JRA戸崎圭太、三浦皇成ら猛追も「関東0勝」で関東リーディング君臨の怪!? まさかの“珍記録”達成へ吉田隼人の「徹底戦略」とは
宝塚記念(G1)をラストに上半期を終えた競馬界。騎手リーディング争いでは首位のC.ルメール騎手を筆頭に、川田将雅騎手、武豊騎手と昨年の1、2、3位が、そのまま健在ぶりをアピールしている。
その一方で、今年大きな「異変」があったのが関東リーディングだ。
昨年11月に戸崎圭太騎手、そして今年開幕早々に三浦皇成騎手が、それぞれ落馬負傷で長期離脱……。今年の関東リーディング争いは、昨年の関東リーディング1位、2位が不在という中で幕を開けた。
最初に飛び出したのは、昨年と同じく短期免許で来日中のO.マーフィー騎手だった。圧倒的な馬質と技術が噛み合い、わずか1カ月で27勝。関東リーディングどころか、全国リーディングのトップに君臨した。
そんな英国の天才騎手は2月初旬に帰国したが、残された関東の騎手たちは、なかなか「マーフィーの壁」を超えることができない。昨年のリーディング1位・2位が不在という事情はあるものの、全体的に関西の騎手に圧倒され、結局マーフィー騎手の関東リーディングが陥落したのは、天皇賞・春(G1)の当日。5月3日のことだった。
しかし、ここでトップに立ったのがデビュー4年目の横山武史騎手だったことは、若手育成に課題を抱える関東にとって、この上ない朗報だったに違いない。
武豊騎手と並ぶ「天才」と称される大ベテラン・横山典弘騎手の息子としてデビューした横山武騎手。横山典騎手をしてデビュー前から「アイツは相当なもんになる」と期待されていたが、1年目は13勝と苦しんだ。だが、2年目以降35勝→54勝と勝ち星を伸ばし、今年も現在39勝で関東リーディング2位に食い込んでいる。
ただ、そんな若武者を抑えて前半戦をトップで折り返したのが、中堅の吉田隼人騎手だ。
横山武騎手と同じ39勝ながら、2着の数で首位に立った吉田隼騎手は「完全に作戦勝ち」と言えるだろう。G1開催などで激戦区になる「東京」「中山」を避け、関東の騎手ながら2場での勝ち星は「0」。中山で5鞍騎乗しただけで、東京には参戦すらない徹底ぶりだ。
「ちなみに吉田隼騎手は、昨年も東京と中山でほとんど乗っていませんし、勝ってもいません。そんな吉田隼騎手ですが、東京や中山がお休みになる夏競馬でもスタイルを徹底していますね。
今年の函館開催は新型コロナウイルスの影響で20時以降の外出禁止など、かなり厳しい規制が敷かれていますが、各ジョッキーが参戦をためらう中でも開幕週からべったり。すでに5勝を上げており、函館リーディングも狙える状況です。
昨年、全国リーディングを獲ったルメール騎手が、所属する関西より関東で多くの勝ち星を上げていることが話題になりましたが、吉田隼騎手が東京と中山で未勝利のまま関東リーディングを獲れば、それも話題になりそうですね」(競馬記者)
弱肉強食となる騎手界だけに、勝てない騎手は“第3の選択肢”となるローカルを主戦場に求めることは必然だが、吉田隼騎手ほど率先して徹底しているジョッキーも珍しい。
昨年の関東リーディング1、2位だった戸崎騎手、三浦騎手も復帰して、猛スピードで勝ち星を量産している以上、このまま吉田隼騎手が逃げ切りを決めるのは難しいかもしれない。ただ、それでも吉田隼騎手の“処世術”は、西高東低の波に苦しむ関東の中堅・若手騎手たちにとっての指標となるはずだ。
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