強世代の“超新星”が「秒で終わった」日本ダービー(G1)から12年…イクイノックスやダノンベルーガも“他人事ではない”名馬達の自爆劇

JRA最強世代の超新星が「秒で終わった」日本ダービー(G1)から12年…イクイノックスやダノンベルーガも他人事ではない名馬達の自爆劇の画像1
サークルオブライフ

「ゲートの中でイライラしていました」

 22日に行われたオークス(G1)で1番人気サークルオブライフに騎乗したM.デムーロ騎手は、スタート直前にパートナーの異変を察知していた。

 しかし、百戦錬磨の名手であっても悪い流れを断ち切ることは出来なかった…。

 放馬により待たされた影響もあってか、同馬はスタートで痛恨の出遅れ。最後方からの挽回は叶わず、デビュー以来初の掲示板外となる12着に敗れた。

 前走で4着だった桜花賞(G1)からの巻き返しが期待されたものの、スタート後のわずか数秒足らずで生涯一度の大舞台は呆気なく幕を閉じた。多くの競馬ファンが改めてスタートの重要性に気付かされたレースでもあった。

 たとえ距離が2400mあるとはいえ、G1で出遅れてしまえばそれは致命的となる。「世紀の大出遅れ」とまで言われたゴールドシップの2015年の宝塚記念(G1)をはじめ、多くの名馬達が幾度となくスタート時の“自爆”により涙を飲んできた。

 29日に行われる日本ダービー(G1)においても、過去に大きな人気と期待を背負いながらも出遅れにより裏切ってしまった馬がいる。それは、2010年の同レースで6着に敗れたペルーサである。

 後に天皇賞・秋(G1)を勝利するエイシンフラッシュが制したこの年のダービーは、「史上最高メンバー」として語り継がれるほどの錚々たる顔ぶれだった。

 レース前日に当時の日本レコードでNHKマイルC(G1)を制したダノンシャンティが出走取消となったものの、皐月賞馬ヴィクトワールピサ、翌年に天皇賞・春(G1)を勝利するヒルノダムール、前年の朝日杯FS(G1)の覇者ローズキングダム、後に海外のクイーンエリザベス2世C(G1)を勝利するルーラーシップなど強敵揃い。

最強世代の“超新星”が「秒で終わった」日本ダービー(G1)

 そのなかでも、デビューから3連勝して臨んだ青葉賞(G2)で2着のトゥザグローリーに4馬身差をつける圧勝を決めたペルーサが、ヴィクトワールピサと人気を分け合うほどの“超新星”として大きな注目を集めていた。

 しかし、期待をよそに肝心のスタートで出遅れてしまう。ダービーでは稀に見る超スローペースにも泣かされ、その後は後方から6着まで追い上げるのが精一杯。生涯一度の大舞台がまさに“秒”で終わってしまったのだ。

 あれから12年。同馬を管理していた藤沢和雄元調教師が今年2月末に引退した際、『BSイレブン競馬中継』(日本BS放送)にゲスト出演し「1頭だけ会話できるとしたら、どの馬にどんなことを聞きたいか」という質問を受けるとペルーサの名をあげ、「ふざけてんじゃない、って言いたい」と冗談交じりに回答している。

 それほど名伯楽にとっても期待が大きかった逸材ではあったが、ダービーの敗戦で何かの歯車が狂ったのか、その後G1どころか重賞すら一度も勝利する事なく引退。あの青葉賞での圧勝劇から、この結末を誰が想像できただろうか。

 25日現在、『netkeiba.com』の予想オッズで想定1番人気となっているイクイノックスやそれに続くダノンベルーガのG1未勝利馬2頭にとっても、決して他人事ではないはずだ。この有力馬2頭に関しては東京コース替わりが好材料と捉えているファンも多いが、本来なら勝てるレースであってもひとたびスタートで躓けばプランもクソもない。

 改めて今週もスタートが鍵を握りそうだ。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
 ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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